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第三章. 最強娘を再教育
033. 悩むレヴィア
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「…………」
「…………」
という訳で冒頭の状況である。
あの後、付近にあった野盗のアジトを潰し、助けた行商人の好意で馬車に載せてもらう事ができたのだ。
幸か不幸か囚われている人はいなかったのだが、ため込んでいた金品が手に入った。その上移動まで楽になった。
物質的には万々歳の結果。しかし精神的には真逆である。ネイは純花に怒っており、純花はネイを面倒な存在と認識した。お互いがお互いをシカトしている状態である。
「レ、レヴィア。何とかしてよ」
空気を読みまくるリズには辛い状態なのだろう。小さな声でレヴィアに仲裁を頼む。
「うーん、わたくしも何とかしたいところですが、どうしたものか。どっちかが折れるのが一番ですが、どっちも頑固そうですし」
「まずはスミカを何とかした方がいいと思う。言い分は分からなくもないけど、極端すぎ」
「わたくしもそう思います。全く、アリスのやつめ。どんな躾したんだ……」
レヴィアは頭を抱えた。
再会した娘。大分性格が変わっている事は認識していたが、ここまでとは思っていなかったのだ。自身の妻とは似ても似つかぬ性格。人当たりが良く誰にでも優しい彼女とは真逆であった。いや、ある意味似ている気も……?
「家族がそばにいないから余裕がないんじゃない? アンタの事明かせば改善されるかもよ?」
「うっ……! そ、それは最終手段ですわ。親に嘘つく子みたいですし、表面的にマシになるだけでしょう」
「……まあ、そうね。あの感じだとそうかも」
視線をスイスイ泳がせながらも何とか言い訳に成功。リズは納得した様子で、蒸し返される事はなさそうだ。
「ならどうする? 私はまだスミカの事よく知らないし、やるならアンタが適任だと思うけど」
「そうですねぇ……」
リズの言う通り改善が必要なのは間違いない。今回の事を置いといてもこんな性格では先々苦労するのが目に見えている。親としては何とかしてあげたいところだ。
性格改善に成功すればネイとのわだかまりも自然と解ける。純花の今後の為にもなる。養育実績的にもかなりの成果となる、はず。さてどうしようとレヴィアは考え始めた。
(他人に優しく。優しくか。どうすれば納得させれるだろーか。言葉で言ってもダメだろうしな。『どうでもいい人間に何で優しくしなきゃなんないの?』とか返ってきそう)
というかレヴィア自身も他人を無条件に助けるのは否定的な思いがある。報酬が期待できたり、助けなければ逆に面倒だったりする時くらいでいいと思っている。今回協力したのも『話題をそらす&ネイがメンドクセー&助けたらお礼をくれるかも』という考えからだった。
とはいえ、娘にそのような考え方をして欲しいかと言えば……。
(……いや、別に問題ないな)
変にいい人やってるよりマシだ。いい人とは素晴らしい存在であるが、文字通り都合のいい存在でもあるのだ。純花のような勝ち組の令嬢がなってはいけない。何故ならタカられるからだ。
レヴィアにも経験がある。社長になって儲け始めた途端に知らない親戚が増え、タカられそうになったのを。もし純花がいい人だった場合、そういうヤツらに食い物にされる。ならば今の性格の方がマシだ。
(それに、やりたくない事をスッパリ断れるって事は意思が強いって事だからな。弱いよりはいい。……あれ? だとすると何が問題なんだ?)
腕を組み、悩む。他人に優しく。優しくしてどうする。自分が優しくするのは何の為?
純花の性格に問題があるのは分かる。実際に問題になってるし、直さなければならないのも分かる。しかし冷静に考えれば考えるほど『別に良くね?』とも思ってしまう。
明らかに問題なのは殺意が高すぎるところくらいだろうか。娘に人殺しなどしてほしくないのでさっきは止めた。とはいえ平和な日本に比べてこの世界は危険なので、完全に禁止するのも違う気がする。
何と言えばいい? 何を教えればいい? せめていい人のフリだけでもしろと言う?
