78 / 96
揺蕩う竜と運命を招き入れる猿
【Proceedings.69】揺蕩う竜と運命を招き入れる猿.06
しおりを挟む
天辰葵の常識外れ加減に申渡月子はなす術がなかった。
「本当に常識外れな人ですね、葵様は……」
申渡月子はそう言って苦笑いをする。
「そうだよ。だから月子も遠慮しなくていいよ。それに言ったでしょう? 私も絶対少女とやらにならないとね、いけないみたなんだ」
天辰葵も何となくそれは思っていたことだ。
興味なくとも、関わらなくてはいけないことだと。
恐らくは、これが、これこそが原因の一つであると。
自分がここに来た理由でもあると。
「願いが理由ではなく?」
申渡月子は少し困った表情を浮かべて天辰葵に聞く。
「そうだね。こう言っては…… なんだけども。私は願い事を叶えてくれるなんて話は、今も信じてないよ」
天辰葵はそんな都合の良い物を信じない。
古今東西、願い事を叶えてくれるというものは、人をおびき寄せる為の罠でしかない。
天辰葵はそのことをよく知っている。
「では、どうして?」
申渡月子には理解できない。
願いが叶うからこそ、デュエリスト達は危険なリスクを負ってでもデュエルをするのだ。
それが嘘ならば根底から覆されるものだ。
だが、
「そんな都合のいいもの存在するわけないじゃないか」
と、天辰葵は笑顔で言う。
「それは……」
その言葉に申渡月子は言い返せない。
そんな都合の良い物があるとは思えないからだ。
なら、なんで、そんなことを心の底から信じていたのか。
それも申渡月子にはよくわからない。
「願い事が叶うって話は、生徒にデュエルをさせる為の理由付け、まあ、ようは餌だよ」
天辰葵はその言葉を口にした。
そして、悲しそうな表情を見せる。
「餌…… ですか」
「このデュエルはね、月子の言う通りまっとうな物じゃない。だから、できることならば月子には関わって欲しくはないかな」
天辰葵のその言葉に、申渡月子はハッとなる。
それは、それこそ自分の言葉だと。
本来無関係な天辰葵を巻き込んでしまったのは自分だと。
「それは…… それこそ、こちらの話です。葵様こそ何の関係もないはずですよ」
だから、だからこそ申渡月子も今になって覚悟が付いた。
このまま、天辰葵を絶対少女にしてもいいのか、どうかと。
よくよく考えるとおかしい。
絶対少女になった者はどこへ行ったのか。
絶対少女になった、その事実だけが残り本人は神隠しにあったかのように消えてしまう。
今まで絶対少女になった三人ともがだ。
おかしくない訳がない。
そんな、いかがわしいものに天辰葵を関わらせてはならない。
それで申渡月子も覚悟を決めたのだ。
「はじめは私も手がかりを探る間の暇つぶしにでも…… と思っていたんだけどね。でも、違っていた」
そう、天辰葵もはじめはデュエルにあまり関心はなかった。
だが、デュエルに参加するうちに、その異常性は浮き彫りとなっていく。
神刀の存在、神刀で相手を斬っても痛みしか残らない、そもそも池に沈む円形闘技場だって常識外だ。
それらを自然に受け入れてしまっている生徒も、天辰葵から見ればおかしいのだ。
それらがまるで当然のように受けいられているこの状況こそが異常なのだ。
「何を言っているんですか?」
申渡月子には天辰葵の言っていることがまるで理解できない。
彼女の常識ではデュエルは普通の事でしかない。
異常とは感じられない。
それでも、申渡月子は何かを感じ取りデュエルは危険だと本能的に気づいている。
「このデュエルこそが根本だったみたい」
それに確信に変わったのは未来望とのデュエルでだ。
生徒の中にもどうにかしようともがいている者もいる。
だが、それらはすべて徒労に終わっているようだ。
だからこそ、天辰葵はこの学園に来たのだ。
「デュエルが根本?」
眉をひそめ申渡月子は聞き返す。
とても、非常に重要なことに思える。
「儀式、いや、これは祭りの一種かな…… そんな言葉はないけれど、悪祭とでもいうのかな? 私はそれを止めに来たんだよ」
