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しおりを挟むいつからだろうか、
兄が全てを諦めるようになったのは。
僕が物心着く頃から兄は何に対しても一生懸命だったと思う、
特に勉強兄はどんなに結果が出なくてもただひたすら勉強し続けていた。
なんでそんなにも頑張るのか理解できなかった僕は兄に「なんでそんなに頑張るの?」と聞いた、そしたら兄は「何も考えずに済むから」と言っていた。
嘘だ、兄は心の隅では結果を気にしていて僕の事を嫌っているとばかり思っていた。
そんな事ないって分かったのは...僕が中学生の頃からだろうか、たしかに僕が周りの人からの妬みや嫌味を気にするようになっていた頃からだ、兄は僕を見る目が周りとは違う、好悪が激しい気持ちの悪い目ではなくただ...真っ直ぐ弟を見ている。
そこに僕への感情は無い。僕は今まで他人から向けられる全ての感情が嫌いだった。
嫉妬も
怒りも
悲しみも
喜びも
愛情すらも...
信じられなかった。
そんな自分が1番嫌いだった。
僕に対して無関心な兄の隣は居心地が良かった。
僕が完璧な弟で居られなくなったとしても兄は兄のままでいてくれた、それが凄く嬉しくて兄への感情が抑えられなくなったんだ。
兄からの関心が欲しくなってしまった。
辛かったのは本当だし色んな思いで腕を切っていた、
「痛かった...よなぁ...」
けどその時兄から初めて向けられた関心にもう全てがどうでもよくなったんだ。
兄があの時僕の目じゃなくて僕の傷を見ていてよかった。
もし兄の目に僕の目が映った時、僕はどうしようもなく僕にとって気持ちが悪い目をしているだろうから。
今も、いつでも、僕は僕にとって気持ちが悪い。
けど...それを...
受け入れてくれる兄さんが...
途中、遊びながらも二人で身体を洗い、浴室から出る。
馬鹿やってて疲れたが、なんだか...心も体も
ぽかぽかとして楽しかった。
俺の後ろにいたのに、中々浴室から出てこなく、勝手に浴室のドアを閉めてしまった日向に、ドア越しで声をかける
「日向~?...なにしてんだよ!」
コンコンとノックをしてドアを開けると、
日向が俺に飛びついて抱きしめられる
「兄さん、大好きっ!!」
「...もぉ、何してんだよ、風邪ひくから早く服着るぞ。」
そんな日向の背中をポンポンと叩く、
「ねぇ、兄さんは俺のこと受け入れてくれる?」
俺のことを抱きしめながら、そう聞く
...昔なら、無理って即答してただろうな。
「いいよ、全部、受け入れてやるよ」
そう言って抱き締め返してやると
日向は、よりいっそう俺を強く抱きしめる。
日向の髪から落ちる水滴は冷たくて、身体は冷えるのがはやいなと思った。
心はこんなにも温かいのに。
「兄ちゃん。」
「好きだよ、これからも、ずっと、好き。」
やっと、
「...俺も」
兄は小さく、
けど、確かにそう呟いた。
何も考えなくてすむような気がした。
END
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