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第1章
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過去と未来を選べるとしたらあなたはどちらを選びますか?
ー都内某所ー
ピーー……
「ご愁傷様です」
そう白衣の男は告げた。
桜庭 未来(さくらば みらい)
18という若さで亡くなった。
サッカーが好きな元気な子だったが、高校入学と同時に肺ガンとなり、今日4月1日ご臨終となった。
「そうか~18か~若いのう」
今わしの目の前には白い着物をきた桜庭未来が正座しておる。
「まぁそんな固くならずに気楽にしたまえ
まだわしのこと言っとらんかったな。
わしは時間を司るクロノスと申す。よろしくじゃ。」
そういっても、この若造は姿勢を変えん。
それも無理ないか、わしは神だからな。
「あの、俺は天国と地獄どちらに行くんですか??」
「それはもちろん天国じゃ。安心したまえ。
わしの前に来る者は天国の者だけじゃ。」
「よかったー」
怯えてた漆黒の目は穏やかなものに変わった。
「でも、まだお主を天国には送らん。お主に問う。過去と未来行けるとしたらどちらに行く?」
「えっ?過去と未来ですか?」
「そうじゃ。わしは時間を司ると言ったであろう?つまり、過去と未来どちらも体験に行けるということじゃ。天国に行く者は生きとる間に何かしら良い事をしたということ。天界の長はそんな者達に最後にご褒美をあげようということじゃ。分かったかのう?」
「・・・。」
「分からなかったかのう?笑」
そうわしが問うと焦ったように首をふり、また綺麗な黒点をわしに向けた。
「すいません!違うんです。過去と未来どちらに行くかはもう決まってるんです。ただ……」
「ただなんじゃ?」
「その体験をするのってどういうことなんですか?」
「例えば過去に行くなら最高一月、未来も同じく一月その時間を体験することができるってことじゃ。」
「一月・・・」
そう小さく呟いてから沈黙が訪れた。
若造はあごに手を当て何かを考えこんどる。
(いつもながらこの時間は退屈だのう)
毎回人間はいつの時代に行くか時間をかけて考える。まぁ、貴重な体験だけにそう簡単には決められないのだろう。
なんせ最後の時間になるのだから。
それから30分くらい悩んだ少年は口を開いた。
「俺、過去に行きます。10年前の今日に戻してください。」
「ほう、10年前か。良いだろう。最後の時を楽しんでこい」
そうクロノスが言うと桜庭の体は白い光に包まれ消えた。
「さて・・・わしも見届けるとするか」
桜庭の選択はどういう意味を持っていたのかを知りに・・・。
「んっ・・・」
眩しい光に包まれ目を開けた桜庭の目に写ったのは昔の我が家だった。
ー都内某所ー
ピーー……
「ご愁傷様です」
そう白衣の男は告げた。
桜庭 未来(さくらば みらい)
18という若さで亡くなった。
サッカーが好きな元気な子だったが、高校入学と同時に肺ガンとなり、今日4月1日ご臨終となった。
「そうか~18か~若いのう」
今わしの目の前には白い着物をきた桜庭未来が正座しておる。
「まぁそんな固くならずに気楽にしたまえ
まだわしのこと言っとらんかったな。
わしは時間を司るクロノスと申す。よろしくじゃ。」
そういっても、この若造は姿勢を変えん。
それも無理ないか、わしは神だからな。
「あの、俺は天国と地獄どちらに行くんですか??」
「それはもちろん天国じゃ。安心したまえ。
わしの前に来る者は天国の者だけじゃ。」
「よかったー」
怯えてた漆黒の目は穏やかなものに変わった。
「でも、まだお主を天国には送らん。お主に問う。過去と未来行けるとしたらどちらに行く?」
「えっ?過去と未来ですか?」
「そうじゃ。わしは時間を司ると言ったであろう?つまり、過去と未来どちらも体験に行けるということじゃ。天国に行く者は生きとる間に何かしら良い事をしたということ。天界の長はそんな者達に最後にご褒美をあげようということじゃ。分かったかのう?」
「・・・。」
「分からなかったかのう?笑」
そうわしが問うと焦ったように首をふり、また綺麗な黒点をわしに向けた。
「すいません!違うんです。過去と未来どちらに行くかはもう決まってるんです。ただ……」
「ただなんじゃ?」
「その体験をするのってどういうことなんですか?」
「例えば過去に行くなら最高一月、未来も同じく一月その時間を体験することができるってことじゃ。」
「一月・・・」
そう小さく呟いてから沈黙が訪れた。
若造はあごに手を当て何かを考えこんどる。
(いつもながらこの時間は退屈だのう)
毎回人間はいつの時代に行くか時間をかけて考える。まぁ、貴重な体験だけにそう簡単には決められないのだろう。
なんせ最後の時間になるのだから。
それから30分くらい悩んだ少年は口を開いた。
「俺、過去に行きます。10年前の今日に戻してください。」
「ほう、10年前か。良いだろう。最後の時を楽しんでこい」
そうクロノスが言うと桜庭の体は白い光に包まれ消えた。
「さて・・・わしも見届けるとするか」
桜庭の選択はどういう意味を持っていたのかを知りに・・・。
「んっ・・・」
眩しい光に包まれ目を開けた桜庭の目に写ったのは昔の我が家だった。
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