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008 テンプレを知る
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ゴチャゴチャと他の先生方からも声をかけられたがあまりに1度に言われたので内容は覚えていない。
気がつけば先程、涙ぐみながら俺を合格だと言った先生に案内されて教室の前まで来ていた。
しかし本当に編入試験を受けなくても良かったのだろうか? まあ、他の先生方もウンウンと頷いていたのでいいのだろうと思う。
先生の案内で教室の中に入る俺とミリア。すると、先生の後に入った俺を見てざわつき、その後に入ったミリアを見て教室の中が沸き立った。
「ミリアちゃん、キターッ!!」
「ミリア嬢! やっと俺の熱意を!!」
「ミリアさん、遂に僕の気持ちに気づいたのか!」
「ケッ、来やがったよ、ミリアが……」
「今さら何しに来たのかしら?」
「勉強についていけるのかしらね?」
前半男子、後半女子…… 良くも悪くも人気者だな、ミリア。そんなミリアは表情を消して1番前の空席に座った。そして、先生が手を叩きみんなの注意を引く。
「ハイハイ、そこまでよ、皆さん。今から編入してきたケインくんに挨拶をして貰います。皆さん、拝聴するように!」
いえ、拝聴しなくていいですしいきなりそんな事を言われても何を言えば良いのか…… それでも俺は腹を括って喋り出した。
「ケインです。これから皆さんと一緒にこの学園で色々な事を学んで行きたいと思います。どうかよろしくお願いします」
そう言って一礼してから顔を上げると、
「ケッ、何しに来やがった、リア充が!」
「顔だけは良さそうだが、俺の左腕の封印を解いて片付けてやる!」
「バカな奴だ。よりによってこのクラスに入るとは……」
「アラ? 中々可愛らしいわね」
「ちょっと好みだわー」
「勉強出来そうね!」
前半男子、後半女子からの洗礼だった。
その時、クラスの扉が突然バーンと開いて廊下からキラキラ衣装を着た少し年上だろう男子が現れた。そして、開口一番に、
「オオッ! 本当にミリア嬢だ! やっと僕との婚約を認めたんだね、ミリア嬢。さあ、今すぐ父上の元に行こうかっ!!」
と大声で叫んだ。その男子の出現にザワザワする教室。冷めた表情のミリア。
ミリアはその男子に向けて言う。
「シャイピンシャルドネ王太子ご子息に申し上げます。私はケイン以外の男子と付き合うつもりはございません。悪しからずご了承くださいませ」
ものすっごく冷めた目でミリアにそう言われたシャイピンシャルドネさんは、
「ケイン? 何者だ! 私のミリア嬢に横恋慕しているのは!!」
と叫ぶけど、この子、バカだよね? どこをどう解釈すれば俺がミリアに横恋慕してる事になるのか……
だが、クラスの男子全員が俺を指差しやがったのでシャイピンシャルドネさんが俺の方を見た。
「ほう! 貴様がケインか! 身の程知らずにも私のミリア嬢に手を出すとは! 許されない事だ。貴様に決闘を申し込む!!」
いや、勘弁してくれよな。俺は楽しい学園生活を夢見てここに来たのにいきなり決闘とかって…… そう思ってたら先生が喋り出した。
「はい、シャイピンくん! ここは中等科の教室ですよ。何故、高等科のアナタがここに居るのかしら? これは帝王陛下にお知らせする案件ですわね!」
と先生が言うとシャイピンシャルドネさんが先生に、
「いや、待て待て! 私がココに来たのは婚約者であるミリア嬢が2年ぶりに学園に登校したと聞いたから確認に来ただけであって、決して授業を抜け出して来た訳ではないのだ! 担任の許可も貰って来ているのだ! だからお祖父様に言う必要など何も無い!」
と慌てて言い訳を始めた。うん、帝王陛下はまともな人の~うだな。先生がその言い訳を聞いて更にダメ出しを始めた。いいぞ、頑張れ、名も知らぬ先生!!
