左遷社畜の俺、スキル〈星猫アプリ〉で崩壊ダンジョンの脱出目指し攻略中

小日向ななつ

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第1章 ダンジョン崩壊から始まる人生の転機

◆7◆ 俺と亜季で始めるダンジョン調査

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 勝った!
 あの厄介なモンスターに勝ったぞ!

 こみ上げてくる勝利の喜びに俺の心は踊っていた。なんせあのモンスターと真正面からぶつかって勝てたんだからな。

 そもそもモンスターは明らかに俺達人間より強い。真正面からぶつかり合おうとなんてもってのほかだ。
 そんなモンスターとまともにぶつかり合って勝てた。これを喜ばずにいられるだろうか。

『ビィー!』
「あ、悪い悪い。ご飯だったな」

 俺はナビィがお腹を空かせていたことを思い出し、何か食べられそうなものはないかとポケットを漁った。しかし、いや当然ながらそんなものはない。
 ううん、困った。頑張ってくれたから美味しいものを食べさせてやりたいんだが。

 そんな風に頭を抱えていると、リリエルさんがナビィを呼んだ。

「ナビィ、こっちに来て。ご飯よー」
『ビィー♪』

 リリエルさんの声を聞いたナビィはスマホとの憑依を解き、ふわふわと飛んでいく。俺は元に戻ったスマホに目を落とすと画面にあった【星猫アプリフォルダ】は消えていた。
 やっぱりあれはナビィの能力だったようだ。モンスターがたまに襲来するからナビィが必要っていうのもわかった気がするな。

 でも、アプリの名前が【星猫アプリ】ってあったからナビィじゃなくてもいいかもしれないな。

「界人さん、やりましたね!」

 俺が考えていると倉本が声をかけてきた。彼女のいうとおり、モンスターと化したガラクタを倒すことができたな。だけど、なんか腑に落ちない。
 そもそもなんでこんなガラクタがダンジョンにあるんだ? 確か環境保全の観点で外の物を持ち込みは禁止されているはずなんだが。

「どうしましたか、界人さん?」
「なんでこんなガラクタがあるんだろうなって思ってさ。確か持ち込み禁止にされてたよな?」
「あー、これはたぶんあれですね。不法投棄。ダンジョン管理してる他企業がお金をかけないで捨ててるって聞いたことありますよ」
「なるほど、やっぱりそうなのか」

 ダンジョン管理をしている企業はダンジョン調査している会社だけではない。施工会社に建設会社、中にはゴミ収集を行う会社もあったな。
 おそらく仕事で出た不要物質の処分をお金かけずにやったためにこんなガラクタがあったんだろう。

「噂でしか聞かなかったけど、まさか本当にやってたとはな」
「結構なガラクタがありますからね。もしかしたら他にもたくさんあるかも」
「かもな。そんでここに集められてきてっていうのを繰り返しているのかもな」

 よかったのか悪かったのか。よくわからないが、そのガラクタのおかげでリリエルさんは生き延び、俺達は救われた。かもしれない。
 何にしても許されることではないけどな。

 まあ、告発とかは後にするか。今はここを出る方法を見つけなきゃな。

「倉本、俺はこの辺りを調査しようと思ってる」
「え? でも外は危険なモンスターでいっぱいだって……」
「リリエルさんから星猫を一匹借りる。ナビィじゃなくてもいい。そうすればどうにかなる」
「……ホントにどうにかなるんですか?」

「少なくとも調査はできるな」
「なら、私も手伝います。一人よりは確実性が上がりますし」
「危険な調査だぞ。大丈夫か?」
「星猫をもう一匹借りればいけますよ。あ、それとこれからパートナーなんですから名前で呼んでくださいね!」

「名前? あー、倉本じゃダメなのか?」
「亜季がいいです! 倉本はこそばゆいので却下です!」

 なんかわからないが、まあいいか。そっちがいいならそっちで呼ぼう。

「わかった。亜季、これから頼むな」
「はい! 頼まれました界人さん!」

 こうして俺達はダンジョンの墓場を調査するために動き出す。これから何が起きるのか、どんなことが待ち受けているのかなんたわからない。
 だけどそれがいい。なんせ俺達はそれをこれから知っていくのだから。


◆◆◆◆◆

お読みいただきありがとうございます。
これにて第1章は終わりです!

これから界人と亜季には様々な出会いや試練が訪れます。
それはいいこともあれば悲しいこともあり、だけど彼らにとって恵みとなるものであります。

これからどんなことが待ち受けているのか。
楽しみにしていただけたら幸いです。

もしよろしければ作品のお気に入り登録、感想コメントをいただけたら嬉しいです。
小躍りして頑張っちゃいますよ!

引き続き、お楽しみください。
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