16 / 58
2023/01/08 BGM: Perfume - チョコレイト・ディスコ
しおりを挟む
今日は休みだった。朝、レディオヘッド『OK Computer』を聴きながらミヒャエル・エンデ『モモ』を読む。実を言うと『モモ』はこれが初読だったのだが、すこぶる深い作品だと思った。架空の都市に現れたモモという少女と「時間貯蓄銀行」を名乗る「灰色の男たち」との戦いを通して、現代の高度資本主義やコスト・パフォーマンスを追求する社会から抜け落ちてしまうものを指摘している。空想と戯れることの大事さ、私たちに潤沢に与えられていてそれゆえに見直しづらい時間というものを今一度見つめ直す態度。死生観についても触れられており、こうした文学に触れてこなかった自分の人生を情けなくも思ってしまった。まあ、世の中そんなものである。
毎週木曜日の夜は宍粟市国際交流協会や市役所の方と一緒にZOOMでミーティングをしているのだけれど、次の木曜日は私が発表をする当番になっていたのでこの『モモ』について話せればと思い、さっそく資料を作る。その段階で自分自身の人生の「コスパ」「タイパ」「ムダ」についても考える。早稲田に行ったことも自分にとっては「ムダ」だったかもしれない、と言うと反感/顰蹙を買うだろうか。だがあの大学時代の4年間、あれほど自由だった時間を自分は使いこなせず、タラタラと鬱をこじらせて過ごしていたのが実態だった。謙虚にアルバイトをして社会と触れるかあるいはもっと本を読んで学んでいたらよかったかな、と思う。4年間、腰を据えてフランス語を学んでいれば……「タラレバ」に浸ってもなんにもならないのだけれど。
「タイパ」の必然性を感じ、映画を倍速で観たりオチをあらかじめ知っている状態で観たいがためにドラマを最終話から観たりしているのはX世代と呼ばれる人たちらしい。だが、調べていてふと「伝統的な修業はムダ」「効率化を図れば寿司職人だって簡単に養成できる」という意見(by堀江貴文)に触れると、「タイパ」はむしろ日本人全体の問題のようにも思った。その反動(?)として田舎暮らしの不便な生活を(サステナビリティを重視しつつ)選ぶスローライフという活き方もあるとかで、私自身はさしずめスローリーディングを学ばなければならないかな、と実にせっかちでシッチャカメッチャカな読書傾向を振り返って思ってしまう。それができないがゆえの発達障害なのだけれど……。
夜、読みかけていた『言語はこうして生まれる』を読み終える。今年も始まって間がないがさっそく年間ベスト級の良書に触れられた、と満足に思った。私たちはルール/文法に厳格に則って言葉を使っていると思ってしまいがちだが、実はコミュニケーションはその都度ジェスチャーゲームや即興が生み出す「その場しのぎ」の偶然性によって成り立っている、とこの本は指摘する。私は門外漢なのでこの理屈の正誤はわからず、ただわかりやすいロジックの運びに「ほ~」と嘆息するしかなかった。だが、この偶然性を重視した理屈は例えばウィトゲンシュタインの「言語ゲーム」という概念、ウィトゲンシュタイン自身が嘆息したコミュニケーションの神秘と馴染むのではないかとも思ったのだが、これも私のバグだらけの脳が生み出した妄想にすぎないのだろうか?
毎週木曜日の夜は宍粟市国際交流協会や市役所の方と一緒にZOOMでミーティングをしているのだけれど、次の木曜日は私が発表をする当番になっていたのでこの『モモ』について話せればと思い、さっそく資料を作る。その段階で自分自身の人生の「コスパ」「タイパ」「ムダ」についても考える。早稲田に行ったことも自分にとっては「ムダ」だったかもしれない、と言うと反感/顰蹙を買うだろうか。だがあの大学時代の4年間、あれほど自由だった時間を自分は使いこなせず、タラタラと鬱をこじらせて過ごしていたのが実態だった。謙虚にアルバイトをして社会と触れるかあるいはもっと本を読んで学んでいたらよかったかな、と思う。4年間、腰を据えてフランス語を学んでいれば……「タラレバ」に浸ってもなんにもならないのだけれど。
「タイパ」の必然性を感じ、映画を倍速で観たりオチをあらかじめ知っている状態で観たいがためにドラマを最終話から観たりしているのはX世代と呼ばれる人たちらしい。だが、調べていてふと「伝統的な修業はムダ」「効率化を図れば寿司職人だって簡単に養成できる」という意見(by堀江貴文)に触れると、「タイパ」はむしろ日本人全体の問題のようにも思った。その反動(?)として田舎暮らしの不便な生活を(サステナビリティを重視しつつ)選ぶスローライフという活き方もあるとかで、私自身はさしずめスローリーディングを学ばなければならないかな、と実にせっかちでシッチャカメッチャカな読書傾向を振り返って思ってしまう。それができないがゆえの発達障害なのだけれど……。
夜、読みかけていた『言語はこうして生まれる』を読み終える。今年も始まって間がないがさっそく年間ベスト級の良書に触れられた、と満足に思った。私たちはルール/文法に厳格に則って言葉を使っていると思ってしまいがちだが、実はコミュニケーションはその都度ジェスチャーゲームや即興が生み出す「その場しのぎ」の偶然性によって成り立っている、とこの本は指摘する。私は門外漢なのでこの理屈の正誤はわからず、ただわかりやすいロジックの運びに「ほ~」と嘆息するしかなかった。だが、この偶然性を重視した理屈は例えばウィトゲンシュタインの「言語ゲーム」という概念、ウィトゲンシュタイン自身が嘆息したコミュニケーションの神秘と馴染むのではないかとも思ったのだが、これも私のバグだらけの脳が生み出した妄想にすぎないのだろうか?
0
あなたにおすすめの小説
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
不倫妻への鎮魂歌 ―サレ夫が選んだ、最も残酷で静かな復讐―
MisakiNonagase
大衆娯楽
「サレ夫、再生。不倫妻、転落。──その代償は、あまりに重い。」
「嘘で塗り固めた20年より、真実で歩む明日がいい。」
失って初めて気づく、守られていた日々の輝き。
46歳の美香にとって、誠実な夫と二人の息子に囲まれた生活は、退屈で窮屈な「檻」だった。若い男からの甘い誘惑に、彼女は20年の歳月を投げ打って飛び込んだ。 しかし、彼女が捨てたのは「檻」ではなく「聖域」だったのだ。 不倫、発覚、離婚、そして孤独。 かつての「美しい奥様」が、厚化粧で場末のスナックのカウンターに立つまでの足取りと、傷つきながらも真実の幸福を掴み取っていく夫・徹の再生を描く。 家族とは何か、誠実さとは何か。一通の離婚届が、二人の人生を光と影に分かつ。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる