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挑む竜と神に弓引く大猪
【Proceedings.75】挑む竜と神に弓引く大猪.05
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池と湖の違いは何か。
その大きさも関係している。
大きければ湖。小さければ池。
また人工的に作った物を池と呼ぶ場合がある。
そうすると、やはりこの湖のような池は池なのだ。
元々は池だったのだ。
その大きな池の前に三人の少女と一人の青年が立っている。
戌亥道明と戌亥巧観の兄妹と、天辰葵、申渡月子の四人だ。
「さて、さっさと終わらせようじゃないか」
戌亥道明は急かすようにそう言った。
「もう少し聞きたいこともあったけど、まあいいよ」
だが、天辰葵からすれば、もう少し聞けることなら話を聞きたいことはあった。
絶対少女議事録が元は祭りの神示と言うのであれば、その祭りがどの神に向けて行われるのか、それを知っておきたかった。
とはいえ、どうせ肝心なことは戌亥道明でも言えないのだろうが。
ここはそう言う場所なのだ。
「勝負はどうせ一瞬だ。その後も、少しだけなら時間がある。その時にでもね」
戌亥道明は勝負は一瞬で着くと断言した。
「ふーん」
それに対して、天辰葵はそれを面白くなさそうに返事をした。
そして、デュエルが、最後のデュエル宣誓が始まる。
「ボク、戌亥道明は天辰葵にデュエリストとして決闘を申し込む!」
「私、天辰葵は戌亥道明との決闘をデュエリストとして受ける!」
デュエルの宣誓がされると、地響きと共に池の水面が割れ水しぶきが水煙となって辺りを埋め尽くしていく。
池が二つに割れ、水底から円形闘技場が、かつては神に神楽を奉納するための舞台が、闘技場へと歪められ貶められた舞台がせり上がってくる。
それと共に、どこからともなく少女の歌声が聞こえてくる。
円形闘技場少女合唱団だ。
その合唱は神に捧げられるべき歌声は、どこまでも純粋で澄んでいて、邪念が一切ない。
神に捧げられるべき歌声は、そのハーモニーは、合唱は、どこまでも美しく気高いものではなくてはならないのだから。
そして、その歌声は人間味がまるでない。
感情らしものが一切ないのだ。
それ故に純粋なのだ。
「決闘決闘決闘決闘! その時が来たー!」
「決闘決闘決闘決闘! 今こそたちあーがれー!」
「決闘決闘決闘決闘! 雌雄を決するときだー」
それでも素晴らしい歌声であることに変わりない。
歌詞はともかく素晴らしい歌声なのだ。
合唱と共に円形闘技場がせり上がり、四人の前に二つに分かれた階段が現れる。
戌亥道明は妹の、戌亥巧観の手を取り階段を上がっていく。
天辰葵も申渡月子の手を引き、見つめ合い、階段を登っていく。
そして、四人は再び円形闘技場のステージで向かい合う。
「さあ、とうとう優勝者、四代目の絶対少女が生まれるかどうか、そのデュエルが始まりましたね、夜子さん!」
猫屋茜は少し興奮気味に卯月夜子に話しかける。
猫屋茜は卯月夜子が魅惑的な笑みを浮かべている、と思ったが卯月夜子冷淡な表情で円形闘技場の四人を見ていた。
そして、口を開く。
「そうね…… 葵ちゃんが勝てば絶対少女が生まれてしまうのね。その時が最後のチャンス…… なのかもしれないわねん」
真剣な表情で卯月夜子は何かを決心するようにそう言った。
「チャンスですか? なんのです?」
と、猫屋茜は卯月夜子に聞き返す。
「恭子を助け出す」
決意に満ちた表情で卯月夜子はそれを口にする。
その時しか、チャンスはない。
その時しか、あの島にはいけない。入れない。
「恭子さんですか? 月子さんの姉の?」
と、猫屋茜はすこし意外そうな、なんでそんなことを言うのかわからない、そんな表情を見せて卯月夜子に聞き返す。
