異世界転移して獣人王子様に見初められた俺がオメガになって世界を救う、かもしれない!?

わをん

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010-⑦ 儀式!?

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「サベラにも様々な種族のサベラがいる。ニンゲンだって、オメガだってそうだろ」

 慰められてる?

 いや、そうは言っても俺は明らかに見た目で彼らより見劣りしてると思う。ウィルって目が悪いのかな……。

「お前だってもっと落ち着きのある奴の方がいいって言ってただろ」
「そうは言っていない。お前みたいな奴が想定外だったというだけだ。成人してるくせに小さいのも気になるし……?」
「これでもお前より三つ年上ですけど!?」

 俺がムキになると、ウィルが笑う。広い空間に快活な笑い声が響く。

 ウィルの俺への気持ちを確認してるみたいになってるじゃないか。恥ずかしいな。

「年を食えば三つ違いは誤差だろ。そんなところに拘るなんて変な奴だな。そういう文化圏にいたのか?」
「俺はまだ若い。お前もだ。変な奴って。お前にその言葉そっくり返してやるよ、王子様」
「王子様。相手が王子様なら普通は喜ぶものじゃないのか。お前の世界にもいるだろ、王子様が」
「普通って何だよ。俺は男だよ。王子様と結婚するのは女だよ」
「それは何故だ」
「何故?」

 御伽話だって、薄幸な女の子が王子様に嫁いで幸せになるのは王道展開。

「カイ。お前にはもっと早い段階で伝えておくべきだったが、更に結婚を嫌がられると思って言わなかった」

 突然、ウィルが声のトーンを変えた。嫌がられている自覚があったのか……。

「後継問題があるんだ。兄夫婦には今、子供がいない。できないんだ」
「………」
「俺は地位や名誉に興味がない。だが、国を傾けるわけにいかない。お前が俺の子供を産むまでは解放しないつもりだ」
「……うわあ」

 ウィルはこの辺を躊躇わない。

「ハッキリ言ったな、お前」
「前から言ってるだろ」
「それがお前の責務? 弟だっているんだろ。そんなの別にお前が背負うことじゃなくないか?」

 ウィルがまた高笑いだ。今日はよく笑うな。緊張からの反動か?

「そうだ。言い訳だ」
「え?」
「俺は『かわいい』お前を完全に俺のものにしたい」
「!?」

 ウィルの糖度がここに来て倍増だ!

 俺の肩を抱いてくるので、ウギャッとなった。顔が近い。

「こ、こら、離せ。枢機卿が来たら見られる」
「王に公認されたんだ。式の前に番になってもいいんだぞ」
「え、……ええ!?」

 あれで公認されたの? 番になるってどういう……。

 ま、まさか。ア、アレをするということ?

 ウィルが顔を近づけてくる。鼻の頭が触れる。

「あ」

 相手は犬だぞ! ときめくな! 俺!

 まだ知り合ってから一ヶ月程度の関係なのに。

「や、やめろ、ウィル……」
 
 ウィルが俺の襟を剥いて、首筋を甘噛みしてくる。俺はウィルの胸を叩くが全然離れてくれない。

 そこへ。

「ウィルバード王子」

 呼ばれてウィルがパッと振り返った。

「規律が乱れます。教会内ではおやめください」

 ここに来て、初めて見た。

「お待たせして申し訳ございません」
「いや」

 いよいよお出ましである。

「初めまして、新しいヴァンダラー。お会いできて光栄です」
「あ、どうも……」

 ウィルと俺は椅子から立って、俺だけが間抜けな挨拶をする。

 そこにいるのは鳥人間だ。

 大きな背中の翼は隠しきれないようで、上半身には布を巻いたようなアシンメトリーな服を着ていた。
 
「明日からはしばらく雨が降るようです。今日の移動は賢いですね」
「ああ」

 英語。俺にもわかるように話してくれている。

「こちらへ」

 三人で長椅子の間を歩いて行って、祭壇の前の段を上がる。

 鳥人間が振り返る。

 鷲だ。威嚇してくるような目に、鋭い嘴。翼は制御されて綺麗に畳まれている。

 神の使い……。

「儀式は慣例に基づいて行われます。神はいつも見ておられます。そのような浮ついた気持ちで信仰を止めないでください。王子。ヴァンダラー。あなたがたは伴侶を得る幸運に恵まれました。それは素晴らしいことです。あなたがたにとっても、この世界にとっても。これで現国王の御代は安泰です」
「………」

 口調とは裏腹に、鳥人間は全然笑っていなかった。

 ウィルは実につまらなそうな顔をしていた。グランバーグに来てから、というかこれまで見たことのない表情である。

 この二人、仲悪い?
 
 その後、別の若い鳥人間がやってきて、抱えていた三つの椅子を祭壇前にササッと並べて去っていった。

「それでは、始めましょう」

 そう言って、鳥人間はおもむろに指し棒を取り出した。

 そして、俺とウィルは日が暮れるまで鳥人間の枢機卿から説法を聞かされたのだった。


 婚約、成立……。


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