キスだけは断固拒否します!現実に帰りたくないので!~異世界での私は救世主らしいです~

空木切

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従者の名

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 ニースとのごたごたにより予定が狂ってしまい、国境へ着く前に日が沈んでしまった。この先は村も街も無い。つまり野宿。と思いきや、どうやら国で設置した休憩小屋があるらしく、私たちはそこで一晩過ごすことになった。
 休憩小屋はかつて国を行き来していた昔に、旅人や兵士の為に設置されたものだという。ただ雨風がしのげる程度だけど無いよりは全然マシだ。しかしやはり長く使われていないようで屋根も壁も崩れかけ、中に至っては物置のごとく重い埃と淀んだ空気で最悪の状態だった。
 それをラウロが魔法でさっさと掃除して修復して、あっという間に綺麗になった。お陰で今こうして休めている。魔法ってすごい。私も使えたらなあ。部屋の掃除が楽になりそう。
 夜間は念の為ラウロとハインツが交代で見張りをすることに。私はシルフィとユリスに挟まれて間で寝ることになったものの、当然、寝れるわけがない。
 狭いので二人とも近いし、少しでも動けば肘が当たる。こんな状況でもシルフィは既に寝ているしユリスは……恐らく寝ている? 壁を向いているので分からない。
 しばらく目を瞑っていても誰かしらの息遣いが気になって仕方ない。私は両隣を起こさないようにゆっくり立ち上がった。いびきをかいているハインツを回り込んで、小屋の出入り口近くで座っているラウロの下へ。彼は月明かりの中で私を見るなり静かに呟いた。
「エコ様。眠れませんか」
「うん。ちょっとここにいさせて。あそこ落ち着かない」
「でしょうね」
 ラウロは無感情に言ってどこかに視線を置いてぼーっとしていた。何となく違和感がある。
 最近ユリスとラウロがぎくしゃくしているように感じるし、ラウロは黙っていることが増えた。これを変と言っていいものやら、単に気分的な問題の気もするけど。
「ラウロ。あのさ、言いたくなかったら良いんだけど、ちょっと最近……何て言うか」
「変、ですか?」
 遠い目をしたままで私の言葉を継いだ。私は悩んで結局頷く。
「そうですね。……私から質問があるのですが。少し身を寄せても宜しいですか」
「もちろん」
 肩をぴったり付ける。主に聞かれたくない話だろうか。
 ラウロは私の顔を覗き込むようにして囁く。
「ユリス様と何かありましたか」
「何かというと」
「聞き方が良くなかったですね。お二人で私には言えないようなことをしましたか? “はい”か“いいえ”でお答えください」
 どういうこと!? 私は困惑を呑み込んで静かに答えた。
「い、いいえ」
「そうですか。それなら良いのです」
 ラウロはあっさり言って軽く息を零した。何故か私がほっとした。ラウロはまた視線を遠くに戻す。
「少し考えなければならないと思いまして。ユリス様は以前より多少、性質が変わりつつありますので、対応について、諸々」
「最初の頃より丸くなった感じはする。少しは私の話も聞いてくれるようになったし」
 私としてはこのまま優しく丸くなって欲しい。その方が良いはず、しかしラウロは困っている風に見えた。
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