「ええ、私も少しづつ思い出せて来たんですよん」
酷い頭痛に苛まれながらも、卯月夜子は必死に申渡恭子のことを少しずつ思い出して来たのだ。
卯月夜子だから、彼女の強靭な精神は頭痛にも強制力にも屈せず、隠匿された真実にたどり着いた。
ただそれでも卯月夜子が思い出せたのは断片的な記憶だ。
「思い出す?」
と、猫屋茜は不思議そうな顔をする。
今では、卯月夜子も猫屋茜がそんな顔をしている理由はわかる。
自分もそうだったからだと。
この学園はおかしい。記憶も時間も何者かに歪められているのだと。
「あの時のことを…… 確かに会長は敵ではなかったわ。いえ、ある意味敵なのかもしれないですけどん」
会長が優勝し続けているから、自分が申渡恭子を助けに行くのが遅くなってしまった。
そうとも考えれる。
自分も、もっと早く真面目に絶対少女を目指すべきだったのだと。
申渡恭子を助けに行くべきだったのだと。
「なんの話ですか?」
だが、それらのことは猫屋茜にはわからない。
わかるわけもない。
彼女はただの一般人なのだ。
「こっちの話ですよん」
そう言って、卯月夜子はステージに視線を落とす。
「はぁ……? ええっと、解説をお願いしても?」
ただ、猫屋茜からすれば、ただのデュエルの、優勝が懸かっているかもしれないが、ただそれだけのデュエルでしかないのだ。
この学園で唯一の娯楽、デュエルでしかないのだ。
「ええ、いいわよん」
と、卯月夜子は快諾する。
ただ、解説するようなことは何もない。
それをわかっていながらも、卯月夜子は脳筋なので解説役を請け負い、今も安請け合いをするのだ。
「では、お願いします!」
猫屋茜は目を煌めかせて、その解説を聞きたがる。
「会長、戌亥道明は、一撃必殺を謳う剣士ね。会長の攻撃を一撃でも耐えるなり、かわすなりできれば、一流のデュエリストと言っても問題ないですよん」
そう、戌亥道明の攻撃は、そのすべてが一撃必殺である、そんな剣士だ。
特に突き技は恐ろしいほど錬磨されていて、恐るべき一撃となっている。
「そ、そうなんですね!」
猫屋茜は卯月夜子の解説に若干の物足りなさを感じつつも、感謝しつつ頷いて見せる。
「で、そのデュエルアソーシエイト、巧観ちゃんの神刀は…… 思い出せないですん」
何度も見ているはずだ。
卯月夜子が、戌亥道明が戌亥巧観をデュエルアソーシエイトとして対峙したことは恐らくはない。
それでも、何度も、何度も見て来たはずなのだ。
なのに思い出せない。
戌亥巧観の神刀がどんな能力だったのか、まるで思い出せない。
「忘れちゃったんですか?」
猫屋茜は卯月夜子の言葉に驚く。
「茜ちゃんも見ているはずですよん」
と、卯月夜子に言われ、猫屋茜は思い出そうとする。
だが、そんな記憶はない。
まるでない。戌亥巧観がデュエルアソーシエイトとして立つことなどなかったはずだ。
猫屋茜の記憶では。
「ええー、そんなことはないですよー、あれ? でも、そう言われると確かにこの組み合わせは何度も…… あっ、頭痛が……」
ないはずなのだ。
だが、必死に考えようとすると、猫屋茜は頭痛に苦しまされ始める。
頭の中がぐわんぐわんと揺れて何も考えれなくなる。
「会長もずっとこの頭痛に耐えて来てたんですかねん?」
いや、それは恐らくは違う。
会長は、戌亥道明は頭痛に苦しんでいた様子はない。
恐らく別の要因で頭痛の影響を受けていないだけだ。
「な、なんですかこの頭痛…… 頭の中がぐわんぐわんしますよ」
猫屋茜は頭痛で涙目になりながらも、その手からはマイクを手放さない。
「これ以上は危険かしらね、次は、まあ、ただのバカップルですわん」
これ以上の頭痛は危険と卯月夜子は判断し、バカップルの解説をしようとするが、この二人はずっと出続けている二人でもある。
