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第3話
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~魔法犯罪取締室~
レグルスの号令を聞いたメンバーは各々準備に取りかかると、勝手に動き出す。
「あっあの室長。皆さん勝手に出て行ってしまいましたけど大丈夫なんですか?」
「あぁ問題ない。いつも通りだ」
そう答えながらレグルスも使い古された鉄塊のような大剣を手に持ち、立ち上がる。
(何の話し合いもしてないし、大丈夫なの?)
セレスの中で不安が渦巻く。
そんな彼女の心境を知ってか知らずか、レグルスは通信機に向かって短く告げた。
「あ、あ。全員聞こえているな。今回のヤマは魔法を用いた抗争だ。規模は知れているが、全員気を引き締めていけ。プランはいつも通り。派手に暴れろ!」
「「「了解」」」
「セレス。おまえも準備できているな?」
「はっはい!できています!」
セレスは腰に携えた剣の柄を強く握りしめ、即答する。
そんなセレスを一瞥すると、レグルスも歩き出す。
「それじゃいくぞセレス。場所は”帝都北区の外れ”だ。分かっているな」
「はっはい!」
言うが早いか、レグルスの全身が術式の光に包まれる。
「遅れるなよ。ー第一魔法術式”迅”」
「えっ...?きゃっ!」
ドォン!! 爆発的な踏み込み音と共に、レグルスの姿がかき消えた。 いや、消えたのではない。常人には追いつけない速度で加速したのだ。
「っ!第一魔法術式”迅”!」
一瞬判断が遅れたセレスも術式を起動する。
全身の神経に魔力が巡り、身体能力や反応速度が向上していく。
(たとえ魔法が使えなくても、魔術なら誰にも負けない!)
彼女も轟音を置き去りにして、レグルスの背中を追う。
帝都を二つの閃光が駆け抜けていく。
冬の冷たい空気を切り裂き、屋根から屋根へ、まるで重力など存在しないかのようなステップで跳躍を繰り返す。
数分後。 二人は目的地の高所へ音もなく着地した。
「はぁはぁはぁ」
レグルスのところへと赴いたセレスは膝に手をつき、白い息を吐き出し続ける。
「やるじゃねぇかセレス。魔術の制御も完璧だ。さすがについて来れねぇと思ってたが、見直したぜ。」
「はぁ..最初から.,.おいていくつもりだったのですか?」
未だに整いきらない息を吐きながら、憤りを含んだ声でレグルスをにらみつける。
「ガハハ!すまんすまん!最初は新人の度肝を抜いてやろうと思ったんだが、そんな必要はなかったみたいだな。」
レグルスは豪快に笑うと、真剣な眼差しで眼下を見据えた。 そこでは既に、激しい抗争が繰り広げられていた。
「突入しますか?」
セレスは緊張した様子でレグルスに問いかける。
「いや、セレスと俺は今回は見学だ。まぁあいつらのことを知る機会だと思ってゆっくりみているといい。」
そういうとレグルスは近くのベンチに腰掛ける。
「でも多勢に無勢ですよ!?私たちは3人しかいないのにさすがに危ないんじゃ」
「まぁまぁよく見とけ。あいつらならこの程度の敵なら問題ねぇ。それにもうじき終わる。」
「えっ!?」
~帝都北区 side レイン~
「おぉおぉなかなか派手にドンパチやってるじゃねか。こりゃちょいと面倒なことになるか?」
レインが現場から少し離れた建物の屋上に到着すると、武装した30人ほどの集団が争っているのが見える。
周囲の倉庫は半壊し、瓦礫の山が築かれていた。
(数は32か。それで魔法を使っていそうなのは4人ほどか。)
