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拳に力が入る。申し訳なさそうに?あぁ、そうだ。申し訳ないから会社にさえ来ないと思った。
「俺は自分が悪いことをしたなんて思っていない」
堂々と言い切る笹野に、こちらが悪いかのように感じてしまう。
「アンタ、人の女と寝ておいてそれはないだろ…!」
昔の恋人だか何だか知らない。けれど、少なくとも香織は俺の妻なのだ。それなのに。
「一応謝る。せめてお前と別れてから香織と寝れば良かったか?」
力の入った拳が、笹野の頬を殴る。
「ふざけんな!!」
殴られたというのに、笹野は笑った。
「ふざけてねぇよ。…香織が遊びならふざけれたかもしれねぇけどな。俺、香織のこと愛してるから」
なんだよ。アンタ、彼女いたんじゃねぇの?
「俺は浮気なんてしない。香織だけを幸せにできる。断言する」
どうしてこんなに、虚しくなるのか。
それは考えなくても分かっていた。
香織自身も、この人の元へ行きたいと、その方が幸せだと、思っているだろうと分かるから。
この人なら、本当に香織を幸せにすると分かってしまうから、虚しくなったのだ。
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