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第一章 開戦編
#7 真の目的と始まり
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「こちら、1番機。まもなく、敵艦を視界内に捉えます」
「了解。いいか。艦長からあった通り、狙うのは武器のみだ」
「分かっております」
「頼んだぞ」
ひようから発艦した戦闘機10機はまもなく、敵艦との交戦を開始しようとしていた。その時、第6空母機動隊及び第1護衛隊の全艦に通信が入った。
「こちら、対空駆逐艦 さがみ。先ほどの無人機は日本国のものとは知らずに撃ち落としたものである」
「全艦、攻撃待て」
松浦はそう指示した。なんと、黙っていた敵艦がついに艦名を明らかにした。そして、全艦攻撃態勢を緩和し、戦闘機も機関銃を収めた。
「さがみ…?そんな艦はあったか?」
「いえ。対空駆逐艦はねのひ、はつはる、わかば、ありあけ、ゆうぐれ、はつしも、ゆうだち、みかづき、しらつゆ、むらさめの計10隻。また、海上自衛隊の艦艇に『さがみ』という艦名は在籍していません。艦番号『210』も同じく在籍していません」
「さがみ…と言ったか。貴艦の目的はなんだ」
「我々は、海上自衛隊ではない。我々は、帝国日本海軍である」
「帝国日本海軍?」
「あぁ。我々は、海上自衛隊とは全く別の組織。君たちのやり方が気に食わないものの集まりだ」
さがみは帝国日本海軍という組織の在籍艦だと主張した。
「この声…どこかで…」
「松浦。この声はやはり」
「あぁ。谷口だ」
「なるほど。ひようの艦長から下ろされ、自らの思い通りにならなかった腹いせか」
なんと、マイクの声の主は以前、ひようの艦長をしていた谷口だった。
「こちらは、ひよう艦長の松浦だ。その声は谷口だな?何が目的だ」
「久しぶりだな。松浦くん」
「みちしおを沈めたのは貴様の艦か?」
「おいおい。久しぶりだと言うのに挨拶もなしかい?」
「挨拶などどうでも良い!私の質問に答えろ!」
「みちしお?あー…魚雷も回避出来ん屑箱か」
「貴様…」
谷口は余裕の表情で話した。そして、松浦は憤り、怒りの表情を浮かべていた。その時、日本政府からひように連絡が入った。
「首相官邸から山西だ。ひよう艦長の松浦くん。聞こえるかね」
「山西首相…こちら、ひよう艦長の松浦です。聞こえます」
なんと、連絡の主は総理大臣である山西 慶太であった。そして、山西から次のような報告がされた。
「松浦くん。今君たちが交戦しようとしている相手は日本人の皮を被った化け物だ。彼らは非政府公認の組織であり、国家組織としても登録はされていない。本来の命令は攻撃手段の無力化であったが、今回ばかりは違う。既に報告が上がってきているのだが、護衛艦 みちしおの乗員260名のうち220名が戦死した。また、救助に向かった護衛艦たかおも付近にいた帝国日本海軍の潜水艦による魚雷攻撃にて乗員340名のうち290名が戦死。残った90名のほとんどが重症を負っており、既に第2対潜空母機動部隊のずいりゅう、かつら、むらさめの3隻が現場海域に展開中。重症の90名は現在、ずいりゅうにて治療中とのことだ」
なんと、みちしおの乗員の救助に向かったたかおも帝国日本海軍の攻撃に遭い、沈没したという。対応するため、横須賀の第2対潜空母機動部隊の3隻が現場に向かい、重症者の救助及び、警戒にあたっていた。
「たかおが…沈められた…?第2対潜空母機動部隊が展開中…?」
「松浦くん。命令を少しだけ変更する。既に、我々の艦艇が2隻沈められ、510人の戦死者も出し、貴艦の搭載機であるRQ-5Jも撃墜された。これは、我が国への宣戦布告と見ていいものとする。これより、敵艦艇の撃沈を許可する。攻撃を無力化するだけでは、彼らはまた我々の国に脅威をもたらすことになる」
「敵艦の…撃沈…ですか?つまり、人を殺せ…と?」
