AIと十字館の殺人

八木山

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ふと、テーブルに目をやる。
最初に起きて調べた時に出しっぱなしにんした、穴あけパンチが目に入った。

穴。穴か。

そういえば、ナカガミのカードには穴が開いていた。
「家より名を奪え」と書いたアルベンの名前の後ろには、カードと同じく数字が書かれていた。
もしやとは思うが、カード、穴、メッセージの3つには何か関連があるのかも知れない。

考えれば考えるほど、自分の部屋に穴あけパンチがあることがとても、意味のある事のようにタナミチには感じられた。
まるで穴を開けるための道具を調べなかったことそのものが、調査の穴だったかのように見えてくる。

とりあえずノートのページを挟み、ガシャリとレバーを引いた。
そもそも使えるのかを調べたかったのだ。
紙が切断されるザクリという感触が、手に心地よい。

(・・・む)

難なくノートには穴が開いたのだが、珍しくもその穴はひし形だった。

手に取ってみると、カシャカシャと音が出る。
くりぬかれた紙がたまっているスペースに、何かプラスチックのようなものが入っているのだ。
カバーを取り外し中のゴミを調べる。

紙吹雪の中に、それはあった。
ひし形にくりぬかれた黒色のプラスチックの板の破片。
ナ、ミ、チの文字が書かれた白い破片が、それぞれ2枚ずつ。
そして、タの文字の書かれた白い破片が1枚。

ここに閉じ込めた人間がゴミをそのままにしていた、なんてことはないはずだ。
間違いなくこれも俺に見つかる前提で配置されたものに違いない。

タナミチは目を閉じて思索を巡らせる。
見落としは確かにあった、だがこうして見つけられたじゃないか。
俺は、やればできる子だ。
そう、答えは必ず近くにあるはずなのだ。
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