転生ハムスターは王妃を夢見る?

ハイエルフスキー

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第一章 転生ハムスターは王太子様がお気に入り

7 決戦に勝てば、ご両親にごあいさつ?

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 一カ月もの間、行方不明になっていたわけですが、その間どうなされていたのですか?

 うーん、それはノーコメントでお願いしますわ。

 再び、王太子様とご婚約されたわけですが、ご心境はいかがですか?

 うーん、そうですわね。一刻も早く王太子様と手と手を携えて、王都を奪還だっかんせねばなりませんわね。

 ですが、敵軍は十万もの軍勢をようし、魔術師、召喚獣術師、精霊術師も大量に動員していると聞き及んでいます。勝てるとお思いですか?

 ほーっほっほっほ! 私は決戦用ハムスターですのよ。ちょちょいのちょいですわ。

 という脳内ひとりインタビューはさておき、状況は最悪らしい。



 王太子様の国はティトラン王国というらしいのだけど、魔族との戦いでボロボロになっているところを、隣の国に攻められ、王都は陥落し国土の大半は敵国の占領下にある。

 王太子様の家族である王様や王妃様は逃げのびて、各地を転戦しているのだけど、もはやじり貧状態。

 そこで王太子様を旗頭として王国軍を再編成し、王様と合流すべく進軍してきたらしいのだけど、いかんせん兵力差がありすぎて敵に近寄ることすら危険極まりないとのこと。

 さらに、兵力差以上に魔術師、召喚獣術師、精霊術師の人数、力量がかけ離れ過ぎていて、戦いにすらならないことが判明。

 そこで急遽きゅうきょ、トールが新たに召喚獣を増やそうと、召喚獣契約陣にドラゴン召喚なみの魔石をつぎ込んだところ、私が出てきたということらしい。

 ハムスターが出てきたことで、王太子様が愛しい婚約者だった私のことを思い返し、涙目でブルブル震えていたところを、私のやさしい言葉で一件落着という次第だ。

 ちなみに、前もドラゴンが召喚できるほどの魔石をつぎ込んだと言われたので、王太子様にこっそり尋ねたところ、これから戦う敵の中にドラゴンがいるかもしれないとのこと。

 なんというか、あれですね。

 毎度、毎度、転生二日目が決戦日ってやめてくれませんかね。

 せっかく王太子様とラブラブな時間を過ごそうにも、明日が戦いかと思うと体力温存しておこうかなって考えちゃうじゃない。

 まあ、まだ結婚してるわけじゃなく、婚約中だから不謹慎ふきんしんなことをする気もないんだけどね。

 そうそう、婚約といえば、帰ってきた私は、さっそく王太子様の指を甘ガミし、微笑ほほえみとともにウインクしたの。

 前と同じく、王太子様と私の頭の上に輪っかが浮かび上がって、婚約者の地位をゲットしたわ。

 ふふっ、あの時の性悪精霊術師シーラの顔ったらなかったわね。

 キーッって顔してたわ。

 しかも、今回は念じるだけで王太子様と会話が可能ということで、さっそく王太子様に確認したわ。

 これって、結婚なの?

 それとも、婚約なの?

 ――ってね。

 私のかわいい王太子様はしばらくキョトンとしてたけど、結婚じゃないよね、と顔を赤らめてたの。

 つまり、私の思ったとおり、これは婚約リングね。

 婚約輪っかともいうけど。

 こうなれば、敵が何十万いようと蹴散らして、王様と王妃様にあいさつに行かないとね。

 王太子様はまだ十歳らしいから、親権者の同意をいち早くもらわないと。

 まだまだお若くてかわいらしい王太子様。

 ご両親に反対されて駆け落ちっていうのも可哀想だしね。

 けっして、王妃の地位狙いってわけじゃないのよ。

 でも、できれば純白のウエディングドレスを着て、ヴァージンロードも歩きたいしね。

 というわけで、今は騎士の隊長さんやらえらい人が集まって、明日の決戦の会議中なの。

 さっきから、シーラやトールが私のステータスを見るようにって王太子様に頼んでるんだけど、王太子様は約束どおり首を横に振り続けてる。

 こんなこともあろうかと、私のステータスは見ないように王太子様にお願いしておいたの。

 だって、シーラが私をきものにしようとして、罠を仕掛けてくるかもしれないしね。

 あの性悪女だけには王妃の座は譲らないわよ。




「まあ、頼まれてるのなら仕方ないですな。召喚獣との信頼関係は大切ですし、明日の戦いでは絶対結界を張ってさえいてくれれば充分ですしな」

 トールがチラッと私に視線を送りながらも、うんうんとうなずく。

「ちょっとー、トール、なに言ってんのよ! こいつは前のハムスターと同じなんでしょう! つまりは魔王を倒してんのよ、こいつ! レベルが上がってんのに決まってんでしょう! 魔王よ! 魔王! 恐ろしいほどの経験値稼いだはずよ! それに、前はちょっとだけ見えたステータスも今は一切見えないじゃない! 新しい技を手に入れてるに決まってるわよ!」

 思ったとおり、性悪女が見苦しく騒いでいる。

 この女は私のステータスを調べて、私の弱点を探りたいにちがいない。

 それにくらべて、トールはいかつい顔に似合わず、けっこういい奴だ。

 よしよし、私が王妃の座についたあかつきには、王妃親衛隊長にしてあげよう。

 シーラは辺境に左遷させんしてやるからな。

 覚えてろ、などと思いながら、私は王太子様の手のひらの上でボリボリとヒマワリの種を食べていた。

 決戦は明日。

 必ず戦いに勝って、ご両親にあいさつするのよ、と誓いつつ。

 あっ! 

 手みやげとかいるかしら? 
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