そして、天辰葵はこの学園に来た理由を述べる。
「デュエルを止めに?」
「結果的にはそうなるかな。そのために私はここに来たんだよ」
「何を言っているんですか?」
だが、申渡月子もデュエルは良くないものと感じつつも、それ以上の疑念は抱けない。
天辰葵の言っている言葉が理解できない。
「月子はおかしいとは思わない? 私がこの学園に来てどれだけの月日が経ったか覚えているかい?」
天辰葵は舞っている桜の花びらを一つ掴み、それの匂いを嗅ぎながら、申渡月子に問う。
「え? そ、それは…… もう結構経ちました」
そうだ。
なんだかんだでかなりに日数が立っている。
では、具体的に何日経過しているのか、そう言われると申渡月子は答えられない。
妙に曖昧な感じでしか、もうかなりの日数を天辰葵と過ごしてはいる、そんな感覚しか得られない。
なにもかも、決定的なことがどこか霧にでも覆われていて、まるで思い出せない。
「だよね。けど、この学園は未だに桜が咲き乱れ、桜の花びらが舞っている。いつまでたっても終わらない春休みの中にいる」
そう、今はまだ春休みのままだ。
授業が始まる気配もない。
ただ、永遠と終わらない春休みが、春という季節が続いている。
「な、なにを…… でも…… たしかに……」
申渡月子の頭に鋭い痛みが走る。
グワングワンと頭の中で痛みが渦巻いている。
それにより何も思い出すことも考えることも出来ない。
「私はね、ここを正しに来たんだよ」
天辰葵は申渡月子を見て、再びそれを宣言する。
「な、何を…… 言って……」
だが、なにを正すというのか、申渡月子には理解できない。
ここでは、神宮寺学園ではそういう風になっている。
「月子? ごめんね。無理に考えこもうとしないで。何らかの強制力が働いているみたいだね」
苦痛に満ちた申渡月子の表情を見て、天辰葵は少し困ったようにそう言った。
「強制力……?」
「そう。この学園は色々と変だよ。デュエルという非常識なものを異常とも誰も思っていない。ずっと春休みなのに誰も気にしない。円形闘技場? おかしいでしょこんなもの自体が」
そう言って天辰葵は、神刀で、蛇頭蛇腹で円形闘技場の床を打ちすえた。
「そう…… なんですか?」
頭痛に苦しみながら、申渡月子は考えるが、彼女からすれば、デュエルは普通の事だ。
何一つおかしいことなどない。
普段通りの学園生活の一部でしかない。
「ここに、この学園に長くいれば疑問を持たなくなるみたいだね。いや、なにか切っ掛けがあるのかもね」
そんな申渡月子にむかい、天辰葵は更に言葉をかける。
「何を言って……」
そう言って申渡月子は更に頭痛に顔を歪める。
流石に、この辺で話を終えないとまずいと、天辰葵も思う。
この学園の強制力とも言うべき力が想像以上に強い。
「月子、今はあんまり深く考えないで。月子ももう囚われてしまっている。私も囚われる前に終わらせないといけないんだ」
「なら、なおさらです。わたくしが…… それをやります。わたくしがこの学園を、おかしいと言うのであれば、わたくしがすべてを正します。なおのこと部外者の葵様に頼るわけには参りません!」
申渡月子は激しい頭痛に耐えながら、まっすぐに天辰葵を見てそう言った。
「月子…… 君は気高いね。でも月子には無理だよ」
その申渡月子の覚悟の強さに、天辰葵も改めて驚きはするが、それでも、それは自分の役目であるし、申渡月子に任せられるものではない。
「ならば、実力でわからせるまで、です!!」
そう言って、申渡月子は頭痛を振り払い、神刀、首跳八跳を構える。
━【次回議事録予告-Proceedings.70-】━━━━━━━
運命と運命がぶつかり合い重ね合う。
それは新しい運命として廻る。
━次回、揺蕩う竜と運命を招き入れる猿.07━━━━━
「本当に常識外れな人ですね、葵様は……」
申渡月子はそう言って苦笑いをする。
「そうだよ。だから月子も遠慮しなくていいよ。それに言ったでしょう? 私も絶対少女とやらにならないとね、いけないみたなんだ」