山西は第6空母機動隊及び第1護衛隊の全艦艇に敵艦の撃沈を命じた。しかし、この命令に松浦はあまり納得がいっていない様子であった。もちろんだ。海上自衛隊は国を守る組織であって、人を殺す組織でない。その事を理解している第6空母機動隊及び第1護衛隊の艦艇乗員全員が命令に納得していなかった。
「君たちは今、敵陣のど真ん中にいる。恐らく彼らはやめようとはしないだろう。そして、日本を奪おうとするだろう。そのさがみの艦長の谷口という男がいる時点で松浦くん。君ならどういうことか分かるはずだ」
「えぇ。分かります。恐らく、狙いはこのひよう。彼はひようの建造計画段階からずっと「必要が無い」と言ってきた男です」
「そうだ。その男が今君たちの仲間を500人殺した。それが、どういうことか分かるだろ」
「しかし…それでも、我々は、海上自衛隊です。今奴らを沈めれば我々も奴らと同じ組織になってしまいます」
「私はそれでも構わないと思っている。国民からいくら批判されようとも、私にはこの国を守るという使命がある。彼らにこの国を取られるのであれば、私は彼らを真正面から壊しにかかる」
「総理…」
「既に、この話は日本全国に放送されている」
「なっ…総理。あなたこそ一体何をされたいのですか」
「新しい日本の創設だ。我々は、ただ、やられているだけの国ではないということを証明するのだ。我々だけの力で」
山西は松浦とのやり取りを日本全国に放送していた。そして、山西は日本を変える。他のものからやられているだけの国なんかでは無いのだと証明するために。そして、松浦は決意した。
「分かりました総理。全身全霊をかけて貴方の思いに応えましょう。我々の力がどのようなものなのか」
「頼んだよ、松浦くん。君たちにかかっている」
松浦は敵艦を撃沈させることを決意した。そして、山西の思いに応えるということを。海上自衛隊は変わる。また、ひとつ歴史を刻んでいくことになった。
「全艦艇に告ぐ。本艦隊はこれより、帝海軍との戦闘に入る。本海域に展開中の敵艦艇の撃沈を命ずる。全艦、戦闘用意!」
松浦の号令が流れる前に放送は切れた。そして、松浦の号令と共に、第6空母機動隊及び第1護衛隊の艦艇そして、ひよう搭載機の戦闘機は敵艦隊に向けて前進を開始した。
「了解。いいか。艦長からあった通り、狙うのは武器のみだ」
「分かっております」
「頼んだぞ」
ひようから発艦した戦闘機10機はまもなく、敵艦との交戦を開始しようとしていた。その時、第6空母機動隊及び第1護衛隊の全艦に通信が入った。
「こちら、対空駆逐艦 さがみ。先ほどの無人機は日本国のものとは知らずに撃ち落としたものである」
「全艦、攻撃待て」
松浦はそう指示した。なんと、黙っていた敵艦がついに艦名を明らかにした。そして、全艦攻撃態勢を緩和し、戦闘機も機関銃を収めた。
「さがみ…?そんな艦はあったか?」
「いえ。対空駆逐艦はねのひ、はつはる、わかば、ありあけ、ゆうぐれ、はつしも、ゆうだち、みかづき、しらつゆ、むらさめの計10隻。また、海上自衛隊の艦艇に『さがみ』という艦名は在籍していません。艦番号『210』も同じく在籍していません」
「さがみ…と言ったか。貴艦の目的はなんだ」
「我々は、海上自衛隊ではない。我々は、帝国日本海軍である」
「帝国日本海軍?」
「あぁ。我々は、海上自衛隊とは全く別の組織。君たちのやり方が気に食わないものの集まりだ」
さがみは帝国日本海軍という組織の在籍艦だと主張した。
「この声…どこかで…」
「松浦。この声はやはり」
「あぁ。谷口だ」
「なるほど。ひようの艦長から下ろされ、自らの思い通りにならなかった腹いせか」
なんと、マイクの声の主は以前、ひようの艦長をしていた谷口だった。
「こちらは、ひよう艦長の松浦だ。その声は谷口だな?何が目的だ」
「久しぶりだな。松浦くん」
「みちしおを沈めたのは貴様の艦か?」
「おいおい。久しぶりだと言うのに挨拶もなしかい?」
「挨拶などどうでも良い!私の質問に答えろ!」
「みちしお?あー…魚雷も回避出来ん屑箱か」
「貴様…」
谷口は余裕の表情で話した。そして、松浦は憤り、怒りの表情を浮かべていた。その時、日本政府からひように連絡が入った。
