ボディガードはオジサン

しょうわな人

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第47話 待ち構えていた者

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 総勢6人で押しかけたのだがイギリス大使館は歓迎ムードだった。大使、大使夫人、ご息女の3人は本当に心から嬉しそうな顔をしている。

「ウエルカム! リョウコ、ナミ、ヒナ、それに名前を知らない美女さん、ヨオこソ、英国大使館に!」

 このオッサン大使、って私もオジサンだが、見事に女性にだけ挨拶をしたな。実はイタリア人じゃ無いだろうな? それでも私とトウシくんは後ろに半歩下がった。 
 しかし、トウシくんにも声がかかる。しかし、全て英語だったのでトウシくんは自分の名前が呼ばれた事しか分からないようだった。
 私は彼の後ろで通訳してあげた。

「トウシくん、大使の奥様とお嬢さんが君に会えて本当に嬉しいと言ってるよ。良かったらあとで一緒に写真を撮りたいがかまわないかって聞いてるよ」

 私の通訳にトウシくんは笑顔になりお2人にオーケー、オーケーと返事をした。

 大使は既に深野さん女神を右横で写真を撮り、次にナミちゃん、ヒナちゃんを両隣に写真を撮りと好き放題だ…… ヒヤマさんは上手く避けているようだが。
 それを確認した私は帰りに絶対に大使にイタズラしてやると心に誓った。

 その時に私の【魔力感知】と【電波感知】に何かが引っかかった。それぞれ違う場所からだ。私は魔力を先ず調べた。すると大使館の2階から何者かが【睡眠魔法】をランドールの2人と深野さん女神に向かって発している。しかし、私の結界に阻まれてその貧弱な魔法は効いてない。そんな貧弱な魔法で我が渾身の結界を破れるものかっ!!

 そう思いながら私は私の護衛対象を狙うその者を容赦せずに眠らせた。48時間ほどだが、その寝てる間に悪夢を見るように【闇魔法】でナイトメアを付け足しておいた。

 いい夢みろよ! アバよ!!

 電波の方は大使館に近い場所にあるホテルからだった。どうやら高性能カメラで撮影されてるようだがそちらは取り敢えず無視しておいても大丈夫なようだな。悪意の感じはしない。ただ、私と同じように英国大使に対しては好き放題に写真なんか撮りやがってと怒りを持っているようだが……

 しかし大使館員の中にもやはり刺客が居たか。他にも居るかも知れないが、仲間が眠らされたのを確認したらどう出てくるか。私は更に警戒を強めながら、今度は大使館内を案内される事になったので、ついて歩いていく。

 そして、大使館の人たちを巻き込まない形で、私たち6人は違う場所に連れて来られた。
 おおっと…… コレは想定外だったな。まさか転移させられるとは思わなかったよ。発動するまで魔力が出てなかったから気づくのに遅れてしまった。ちょっと失敗だな…… もしもココにエロフ師匠が居たなら、場所を考えずに罰だと言って精を搾り取られていた事だろう。居なくて良かった……

 そこまで考えていた時に何者かが姿は見せずに声だけを発した。

「フフフ、ようこそ、我らと同様に力を持つ者たちよ」

 少しだけ英語なまりがあるが流暢な日本語だ。そして隠れてるつもりだろうが、私には丸見えである。それに間違ってるぞ。ココに居る全員がそうじゃないからな。といっても未熟者だから誰がそうなのか分からないだけなんだろうけどね。

「さて、ここでは君たちに誓いを立てて貰おうと思っているのだが…… 我らが組織、フリーメーデンに忠誠を誓いその持つ能力を封印して貰いたい!!」

 大仰に言ってきてるがどうやらあのおかしな手紙を送ってきた組織の一員のようだ。しかし、そんな丸見え隠れてるけどでフリをつけてセリフを言うのは私に笑えと言ってるようなものだ。

 思わず吹き出してしまった。

「プッ! クククッ」
「プッ、ウフフフ」

 ん? ヒヤマさんも笑ってるぞ、まさか見えてるのか? 本当にヒヤマさんとは腰を据えて話合いをしなければいけないなと思う。
 思うのだが、いつも忘れてしまうのは何故なんだろうか? こうして疑問に思うのも忘れてしまうのだから、何か理由があるのだろうとは思うのだが……

 っと、笑った私とヒヤマさんを見て、丸見え隠れてるの組織の一員が見つけたみたいな顔をした。因みにヒナちゃんも同じ方向を見ているが、私のようにその姿が見えてる訳ではない。魔力を感じているのだろう。

「フフフ、そこに居たのか。そこの男性とそちらの美女がそうなんだな…… ならばその能力を封じさせて貰おう!!」

 ヒヤマさんは私を見ている。私は取り敢えずヒヤマさん以外の深野さん女神、ヒナちゃん、ナミちゃん、トウシくんの思考を停止させ、丸見え隠れてる男を名実ともに丸見えにしてやった。

「なっ!? 馬鹿な! 我が【空間拠点】が破られるとはっ!!」

 いや、そんな初級も初級、異世界ならば【空間魔法】をスキルとして覚えて初めて学ぶ基礎を大層に言われても…… 正直に言ってエロフ師匠なら落第点を付けられてミイラになるまで搾られてるぞ!

「取り敢えず姿を表して貰ったが能力者の能力を封じてどうするつもりなんだ、お前たちの組織は?」

 私の問いかけに男は素直に答えた。いいのか?

「フフフ、どうやったかは分からないが我らにはまだまだ凄い能力があるからな。我が組織の意義を問うならば教えてやろう! フリーメーデンは英国紳士の集いだっ! 馬鹿なアジア人やヤンキーなアメリカ人たちが能力を持てばきっと世界中が混乱状態になる。我らはそれを阻止する為に組織された崇高な集まりなのだっ!! 分かったならその能力を封じさせて貰うぞっ!!」

 ハアー? やっぱり地球にも居るんだな…… 馬鹿は。私は演出として指パッチンを鳴らして男の魔力を封じ込めた。

「んなっ!? 我が空間支配が!? 発動しないっ!! なっ、何故だっ?」

「はいはい、もう良いから寝ておきなさい。起きたらいい夢みたと思って全て忘れて暮らすんだな」

 私はそう言って男を眠らせた。その瞬間に私たちは元の場所、元の時間に戻っていた。転移させられる前の時間軸にだ。私が思考停止させた4人も普通に大使たちと会話をしている。
 コレは私の仕業しわざではない。私はヒヤマさんを見るが、ヒヤマさんも戻った時間軸の状態に違和感を感じてないようだし、顔を見た私に、

「鴉さん、どうかしましたか? 何か問題が?」

 と聞いてきたので、ヒヤマさんの仕業しわざでもないようだ。

 どうやらフリーメーデンなどというおふざけ組織よりも私にもその能力を感じさせない存在がいるようだ。
 恐らく人間ではないだろうな……
 そこまで考えて私は5人に張っている結界をもう2段階上に強化した。コレで転移すら防ぐ事も出来る。因みにこの結界ならばこのまま活火山の火口に飛び込んでも大丈夫だ。

 だが私はこの時に地球に戻ってまで勇者の真似事をしなくちゃいけないのかと精神的にドッと疲れが押し寄せてくるのを感じたのだった……
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