天辰葵も何となくそれは思っていたことだ。
興味なくとも、関わらなくてはいけないことだと。
恐らくは、これが、これこそが原因の一つであると。
自分がここに来た理由でもあると。
「願いが理由ではなく?」
申渡月子は少し困った表情を浮かべて天辰葵に聞く。
「そうだね。こう言っては…… なんだけども。私は願い事を叶えてくれるなんて話は、今も信じてないよ」
天辰葵はそんな都合の良い物を信じない。
古今東西、願い事を叶えてくれるというものは、人をおびき寄せる為の罠でしかない。
天辰葵はそのことをよく知っている。
「では、どうして?」
申渡月子には理解できない。
願いが叶うからこそ、デュエリスト達は危険なリスクを負ってでもデュエルをするのだ。
それが嘘ならば根底から覆されるものだ。
だが、
「そんな都合のいいもの存在するわけないじゃないか」
と、天辰葵は笑顔で言う。
「それは……」
その言葉に申渡月子は言い返せない。
そんな都合の良い物があるとは思えないからだ。
なら、なんで、そんなことを心の底から信じていたのか。
それも申渡月子にはよくわからない。
「願い事が叶うって話は、生徒にデュエルをさせる為の理由付け、まあ、ようは餌だよ」
天辰葵はその言葉を口にした。
そして、悲しそうな表情を見せる。
「餌…… ですか」
「このデュエルはね、月子の言う通りまっとうな物じゃない。だから、できることならば月子には関わって欲しくはないかな」
天辰葵のその言葉に、申渡月子はハッとなる。
それは、それこそ自分の言葉だと。
本来無関係な天辰葵を巻き込んでしまったのは自分だと。
「それは…… それこそ、こちらの話です。葵様こそ何の関係もないはずですよ」
だから、だからこそ申渡月子も今になって覚悟が付いた。
このまま、天辰葵を絶対少女にしてもいいのか、どうかと。
よくよく考えるとおかしい。
絶対少女になった者はどこへ行ったのか。
絶対少女になった、その事実だけが残り本人は神隠しにあったかのように消えてしまう。
今まで絶対少女になった三人ともがだ。
おかしくない訳がない。
そんな、いかがわしいものに天辰葵を関わらせてはならない。
それで申渡月子も覚悟を決めたのだ。
「はじめは私も手がかりを探る間の暇つぶしにでも…… と思っていたんだけどね。でも、違っていた」
そう、天辰葵もはじめはデュエルにあまり関心はなかった。
だが、デュエルに参加するうちに、その異常性は浮き彫りとなっていく。
神刀の存在、神刀で相手を斬っても痛みしか残らない、そもそも池に沈む円形闘技場だって常識外だ。
それらを自然に受け入れてしまっている生徒も、天辰葵から見ればおかしいのだ。
それらがまるで当然のように受けいられているこの状況こそが異常なのだ。
「何を言っているんですか?」
申渡月子には天辰葵の言っていることがまるで理解できない。
彼女の常識ではデュエルは普通の事でしかない。
異常とは感じられない。
それでも、申渡月子は何かを感じ取りデュエルは危険だと本能的に気づいている。
「このデュエルこそが根本だったみたい」
それに確信に変わったのは未来望とのデュエルでだ。
生徒の中にもどうにかしようともがいている者もいる。
だが、それらはすべて徒労に終わっているようだ。
だからこそ、天辰葵はこの学園に来たのだ。
「デュエルが根本?」
眉をひそめ申渡月子は聞き返す。
とても、非常に重要なことに思える。
「儀式、いや、これは祭りの一種かな…… そんな言葉はないけれど、悪祭とでもいうのかな? 私はそれを止めに来たんだよ」
そして、天辰葵はこの学園に来た理由を述べる。
「デュエルを止めに?」
「結果的にはそうなるかな。そのために私はここに来たんだよ」
「何を言っているんですか?」
だが、申渡月子もデュエルは良くないものと感じつつも、それ以上の疑念は抱けない。
天辰葵の言っている言葉が理解できない。
「月子はおかしいとは思わない? 私がこの学園に来てどれだけの月日が経ったか覚えているかい?」