「首相官邸から山西だ。ひよう艦長の松浦くん。聞こえるかね」
「山西首相…こちら、ひよう艦長の松浦です。聞こえます」
なんと、連絡の主は総理大臣である山西 慶太であった。そして、山西から次のような報告がされた。
「松浦くん。今君たちが交戦しようとしている相手は日本人の皮を被った化け物だ。彼らは非政府公認の組織であり、国家組織としても登録はされていない。本来の命令は攻撃手段の無力化であったが、今回ばかりは違う。既に報告が上がってきているのだが、護衛艦 みちしおの乗員260名のうち220名が戦死した。また、救助に向かった護衛艦たかおも付近にいた帝国日本海軍の潜水艦による魚雷攻撃にて乗員340名のうち290名が戦死。残った90名のほとんどが重症を負っており、既に第2対潜空母機動部隊のずいりゅう、かつら、むらさめの3隻が現場海域に展開中。重症の90名は現在、ずいりゅうにて治療中とのことだ」
なんと、みちしおの乗員の救助に向かったたかおも帝国日本海軍の攻撃に遭い、沈没したという。対応するため、横須賀の第2対潜空母機動部隊の3隻が現場に向かい、重症者の救助及び、警戒にあたっていた。
「たかおが…沈められた…?第2対潜空母機動部隊が展開中…?」
「松浦くん。命令を少しだけ変更する。既に、我々の艦艇が2隻沈められ、510人の戦死者も出し、貴艦の搭載機であるRQ-5Jも撃墜された。これは、我が国への宣戦布告と見ていいものとする。これより、敵艦艇の撃沈を許可する。攻撃を無力化するだけでは、彼らはまた我々の国に脅威をもたらすことになる」
「敵艦の…撃沈…ですか?つまり、人を殺せ…と?」
山西は第6空母機動隊及び第1護衛隊の全艦艇に敵艦の撃沈を命じた。しかし、この命令に松浦はあまり納得がいっていない様子であった。もちろんだ。海上自衛隊は国を守る組織であって、人を殺す組織でない。その事を理解している第6空母機動隊及び第1護衛隊の艦艇乗員全員が命令に納得していなかった。
「君たちは今、敵陣のど真ん中にいる。恐らく彼らはやめようとはしないだろう。そして、日本を奪おうとするだろう。そのさがみの艦長の谷口という男がいる時点で松浦くん。君ならどういうことか分かるはずだ」
「えぇ。分かります。恐らく、狙いはこのひよう。彼はひようの建造計画段階からずっと「必要が無い」と言ってきた男です」
「そうだ。その男が今君たちの仲間を500人殺した。それが、どういうことか分かるだろ」
「しかし…それでも、我々は、海上自衛隊です。今奴らを沈めれば我々も奴らと同じ組織になってしまいます」
「私はそれでも構わないと思っている。国民からいくら批判されようとも、私にはこの国を守るという使命がある。彼らにこの国を取られるのであれば、私は彼らを真正面から壊しにかかる」
「総理…」
「既に、この話は日本全国に放送されている」
「なっ…総理。あなたこそ一体何をされたいのですか」
「新しい日本の創設だ。我々は、ただ、やられているだけの国ではないということを証明するのだ。我々だけの力で」
山西は松浦とのやり取りを日本全国に放送していた。そして、山西は日本を変える。他のものからやられているだけの国なんかでは無いのだと証明するために。そして、松浦は決意した。
「分かりました総理。全身全霊をかけて貴方の思いに応えましょう。我々の力がどのようなものなのか」
「頼んだよ、松浦くん。君たちにかかっている」
松浦は敵艦を撃沈させることを決意した。そして、山西の思いに応えるということを。海上自衛隊は変わる。また、ひとつ歴史を刻んでいくことになった。
「全艦艇に告ぐ。本艦隊はこれより、帝海軍との戦闘に入る。本海域に展開中の敵艦艇の撃沈を命ずる。全艦、戦闘用意!」
松浦の号令が流れる前に放送は切れた。そして、松浦の号令と共に、第6空母機動隊及び第1護衛隊の艦艇そして、ひよう搭載機の戦闘機は敵艦隊に向けて前進を開始した。
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