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村と魔物と泣き虫戦士
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どれくらい歩いただろう。すっかり日が落ち切った頃にようやく小さな農村に辿り着いた。今までで一番遠かった。さすがに疲れた。
整っていた街道も進むにつれ道が悪くなっていくし、どんなに歩いても街も何も無いし、辺りはどんどん暗くなるしでこのまま野宿でもするのかと思った。
まだ深夜という時間でもないのに、村はしんと静まり返っている。
「宿ってあるのかな……? 言っちゃ悪いけどちょっと寂れた感じの村だね」
街と違って暗い所為もあるだろうけど。家屋も地味な感じだし、人の気配もしない。
「国境が近付いている証拠ですよ」ラウロが辺りに目をやりながら言った。
「どういうこと?」
「言いにくい話なのですが。国境の近くは、他国に攻め入られた場合最も危険な場所なので、栄えないのですよ」
「ああ……」
私は苦々しい気持ちになった。戦争になれば、この村は真っ先に犠牲になる。ユリスたちの住む城が国境から遠くにあるのも納得だ。……納得したくないけど。
村の家々はどれも似通っていて宿がどれなのか分からない。ひっそりした村の中を歩きながら宿を探していると、
「人がいますね」
ラウロが第一村人を発見! 暗くてよく見えないけど自警団だろうか? 剣や盾を、明らかに持ち慣れていない風に手にしている。
向こうも私たちを発見してたじろいだ。今にも逃げ出しそうな雰囲気があったのでラウロがすかさず声をかける。
「すみません。私たちは旅の者です。この村に宿泊できる宿などはありますか?」
返事はない。
「……村の方ですよね?」
ラウロは訝しんで言う。そしてやや間を置いてから「あっ、え、えっと」と声が返って来た。青年らしい。
「そう、です。俺、珍しいこともあるなと思って、ちょっとびっくりして」
「あまり旅人もいないのですかね。この村に宿はありますか? 場所を教えていただけると助かるのですが」
「あ、ありで、あります。こっちです」
青年はしどろもどろになりながら私たちを先導して歩き始めた。付いて歩きながらラウロが問う。
「この村では、夜はいつもこう静かなのですか?」
「あ、ああ。ち、近頃は静かです。魔物が来るので……夜は皆怯えて家に籠ってます」
「それは大変ですね」
「はい。夜になると村に入って来て人を襲うんで、困ってます」
怖い話だ。森が近いわけでもないのに一体どこから魔物が来るのだろう。私は思わず周囲を警戒してしまった。急に暗がりから出て来るかもしれない。お化けも出てきそうだけど、今はお化けより魔物の方が怖い。
「それで、貴方はその魔物と戦う為に外にいたのですか」
「な! 何で分かった……? あんたも魔物の類か?」
青年は驚いた声を上げた。剣とか盾とか持っていれば嫌でも分かると思うけど。
「見れば分かります」ラウロも少し呆れた風だ。
夜になると現れる魔物か。助けてあげられないのかな。私は何も出来ないけどユリスたちなら何とか出来るんじゃ、と思っていたところへ、
「それってどういう魔物なの? 戦うなら、僕、手伝えるかもしれないよ」
シルフィが身を乗り出して言った。さすがシルフィ! 私の期待を裏切らない!
「ええ……?」
青年は困惑気味だ。あ、そうか。シルフィがいくら強くても見た目はただの子供だ。私が助け舟を出そうとするとラウロが遮った。
「まず宿に入ってからにしましょう」
「……あ、こ、ここが宿です」
青年は立ち止まって一軒の家を指差した。他の家よりは少し大きい二階建てだ。私たちは宿に入り、ラウロが宿泊などの手続きをしている間に話を聞くことにした。
整っていた街道も進むにつれ道が悪くなっていくし、どんなに歩いても街も何も無いし、辺りはどんどん暗くなるしでこのまま野宿でもするのかと思った。
まだ深夜という時間でもないのに、村はしんと静まり返っている。
「宿ってあるのかな……? 言っちゃ悪いけどちょっと寂れた感じの村だね」
街と違って暗い所為もあるだろうけど。家屋も地味な感じだし、人の気配もしない。
「国境が近付いている証拠ですよ」ラウロが辺りに目をやりながら言った。
「どういうこと?」
「言いにくい話なのですが。国境の近くは、他国に攻め入られた場合最も危険な場所なので、栄えないのですよ」
「ああ……」
私は苦々しい気持ちになった。戦争になれば、この村は真っ先に犠牲になる。ユリスたちの住む城が国境から遠くにあるのも納得だ。……納得したくないけど。
村の家々はどれも似通っていて宿がどれなのか分からない。ひっそりした村の中を歩きながら宿を探していると、
「人がいますね」
ラウロが第一村人を発見! 暗くてよく見えないけど自警団だろうか? 剣や盾を、明らかに持ち慣れていない風に手にしている。
向こうも私たちを発見してたじろいだ。今にも逃げ出しそうな雰囲気があったのでラウロがすかさず声をかける。
「すみません。私たちは旅の者です。この村に宿泊できる宿などはありますか?」
返事はない。
「……村の方ですよね?」
ラウロは訝しんで言う。そしてやや間を置いてから「あっ、え、えっと」と声が返って来た。青年らしい。
「そう、です。俺、珍しいこともあるなと思って、ちょっとびっくりして」
「あまり旅人もいないのですかね。この村に宿はありますか? 場所を教えていただけると助かるのですが」
「あ、ありで、あります。こっちです」
青年はしどろもどろになりながら私たちを先導して歩き始めた。付いて歩きながらラウロが問う。
「この村では、夜はいつもこう静かなのですか?」
「あ、ああ。ち、近頃は静かです。魔物が来るので……夜は皆怯えて家に籠ってます」
「それは大変ですね」
「はい。夜になると村に入って来て人を襲うんで、困ってます」
怖い話だ。森が近いわけでもないのに一体どこから魔物が来るのだろう。私は思わず周囲を警戒してしまった。急に暗がりから出て来るかもしれない。お化けも出てきそうだけど、今はお化けより魔物の方が怖い。
「それで、貴方はその魔物と戦う為に外にいたのですか」
「な! 何で分かった……? あんたも魔物の類か?」
青年は驚いた声を上げた。剣とか盾とか持っていれば嫌でも分かると思うけど。
「見れば分かります」ラウロも少し呆れた風だ。
夜になると現れる魔物か。助けてあげられないのかな。私は何も出来ないけどユリスたちなら何とか出来るんじゃ、と思っていたところへ、
「それってどういう魔物なの? 戦うなら、僕、手伝えるかもしれないよ」
シルフィが身を乗り出して言った。さすがシルフィ! 私の期待を裏切らない!
「ええ……?」
青年は困惑気味だ。あ、そうか。シルフィがいくら強くても見た目はただの子供だ。私が助け舟を出そうとするとラウロが遮った。
「まず宿に入ってからにしましょう」
「……あ、こ、ここが宿です」
青年は立ち止まって一軒の家を指差した。他の家よりは少し大きい二階建てだ。私たちは宿に入り、ラウロが宿泊などの手続きをしている間に話を聞くことにした。
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(追記2018.07.24)
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(追記2018.07.26)
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