レインは瞬時に戦場の情報を処理していく。
(そいつらの始末はあいつらに任せるとして、、、。残りの奴から片付けるとするか。本当ならあいつらが潰し終わってからたたきてぇとこだが、このままだとちょいとばかし被害がでかくなる可能性がたけぇか。)
レインは冷静に敵の戦力を分析して、自身に求められる仕事を把握する。
戦闘の現場から近い建物の屋上に陣を張ったレインは愛用の長物ライフル「ヴァルガ」を取り出す。
そして――おもむろに懐からウイスキーのスキットルを取り出し、一気に煽る。
「ぷはぁ!たまんねぇなまったくよぉ。やっぱやる前にはとりあえず酒だろ。」
空になった容器を放り投げると、カラン、と乾いた音が響いた。 零れた琥珀色の液体が、地面に小さな染みを作る。
「んじゃ。そろそろ始めようか。ー第三魔法術式”凪”。」
術式が脳と神経を掌握し、感覚を極限まで研ぎ澄ませていく。空気の揺らぎ、敵の動き、鉄のにおい全てがレインの体に情報として集められていく。
「目標までの距離約1km。風向は北に1m/s。後はこいつの機嫌次第ってところか。」
愛銃『ヴァルガ』に魔力を流し込む。 銃身に刻まれた紋様が淡く発光し、ライフリングの一本一本までがレインの指先と同化する。
周囲の喧騒が消えた。 ドクン、ドクンという自身の心臓の音だけが、メトロノームのようにリズムを刻む。
完全なゾーン。 レインはゆっくりと瞼を開き、遥か遠くの標的をその網膜に焼き付けた。
「ー星群《アステリズム》」
レインがそういうとヴァルガから魔力の銃弾が放たれる。
放たれた銃弾は空中で分裂すると、抗争を続ける集団に雨の様に降りかかる。
ズガガガガガガガガガッ!!!
「「ぎゃあああッ!?」」
反応が遅れたものは銃弾が直撃し重傷を負う。反応できたものも見えないところから放たれた攻撃に動揺が隠しきれない。
「とりあえず雑魚の掃除はできたことだし後はあいつらに任せるとしますか」
レインはスコープから目を離すと、再び気怠げな酔っ払いの顔に戻り、懐から二本目のスキットルを取り出してウイスキーを煽った。
レグルスの号令を聞いたメンバーは各々準備に取りかかると、勝手に動き出す。
「あっあの室長。皆さん勝手に出て行ってしまいましたけど大丈夫なんですか?」
「あぁ問題ない。いつも通りだ」
そう答えながらレグルスも使い古された鉄塊のような大剣を手に持ち、立ち上がる。
(何の話し合いもしてないし、大丈夫なの?)
セレスの中で不安が渦巻く。
そんな彼女の心境を知ってか知らずか、レグルスは通信機に向かって短く告げた。
「あ、あ。全員聞こえているな。今回のヤマは魔法を用いた抗争だ。規模は知れているが、全員気を引き締めていけ。プランはいつも通り。派手に暴れろ!」
「「「了解」」」
「セレス。おまえも準備できているな?」
「はっはい!できています!」
セレスは腰に携えた剣の柄を強く握りしめ、即答する。
そんなセレスを一瞥すると、レグルスも歩き出す。
「それじゃいくぞセレス。場所は”帝都北区の外れ”だ。分かっているな」
「はっはい!」
言うが早いか、レグルスの全身が術式の光に包まれる。
「遅れるなよ。ー第一魔法術式”迅”」
「えっ...?きゃっ!」
ドォン!! 爆発的な踏み込み音と共に、レグルスの姿がかき消えた。 いや、消えたのではない。常人には追いつけない速度で加速したのだ。
「っ!第一魔法術式”迅”!」
一瞬判断が遅れたセレスも術式を起動する。
全身の神経に魔力が巡り、身体能力や反応速度が向上していく。
(たとえ魔法が使えなくても、魔術なら誰にも負けない!)
