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白状

暗転

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騒めく全員。
壁のスイッチに最も近かった山吹が席を立ちスイッチを押すと、すぐさま光が部屋に戻った。
全員が無事に座っている。
いや、正しくは先ほどまでなかったものが紛れ込んでいた。
食堂の真ん中には、一枚の紙が現れていたのだ。


老竹(若者IS放火犯):
おいおい、終わりじゃねえのかよ!
何なんだよ、まったくよぉ!

柳(ポニテ元気っ娘):
ねぇ・・・何その紙。

紫野(脇見せ巫女):
私が読むわ。
・・・はぁ、蛭子様からみたいね、これ。


■蛭子の手紙について①
暗転と同時に食堂に現れた和紙には、次のように書かれていた。
「鬼退治の正義を自白せよ 蛭子より」


彩芽(ジェラピケ巫女):
鬼退治の正義って何?桃太郎?

鳩羽(眼鏡スレンダー巫女):
蛭子に焚きつけられた殺人犯が他にいる、これで確定です。
紅丸の死については二人が名乗り出ていますが、藍丈を毒殺した人間が不明です。

月白(ババアIS撲殺犯):
まだ終わらないわけ?

彩芽(ジェラピケ巫女):
じゃあ聞くけど二人とも藍おじは殺してないんっしょ?

月白(ババアIS撲殺犯):
それはそう。

老竹(若者IS放火犯):
右に同じく。

柳(ポニテ元気っ娘):
毒の瓶とか見つかってたしね。
ちゃんと調べないとダメなんじゃない?
そういえば、停電は蛭子様が起こしたんだよね。
どうやって停電にできたのかな?

山吹(女殴ってそうな顔):
いや、スイッチを押したら電気がついたんだ。
多分ブレーカーを落としたってことじゃないと思う。

紫野(脇見せ巫女):
ねえ、あれ。机の下にあるの、リモコンじゃない?


■蛭子の手紙について②
食堂の暗転はリモコン操作によるもの。
テーブルの足元に転がっていた。
誰が持っていたのかは、その位置からはわからない。


山吹(女殴ってそうな顔):
つまり、誰でも食堂の照明を落として紙を置くことはできたわけだ。

鳩羽(眼鏡スレンダー巫女):
ただ今、蛭子探しに意味はない、これで確定です。
唆しただけで自ら手を汚したわけではないのでしょうし。

黒木(ヒョロガリ社会人):
いや、藍丈は自分で殺したかもしれないのでは。

山吹(女殴ってそうな顔):
それに唆した本人なら毒を盛ったのが誰なのかも知ってるはずです。
そっちの方が簡単ということはないですか・・・?

老竹(若者IS放火犯):
つか、名乗り出ればよくね?
つか、蛭子が名指しすればよくね?

柳(ポニテ元気っ娘):
(萎えてる)

黒木(ヒョロガリ社会人):
自白の方が罪が軽い、とは聞きますけど・・・

柳(ポニテ元気っ娘):
ごめん、話切るようで悪いんだけど。


言葉とは裏腹に、その語気には強い意志があった。
軽蔑と怒りの混ざった顔で、柳は話し始める。


柳(ポニテ元気っ娘):
あの写真のこと、どこまで巫女さんたちは知ってたの。

鳩羽(眼鏡スレンダー巫女):
・・・私は知らなかった、なので確定白です
そもそもあの塔に入ることは私たちは許されてませんから。

彩芽(ジェラピケ巫女):
私も知らないよ。なんつっても新顔だからね~。

柳(ポニテ元気っ娘):
・・・アンタはどうなの、紫野さん。

紫野(脇見せ巫女):
私は・・・知っていました。

鳩羽(眼鏡スレンダー巫女):
加担してたってこと?

紫野(脇見せ巫女):
違います!
私が来てすぐに、二人に止めさせたんです。

柳(ポニテ元気っ娘):
嘘つくな!ブス!

山吹(女殴ってそうな顔):
茶凛さん、でも、確かに写真は1年前から撮られてないよ。

柳(ポニテ元気っ娘):
でも知ってて隠したってことでしょ。
共犯だよ、そんなの。

山吹(女殴ってそうな顔):
アルバムは書斎机の鍵付きの引き出しに入ってたんだ。
証拠を奪うのは難しかったんじゃないかな。

紫野(脇見せ巫女):
それでも、茶凛さんの言う通りよ。
私は警察に突き出せたけど、そうしなかった。

鳩羽(眼鏡スレンダー巫女):
それは、神社の評判のためですか?

紫野(脇見せ巫女):
そこにある写真の女性の家族の中には、何も知らないで幸せに家庭を築いた人もいるのよ。
自分の罪を呑み込んだ女性に、後から残酷な事実を突きつけても幸せにはならないと思ったの。

柳(ポニテ元気っ娘):
そんなの、事実から目を逸らしてるだけじゃない!


柳の目には明確な敵意があった。
紫野が止め、そして隠しとどめた神主の「秘儀」への、強烈な嫌悪感。
彼女はそのまま何も言わず踵を返し、食堂を後にしてしまう。


鳩羽(眼鏡スレンダー巫女):
とにかく。
藍丈毒殺の犯人はまだ明らかになっていません。
蛭子の言う「鬼退治の正義」がそれなのかはわからないですが、やれるだけ調べてみましょう。

彩芽(ジェラピケ巫女):
でもこの人殺し二人どうするの?

月白(ババアIS撲殺犯):
何もしないわよ?

老竹(若者IS放火犯):
このババアはともかく俺は火を点けただけなんだが。

彩芽(ジェラピケ巫女):
「だけ」って。

紫野(脇見せ巫女):
私がここに残ります。
それなら、問題はないでしょう?

山吹(女殴ってそうな顔):
一人で大丈夫ですか?


コクリと頷く紫野に「じゃあ、頼みました!」と言い残すと、山吹は部屋から走り去っていく。
それに続くように、巫女たちも一人、また一人と部屋を後にするのだった。
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