今更何か解説することもない。
「確かに最近の二人はそう言われても問題ないですが…… あれ? 頭痛か収まりましたね」
話が変わった途端、嘘のように頭痛が収まる。
そして、そのことを猫屋茜は不思議とは思わない。
頭痛が治って良かったね、程度の感想しかない。
なぜ頭痛が起きたのかさえ、気にしない。
「まあ、そんなわけで解説しようがないわん」
しいて言うならば、二人がくっついてバカップルになった。
それくらいのものだ。
だが、それはもう誰もが知っていることだ。
「それは私も実は予想してました……」
と、猫屋茜も諦めたようにそれを認めた。
もうこの二人についてなにか解説されるようなことはないのだと。
「ほら、神刀召喚の儀が始まるわよん」
戌亥道明は、妹の戌亥巧観をまるで恋人のように抱きかかえる。
そして、見つめ合う。
その姿は本当の恋人のようにすら思える。
戌亥道明は戌亥巧観の頬に手を添えて、自分に引き寄せる。
そして、キスをする。
戌亥巧観のおでこにキスをする。
戌亥巧観のおでこが光輝き、そこから刀の柄が現れる。
戌亥道明はそれを丁寧に引き抜き、天に向かい、突き刺すように掲げる。
「影に生き影を模倣せよ、双子双刀!」
天辰葵は申渡月子と見つめ合う。
そして、笑顔を交わし合う。
視線を合わせながら、天辰葵は申渡月子に跪く。
申渡月子はゆっくりと右足を天辰葵に差し出す。
それを天辰葵は嬉しそうに、優雅に受け取り、その靴を脱がす。
ゆっくりと、丁寧に、申渡月子の履く靴下を脱がす。
そして、現れた白く美しい足に天辰葵はうっとりとした表情を浮かべ、その爪先に深く強くキスをする。
申渡月子の爪先が光り輝き、刀の柄が現れる。
それを優雅にして丁寧に。
ゆっくりと優雅に引き抜く。
それを天に掲げその銘を告げる。
「月の下では何事も些細なことに過ぎない! 月下万象!」
━【次回議事録予告-Proceedings.76-】━━━━━━━
ついに運命が蠢動するデュエルが始まる…… のか?
━次回、挑む竜と神に弓引く大猪.06━━━━━━━━
その大きさも関係している。
大きければ湖。小さければ池。
また人工的に作った物を池と呼ぶ場合がある。
そうすると、やはりこの湖のような池は池なのだ。
元々は池だったのだ。
その大きな池の前に三人の少女と一人の青年が立っている。
戌亥道明と戌亥巧観の兄妹と、天辰葵、申渡月子の四人だ。
「さて、さっさと終わらせようじゃないか」
戌亥道明は急かすようにそう言った。
「もう少し聞きたいこともあったけど、まあいいよ」
だが、天辰葵からすれば、もう少し聞けることなら話を聞きたいことはあった。
絶対少女議事録が元は祭りの神示と言うのであれば、その祭りがどの神に向けて行われるのか、それを知っておきたかった。
とはいえ、どうせ肝心なことは戌亥道明でも言えないのだろうが。
ここはそう言う場所なのだ。
「勝負はどうせ一瞬だ。その後も、少しだけなら時間がある。その時にでもね」
戌亥道明は勝負は一瞬で着くと断言した。
「ふーん」
それに対して、天辰葵はそれを面白くなさそうに返事をした。
そして、デュエルが、最後のデュエル宣誓が始まる。
「ボク、戌亥道明は天辰葵にデュエリストとして決闘を申し込む!」
「私、天辰葵は戌亥道明との決闘をデュエリストとして受ける!」
デュエルの宣誓がされると、地響きと共に池の水面が割れ水しぶきが水煙となって辺りを埋め尽くしていく。
池が二つに割れ、水底から円形闘技場が、かつては神に神楽を奉納するための舞台が、闘技場へと歪められ貶められた舞台がせり上がってくる。
それと共に、どこからともなく少女の歌声が聞こえてくる。
円形闘技場少女合唱団だ。
その合唱は神に捧げられるべき歌声は、どこまでも純粋で澄んでいて、邪念が一切ない。