彼女も轟音を置き去りにして、レグルスの背中を追う。
帝都を二つの閃光が駆け抜けていく。
冬の冷たい空気を切り裂き、屋根から屋根へ、まるで重力など存在しないかのようなステップで跳躍を繰り返す。
数分後。 二人は目的地の高所へ音もなく着地した。
「はぁはぁはぁ」
レグルスのところへと赴いたセレスは膝に手をつき、白い息を吐き出し続ける。
「やるじゃねぇかセレス。魔術の制御も完璧だ。さすがについて来れねぇと思ってたが、見直したぜ。」
「はぁ..最初から.,.おいていくつもりだったのですか?」
未だに整いきらない息を吐きながら、憤りを含んだ声でレグルスをにらみつける。
「ガハハ!すまんすまん!最初は新人の度肝を抜いてやろうと思ったんだが、そんな必要はなかったみたいだな。」
レグルスは豪快に笑うと、真剣な眼差しで眼下を見据えた。 そこでは既に、激しい抗争が繰り広げられていた。
「突入しますか?」
セレスは緊張した様子でレグルスに問いかける。
「いや、セレスと俺は今回は見学だ。まぁあいつらのことを知る機会だと思ってゆっくりみているといい。」
そういうとレグルスは近くのベンチに腰掛ける。
「でも多勢に無勢ですよ!?私たちは3人しかいないのにさすがに危ないんじゃ」
「まぁまぁよく見とけ。あいつらならこの程度の敵なら問題ねぇ。それにもうじき終わる。」
「えっ!?」
~帝都北区 side レイン~
「おぉおぉなかなか派手にドンパチやってるじゃねか。こりゃちょいと面倒なことになるか?」
レインが現場から少し離れた建物の屋上に到着すると、武装した30人ほどの集団が争っているのが見える。
周囲の倉庫は半壊し、瓦礫の山が築かれていた。
(数は32か。それで魔法を使っていそうなのは4人ほどか。)
レインは瞬時に戦場の情報を処理していく。
(そいつらの始末はあいつらに任せるとして、、、。残りの奴から片付けるとするか。本当ならあいつらが潰し終わってからたたきてぇとこだが、このままだとちょいとばかし被害がでかくなる可能性がたけぇか。)
レインは冷静に敵の戦力を分析して、自身に求められる仕事を把握する。
戦闘の現場から近い建物の屋上に陣を張ったレインは愛用の長物ライフル「ヴァルガ」を取り出す。
そして――おもむろに懐からウイスキーのスキットルを取り出し、一気に煽る。
「ぷはぁ!たまんねぇなまったくよぉ。やっぱやる前にはとりあえず酒だろ。」
空になった容器を放り投げると、カラン、と乾いた音が響いた。 零れた琥珀色の液体が、地面に小さな染みを作る。
「んじゃ。そろそろ始めようか。ー第三魔法術式”凪”。」
術式が脳と神経を掌握し、感覚を極限まで研ぎ澄ませていく。空気の揺らぎ、敵の動き、鉄のにおい全てがレインの体に情報として集められていく。
「目標までの距離約1km。風向は北に1m/s。後はこいつの機嫌次第ってところか。」
愛銃『ヴァルガ』に魔力を流し込む。 銃身に刻まれた紋様が淡く発光し、ライフリングの一本一本までがレインの指先と同化する。
周囲の喧騒が消えた。 ドクン、ドクンという自身の心臓の音だけが、メトロノームのようにリズムを刻む。
完全なゾーン。 レインはゆっくりと瞼を開き、遥か遠くの標的をその網膜に焼き付けた。
「ー星群《アステリズム》」
レインがそういうとヴァルガから魔力の銃弾が放たれる。
放たれた銃弾は空中で分裂すると、抗争を続ける集団に雨の様に降りかかる。
ズガガガガガガガガガッ!!!
「「ぎゃあああッ!?」」
反応が遅れたものは銃弾が直撃し重傷を負う。反応できたものも見えないところから放たれた攻撃に動揺が隠しきれない。
「とりあえず雑魚の掃除はできたことだし後はあいつらに任せるとしますか」
レインはスコープから目を離すと、再び気怠げな酔っ払いの顔に戻り、懐から二本目のスキットルを取り出してウイスキーを煽った。
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