うーん、うーんとレヴィアは考え込む。必死の表情だ。未だかつてないほどの難問であった。レヴィアにとっては。
結局、次の町に着くまでに解決法は思いつかず、馬車内は険悪なままだった。
「…………」
という訳で冒頭の状況である。
あの後、付近にあった野盗のアジトを潰し、助けた行商人の好意で馬車に載せてもらう事ができたのだ。
幸か不幸か囚われている人はいなかったのだが、ため込んでいた金品が手に入った。その上移動まで楽になった。
物質的には万々歳の結果。しかし精神的には真逆である。ネイは純花に怒っており、純花はネイを面倒な存在と認識した。お互いがお互いをシカトしている状態である。
「レ、レヴィア。何とかしてよ」
空気を読みまくるリズには辛い状態なのだろう。小さな声でレヴィアに仲裁を頼む。
「うーん、わたくしも何とかしたいところですが、どうしたものか。どっちかが折れるのが一番ですが、どっちも頑固そうですし」
「まずはスミカを何とかした方がいいと思う。言い分は分からなくもないけど、極端すぎ」
「わたくしもそう思います。全く、アリスのやつめ。どんな躾したんだ……」
レヴィアは頭を抱えた。
再会した娘。大分性格が変わっている事は認識していたが、ここまでとは思っていなかったのだ。自身の妻とは似ても似つかぬ性格。人当たりが良く誰にでも優しい彼女とは真逆であった。いや、ある意味似ている気も……?
「家族がそばにいないから余裕がないんじゃない? アンタの事明かせば改善されるかもよ?」
「うっ……! そ、それは最終手段ですわ。親に嘘つく子みたいですし、表面的にマシになるだけでしょう」
「……まあ、そうね。あの感じだとそうかも」
視線をスイスイ泳がせながらも何とか言い訳に成功。リズは納得した様子で、蒸し返される事はなさそうだ。
「ならどうする? 私はまだスミカの事よく知らないし、やるならアンタが適任だと思うけど」
「そうですねぇ……」
リズの言う通り改善が必要なのは間違いない。今回の事を置いといてもこんな性格では先々苦労するのが目に見えている。親としては何とかしてあげたいところだ。
性格改善に成功すればネイとのわだかまりも自然と解ける。純花の今後の為にもなる。養育実績的にもかなりの成果となる、はず。さてどうしようとレヴィアは考え始めた。
(他人に優しく。優しくか。どうすれば納得させれるだろーか。言葉で言ってもダメだろうしな。『どうでもいい人間に何で優しくしなきゃなんないの?』とか返ってきそう)
というかレヴィア自身も他人を無条件に助けるのは否定的な思いがある。報酬が期待できたり、助けなければ逆に面倒だったりする時くらいでいいと思っている。今回協力したのも『話題をそらす&ネイがメンドクセー&助けたらお礼をくれるかも』という考えからだった。
とはいえ、娘にそのような考え方をして欲しいかと言えば……。
(……いや、別に問題ないな)
変にいい人やってるよりマシだ。いい人とは素晴らしい存在であるが、文字通り都合のいい存在でもあるのだ。純花のような勝ち組の令嬢がなってはいけない。何故ならタカられるからだ。
レヴィアにも経験がある。社長になって儲け始めた途端に知らない親戚が増え、タカられそうになったのを。もし純花がいい人だった場合、そういうヤツらに食い物にされる。ならば今の性格の方がマシだ。
(それに、やりたくない事をスッパリ断れるって事は意思が強いって事だからな。弱いよりはいい。……あれ? だとすると何が問題なんだ?)
腕を組み、悩む。他人に優しく。優しくしてどうする。自分が優しくするのは何の為?
純花の性格に問題があるのは分かる。実際に問題になってるし、直さなければならないのも分かる。しかし冷静に考えれば考えるほど『別に良くね?』とも思ってしまう。
明らかに問題なのは殺意が高すぎるところくらいだろうか。娘に人殺しなどしてほしくないのでさっきは止めた。とはいえ平和な日本に比べてこの世界は危険なので、完全に禁止するのも違う気がする。
何と言えばいい? 何を教えればいい? せめていい人のフリだけでもしろと言う?
うーん、うーんとレヴィアは考え込む。必死の表情だ。未だかつてないほどの難問であった。レヴィアにとっては。
結局、次の町に着くまでに解決法は思いつかず、馬車内は険悪なままだった。
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