神に捧げられるべき歌声は、そのハーモニーは、合唱は、どこまでも美しく気高いものではなくてはならないのだから。
そして、その歌声は人間味がまるでない。
感情らしものが一切ないのだ。
それ故に純粋なのだ。
「決闘決闘決闘決闘! その時が来たー!」
「決闘決闘決闘決闘! 今こそたちあーがれー!」
「決闘決闘決闘決闘! 雌雄を決するときだー」
それでも素晴らしい歌声であることに変わりない。
歌詞はともかく素晴らしい歌声なのだ。
合唱と共に円形闘技場がせり上がり、四人の前に二つに分かれた階段が現れる。
戌亥道明は妹の、戌亥巧観の手を取り階段を上がっていく。
天辰葵も申渡月子の手を引き、見つめ合い、階段を登っていく。
そして、四人は再び円形闘技場のステージで向かい合う。
「さあ、とうとう優勝者、四代目の絶対少女が生まれるかどうか、そのデュエルが始まりましたね、夜子さん!」
猫屋茜は少し興奮気味に卯月夜子に話しかける。
猫屋茜は卯月夜子が魅惑的な笑みを浮かべている、と思ったが卯月夜子冷淡な表情で円形闘技場の四人を見ていた。
そして、口を開く。
「そうね…… 葵ちゃんが勝てば絶対少女が生まれてしまうのね。その時が最後のチャンス…… なのかもしれないわねん」
真剣な表情で卯月夜子は何かを決心するようにそう言った。
「チャンスですか? なんのです?」
と、猫屋茜は卯月夜子に聞き返す。
「恭子を助け出す」
決意に満ちた表情で卯月夜子はそれを口にする。
その時しか、チャンスはない。
その時しか、あの島にはいけない。入れない。
「恭子さんですか? 月子さんの姉の?」
と、猫屋茜はすこし意外そうな、なんでそんなことを言うのかわからない、そんな表情を見せて卯月夜子に聞き返す。
「ええ、私も少しづつ思い出せて来たんですよん」
酷い頭痛に苛まれながらも、卯月夜子は必死に申渡恭子のことを少しずつ思い出して来たのだ。
卯月夜子だから、彼女の強靭な精神は頭痛にも強制力にも屈せず、隠匿された真実にたどり着いた。
ただそれでも卯月夜子が思い出せたのは断片的な記憶だ。
「思い出す?」
と、猫屋茜は不思議そうな顔をする。
今では、卯月夜子も猫屋茜がそんな顔をしている理由はわかる。
自分もそうだったからだと。
この学園はおかしい。記憶も時間も何者かに歪められているのだと。
「あの時のことを…… 確かに会長は敵ではなかったわ。いえ、ある意味敵なのかもしれないですけどん」
会長が優勝し続けているから、自分が申渡恭子を助けに行くのが遅くなってしまった。
そうとも考えれる。
自分も、もっと早く真面目に絶対少女を目指すべきだったのだと。
申渡恭子を助けに行くべきだったのだと。
「なんの話ですか?」
だが、それらのことは猫屋茜にはわからない。
わかるわけもない。
彼女はただの一般人なのだ。
「こっちの話ですよん」
そう言って、卯月夜子はステージに視線を落とす。
「はぁ……? ええっと、解説をお願いしても?」
ただ、猫屋茜からすれば、ただのデュエルの、優勝が懸かっているかもしれないが、ただそれだけのデュエルでしかないのだ。
この学園で唯一の娯楽、デュエルでしかないのだ。
「ええ、いいわよん」
と、卯月夜子は快諾する。
ただ、解説するようなことは何もない。
それをわかっていながらも、卯月夜子は脳筋なので解説役を請け負い、今も安請け合いをするのだ。
「では、お願いします!」
猫屋茜は目を煌めかせて、その解説を聞きたがる。
「会長、戌亥道明は、一撃必殺を謳う剣士ね。会長の攻撃を一撃でも耐えるなり、かわすなりできれば、一流のデュエリストと言っても問題ないですよん」
そう、戌亥道明の攻撃は、そのすべてが一撃必殺である、そんな剣士だ。
特に突き技は恐ろしいほど錬磨されていて、恐るべき一撃となっている。