天辰葵は舞っている桜の花びらを一つ掴み、それの匂いを嗅ぎながら、申渡月子に問う。
「え? そ、それは…… もう結構経ちました」
そうだ。
なんだかんだでかなりに日数が立っている。
では、具体的に何日経過しているのか、そう言われると申渡月子は答えられない。
妙に曖昧な感じでしか、もうかなりの日数を天辰葵と過ごしてはいる、そんな感覚しか得られない。
なにもかも、決定的なことがどこか霧にでも覆われていて、まるで思い出せない。
「だよね。けど、この学園は未だに桜が咲き乱れ、桜の花びらが舞っている。いつまでたっても終わらない春休みの中にいる」
そう、今はまだ春休みのままだ。
授業が始まる気配もない。
ただ、永遠と終わらない春休みが、春という季節が続いている。
「な、なにを…… でも…… たしかに……」
申渡月子の頭に鋭い痛みが走る。
グワングワンと頭の中で痛みが渦巻いている。
それにより何も思い出すことも考えることも出来ない。
「私はね、ここを正しに来たんだよ」
天辰葵は申渡月子を見て、再びそれを宣言する。
「な、何を…… 言って……」
だが、なにを正すというのか、申渡月子には理解できない。
ここでは、神宮寺学園ではそういう風になっている。
「月子? ごめんね。無理に考えこもうとしないで。何らかの強制力が働いているみたいだね」
苦痛に満ちた申渡月子の表情を見て、天辰葵は少し困ったようにそう言った。
「強制力……?」
「そう。この学園は色々と変だよ。デュエルという非常識なものを異常とも誰も思っていない。ずっと春休みなのに誰も気にしない。円形闘技場? おかしいでしょこんなもの自体が」
そう言って天辰葵は、神刀で、蛇頭蛇腹で円形闘技場の床を打ちすえた。
「そう…… なんですか?」
頭痛に苦しみながら、申渡月子は考えるが、彼女からすれば、デュエルは普通の事だ。
何一つおかしいことなどない。
普段通りの学園生活の一部でしかない。
「ここに、この学園に長くいれば疑問を持たなくなるみたいだね。いや、なにか切っ掛けがあるのかもね」
そんな申渡月子にむかい、天辰葵は更に言葉をかける。
「何を言って……」
そう言って申渡月子は更に頭痛に顔を歪める。
流石に、この辺で話を終えないとまずいと、天辰葵も思う。
この学園の強制力とも言うべき力が想像以上に強い。
「月子、今はあんまり深く考えないで。月子ももう囚われてしまっている。私も囚われる前に終わらせないといけないんだ」
「なら、なおさらです。わたくしが…… それをやります。わたくしがこの学園を、おかしいと言うのであれば、わたくしがすべてを正します。なおのこと部外者の葵様に頼るわけには参りません!」
申渡月子は激しい頭痛に耐えながら、まっすぐに天辰葵を見てそう言った。
「月子…… 君は気高いね。でも月子には無理だよ」
その申渡月子の覚悟の強さに、天辰葵も改めて驚きはするが、それでも、それは自分の役目であるし、申渡月子に任せられるものではない。
「ならば、実力でわからせるまで、です!!」
そう言って、申渡月子は頭痛を振り払い、神刀、首跳八跳を構える。
━【次回議事録予告-Proceedings.70-】━━━━━━━
運命と運命がぶつかり合い重ね合う。
それは新しい運命として廻る。
━次回、揺蕩う竜と運命を招き入れる猿.07━━━━━
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件
こうたろ
青春
友人も恋人も居ないボッチ学生だった山田拓海が何故かモテだしてしまう。
・学園一の美人で、男女問わず憧れの的。
・陸上部のエースで、明るく活発なスポーツ女子。
・物静かで儚げな美術部員。
・アメリカから来た金髪碧眼でハイテンションな留学生。
・幼稚園から中学まで毎朝一緒に登校していた幼馴染。
拓海の生活はどうなるのか!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる