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25歳の配信
しおりを挟む俺はライブ配信というものをやっている。気分で配信してるから、開始時間も、配信時間もバラバラだ。当たり前だけど、そんな適当な配信を見てくれる人はほぼいない。
まあ、別にいいんだけど。
暇つぶしにはじめて、話し相手でも見つかればいいや、とかそんな程度。
でも、今回はちゃんと考えてきたんだ。
だって、今日は俺の25歳の誕生日だから!
「はい、25歳になりました!!」
0時ジャスト。配信を始める。今回の配信はSNSで宣伝してみたりもした。誕生日に一人は寂しいなんて、普通の理由で。
家族とは疎遠だし、誕生日を祝ってくれる友人もいない。
なんとなく、宣伝したら誰かひとりぐらいは祝ってくれないかなって。
(我ながら寂しい人生だな)
「俺は体質的にお酒飲めないからジュースで乾杯するけど、みんなは好きに飲んでくれ」
缶ジュースを手に、笑顔を作る。
視聴者は出たり入ったり。固定して入ってくれている人はいないが、いつもより多い。
「お! ありがとー、Aさん。おめでとうだけでも嬉しい」
おめでとうというメッセージが流れる。うん、これは素直に嬉しい。
土曜日だし、少しぐらい夜更かししてもいいや。アイテムを投げてほしいとか、そんな気持ちもない。
「ぴんさん、ありがとう!!」
おめでとう、と言ってくれた人の名前を読み、お礼を言う。何回か配信したことはあっても、今回が一番メッセージをもらえる。こんなに他愛もないことで喋れるのか、というほど、ずっと喋ったと思う。そして、
「25歳の目標?」
ふと、質問される。25歳は何を目標にする? って……。
「そうだな~。仕事に不満はないけど、コミュニケーションとかは最低限の会社でさあ」
別に、それが悪いとは言わないけど。みんなすごいと思うし、頑張った分だけ評価される会社でもある。だけど。
「飲み会とかもなくなってさ。もうちょっとさ――、そういうのがあってもいいのかなあとは思うから~」
まあ、俺は飲めないんだけど。飲み会の空気は好きなんだよね、と続ける。
「あ、目標、これだ! 俺が飲み会の幹事すればいいんだ!」
多分、深夜のテンションもあり、缶ジュースを一気に煽った。
「そうだよな。誘われ待ちしててもなんも始まらないし! 25歳は遊びたい時は自分から誘うを目標にするわ!」
――いいね。いい目標だと思う。
「ありがと!」
気分がよくなってきた。酒がなくても、この空気に酔える。はじめて配信も楽しいと思えた。
――仲間にできるかと思ったけど
――うん
――残念
――ザンネンザンネンザンネン
――おまえはちがったね
「――え?」
カチッと時計の音がして、画面がブラックアウトする。
(……あ、配信一時間にしてたから……)
突然のブラックアウトに胸はバクバクしたが、自分の設定のせいだとわかってほっとした。
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