「そ、そうなんですね!」
猫屋茜は卯月夜子の解説に若干の物足りなさを感じつつも、感謝しつつ頷いて見せる。
「で、そのデュエルアソーシエイト、巧観ちゃんの神刀は…… 思い出せないですん」
何度も見ているはずだ。
卯月夜子が、戌亥道明が戌亥巧観をデュエルアソーシエイトとして対峙したことは恐らくはない。
それでも、何度も、何度も見て来たはずなのだ。
なのに思い出せない。
戌亥巧観の神刀がどんな能力だったのか、まるで思い出せない。
「忘れちゃったんですか?」
猫屋茜は卯月夜子の言葉に驚く。
「茜ちゃんも見ているはずですよん」
と、卯月夜子に言われ、猫屋茜は思い出そうとする。
だが、そんな記憶はない。
まるでない。戌亥巧観がデュエルアソーシエイトとして立つことなどなかったはずだ。
猫屋茜の記憶では。
「ええー、そんなことはないですよー、あれ? でも、そう言われると確かにこの組み合わせは何度も…… あっ、頭痛が……」
ないはずなのだ。
だが、必死に考えようとすると、猫屋茜は頭痛に苦しまされ始める。
頭の中がぐわんぐわんと揺れて何も考えれなくなる。
「会長もずっとこの頭痛に耐えて来てたんですかねん?」
いや、それは恐らくは違う。
会長は、戌亥道明は頭痛に苦しんでいた様子はない。
恐らく別の要因で頭痛の影響を受けていないだけだ。
「な、なんですかこの頭痛…… 頭の中がぐわんぐわんしますよ」
猫屋茜は頭痛で涙目になりながらも、その手からはマイクを手放さない。
「これ以上は危険かしらね、次は、まあ、ただのバカップルですわん」
これ以上の頭痛は危険と卯月夜子は判断し、バカップルの解説をしようとするが、この二人はずっと出続けている二人でもある。
今更何か解説することもない。
「確かに最近の二人はそう言われても問題ないですが…… あれ? 頭痛か収まりましたね」
話が変わった途端、嘘のように頭痛が収まる。
そして、そのことを猫屋茜は不思議とは思わない。
頭痛が治って良かったね、程度の感想しかない。
なぜ頭痛が起きたのかさえ、気にしない。
「まあ、そんなわけで解説しようがないわん」
しいて言うならば、二人がくっついてバカップルになった。
それくらいのものだ。
だが、それはもう誰もが知っていることだ。
「それは私も実は予想してました……」
と、猫屋茜も諦めたようにそれを認めた。
もうこの二人についてなにか解説されるようなことはないのだと。
「ほら、神刀召喚の儀が始まるわよん」
戌亥道明は、妹の戌亥巧観をまるで恋人のように抱きかかえる。
そして、見つめ合う。
その姿は本当の恋人のようにすら思える。
戌亥道明は戌亥巧観の頬に手を添えて、自分に引き寄せる。
そして、キスをする。
戌亥巧観のおでこにキスをする。
戌亥巧観のおでこが光輝き、そこから刀の柄が現れる。
戌亥道明はそれを丁寧に引き抜き、天に向かい、突き刺すように掲げる。
「影に生き影を模倣せよ、双子双刀!」
天辰葵は申渡月子と見つめ合う。
そして、笑顔を交わし合う。
視線を合わせながら、天辰葵は申渡月子に跪く。
申渡月子はゆっくりと右足を天辰葵に差し出す。
それを天辰葵は嬉しそうに、優雅に受け取り、その靴を脱がす。
ゆっくりと、丁寧に、申渡月子の履く靴下を脱がす。
そして、現れた白く美しい足に天辰葵はうっとりとした表情を浮かべ、その爪先に深く強くキスをする。
申渡月子の爪先が光り輝き、刀の柄が現れる。
それを優雅にして丁寧に。
ゆっくりと優雅に引き抜く。
それを天に掲げその銘を告げる。
「月の下では何事も些細なことに過ぎない! 月下万象!」
━【次回議事録予告-Proceedings.76-】━━━━━━━
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