【完結】25にまつわる奇妙な物語

月見こだま

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車の目印、25 日目

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 私の愛車は、ありふれた白の軽自動車だ。駐車場を見渡せば、同じ車種が2、3台は並んでいるということも珍しくない。
 ナンバープレートはもちろん違うが、一目で自分の車と分かる目印が欲しかった。
 
 フロントガラスの内側、ダッシュボードにマスコットを置いた。運転の妨げにならないように、運転する時にはドリンクホルダーに入れて。
 学生の時にゲームセンターで取った景品だが、ホコリを被っているのを見つけたのでせっかくだから目印にしようと思ったのだ。
 少し歪な造形のぬいぐるみだ。試しに一度だけ、とチャレンジして取れたのを覚えている。オレンジ色の体に、青いボタンの目。カラフルな毛糸の髪の毛。口元は真一文字で、開けないように口を縫われている。不気味に映るが、被って持っている人がいないので、自分の車がよく分かる。
 せっかくだから名前もつけた。

「今日もよろしく、にこちゃん」

 笑顔がない人形につける名前じゃないかもしれない。でも、体は太陽の色だ。悪くないと思う。

(まあ、私が呼ぶだけだしね)

 そうした日課を続けて、一か月近くが経過した。

「……あれ?」

出勤のためにドアを開け、運転席に座る。
 いつものように『今日もよろしく』と言おうとして、首を傾げた。
 にこちゃんを手にした時、ざらりと何かが落ちた。

「なに、これ?」

 その手触りは塩のようだった。透明でざらついた粒。
 それが、にこちゃんからボロボロと落ちてくる。

「わ!?」


 ボロボロボロボロ……

 持ち上げると、どんどん溢れてくる。

「やだ……!!」

 袖の中に沢山入ってきて、慌ててにこちゃんを放り投げる。
 すると。

「あつっ」

 触れていたところが、粒が入って触れた腕が、

「あつい!!!! っああ!!??」

 ベロン、

「なにこれ!?」

 赤い!! いや!! 赤黒い!!??

 ズブッと嫌な音がする。放り投げ、助手席に触れているにこちゃんの周辺が溶けて……






「っああああああああ!!」


 最後に見たにこちゃんの口は、三日月のように上を向いていた。

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