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しおりを挟む「あのね、聞いて欲しいことがあるの」
「なんだ?」
実は私は結構図太いのかもしれない、と思う時がある。翔大の心配も橘の心配もしなかった。
それは多分、心配する必要がないと思った。これ以上自分があの人たちのことで胸を曇らせる必要はないと思ったからだ。
「実はね、ずっと身体の調子がおかしくて」
「え?大丈夫なのか?」
もどかしいかもしれない。もう単刀直入に言ってしまおう。
「子供出来ちゃった」
「……子供」
「うん。子供」
「……おれのこども」
「そう、和樹くんの子供」
挙動不審になった和樹に、結子は少しだけ不安になった。
「もしかして子供、いらない?」
前の奥さんとな間にも子供はいなかったという。もしかすると子供は好きじゃなくて、作ることを想定していなかったのかもしれない。結婚するのだしと安心したのは間違いだったかもしれないと考えた結子だったが、直後の和樹の言葉でそんなことも吹っ飛ぶ。
「そんなわけないだろ!びっくりして、それで、嬉しい。俺、父親になるのか…」
嬉しい。その言葉だけで嬉しくなって、結子は和樹に抱きついた。
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