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しおりを挟むきっかけは何だっただろうか。彼が高校の時、告白してきた言葉は今でもしっかりと覚えている。
「皆沢のこと好きだ」
当時、地味で暗くてぼっちの私に告白してきた彼に、私は言った。
「罰ゲーム?」
「な訳ねーだろ。俺は罰ゲームで告白したりしない」
彼はこの時にはもう女好きで有名で、にわかには信じられない告白だったのだ。そもそも話したこともないのに?という疑問は次の言葉で打ち消された。
「皆沢の几帳面なとことか、よく先生の手伝いしてたりとか、誰もやらない委員の仕事を一人でしているのとか。ずっと見てて、凄いなって思ってた」
その言葉が私の胸に刺さったのだと思う。誰も見ていないであろう手伝いをいつまでもしていることに、疑問を感じていた。やる意味があるのだろうかと、ずっと悩んでいた。
けれど意味はあった。こうして見てくれている人が、認めてくれる人がいた。
本当に嬉しかった。
だから、付き合うことにした。
私は告白されたという事実に自惚れていたのかもしれない。告白されたから、ずっと受身だった。
こんなので上手くいくはずもないのに。
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