「アナタがミリアさんと婚約してないのは周知の事実ですし、そのアナタの無理矢理な態度によってミリアさんが学園に来なくなったのも周知の事実です! よって、さきほどアナタが仰った決闘によって罰を与えます! ケインくん、コテンパンにしていいですからね!!」
いや、何でそうなるんですかね? 決闘しなくちゃいけないんですか? 俺は今日、編入してきたばかりで上級生と決闘っていう、ラノベの絡んできた冒険者の先輩との決闘ばりのテンプレを体験しなくちゃいけないのですか……
そんな俺の心の声はもちろんだが無視されて、更にシャイピンシャルドネさんが意気軒昂に言う。
「フッ! ヨーシ! 良いだろう! ケインとやら、ついてこい! 私の実力を思い知らせてやる。私が勝ったならミリア嬢からその身を引くのだぞ! そして、私は晴れてミリア嬢の婚約者だっ!!」
俺は諦めてミリアを見ると、ミリアが言う。
「ケイン、殺さなければ手足の5本や6本ぐらい叩き折っても良いから。このバカに思い知らせてやってね」
まあ、俺としても実妹のように育ったミリアに懸想するシャイピンシャルドネさんには思い知らせてやりたいとは思うけど、実力が分からないから俺が負ける可能性もある訳で…… でもミリアは過激になったなぁとかも思考をよぎる。
などと弱気な事を思ったけど、ミリアからケインほど強い人はこの学園にはいないよと言われたので、取りあえずシャイピンシャルドネさんの後についていった。
ついていくとクラスの全員が先生に引率されてゾロゾロと…… 見世物ですか? とは思ったけど先生は素知らぬ顔で
「皆さん、これも授業の一環ですからね」
と宣った。そうですか、授業ですか。って、そんな訳あるかっ!? とは思ったもののミリアも楽しそうに俺の横をテクテク歩いているのでキレるのは止めておいた。
だが、俺の横をミリアが歩くのを良しとしない人が1名いた。
「ミリア嬢、そんな訳の分からない男の横を歩くなんて品格を疑われてしまう。さあ、私の横が空いているからコチラに来なさい」
言われたミリアは即座に反論した。
「アナタの横を歩くなんて品格を疑われるような真似はしません。それとアナタが私に関わるのは家の義父からも禁止された筈です。ケインとは親公認の仲ですので、今回の決闘以降は私に関わるのは止めていただきます」
キッパリハッキリ言い切ったミリアにメンタル剛のシャイピンシャルドネさんは笑顔で言った。
「その照れやさんな所も可愛らしいね、ミリア嬢」
それを聞いたミリアは盛大なため息を吐いて俺に言ってきた。
「ケイン、もう息の根を止めて。家のパパにもみ消して貰うから」
いや、流石に王太子殿下の子息の息の根を止めたらもみ消せないからな、ミリア。俺は首を横にふってからミリアに言った。
「コテンパンぐらいにはするから。それで勘弁してね、ミリア。それと、誓約書を交わすよ。決闘で僕が勝ったならミリアには今後一切近づかないっていうのを」
俺の言葉に少しばかり不満そうな顔をしたけど頷いてくれたミリア。ホッとしたよ。
それからついて歩くこと10分。ようやく目的地に着いたようだ。どうやら学園の訓練場らしい。授業をしているクラスがいるけど大丈夫なのか?
「シャイピンくん、何事かね?」
授業をしていた男性の先生が先頭を歩いて近づくシャイピンシャルドネさんにそう声をかけた。そこにクラスの担任の先生が走り出てきてその先生に近づき小声でヒソヒソと話をしている。
話し終わると男性の先生が授業を見ていたクラスの皆さんに声をかけた。
「これより編入生であるケインくんとシャイピンくんの模擬戦を見学する。みんな心して見るように」
そうですか、ちょっとだけ止めてくれるのを期待してましたけど貴方もですか、先生……
俺は諦めてみんなが避けた訓練場の真ん中に足を進めた。
「フッ、逃げずにここまでついて来たのは褒めてやろう」
格好つけてそう言うシャイピンシャルドネさんに俺は言った。
「逃げずに来たんですから僕からの要求を聞いて貰えますか?」
「良いだろう。何でも言ってみるが良い」
機嫌よくそう言うシャイピンシャルドネさんに俺は誓約書への記入を頼んだ。すると、
「ハハハ、万に一つも有り得ないがそれが望みだと言うならば叶えてやろうじゃないか」
と機嫌よく了承したので、俺は担任の先生と男性の先生に立会人になってもらい誓約書を作成した。内容は俺が勝ったならミリアには二度と関わらないというもので、もしもシャイピンシャルドネさんが勝ったならミリアに求婚するのは自由にしていいというものにしておいた。その求婚を受ける受けないはミリアの勝手だという部分をちゃんと残しておいたのだ。
するとその誓約書を読んでシャイピンシャルドネさんが了承したので、担任の先生が言う。
「それならばこの誓約書を神判誓約書として、もしも履行されなかったら神罰が降るようにしましょう」
と提案してくれたのだ。俺はそれに頷いて了承した。もちろんだが俺に勝つつもりでいるシャイピンシャルドネさんも頷いたので、担任の先生が自身の信仰する神様、契約の神【ダナザーク】にその誓約書を見せて神判誓約書としてくれた。
そこまでお膳立てを整えて遂に俺とシャイピンシャルドネさんの決闘が始まる事になったのだった……
気がつけば先程、涙ぐみながら俺を合格だと言った先生に案内されて教室の前まで来ていた。
しかし本当に編入試験を受けなくても良かったのだろうか? まあ、他の先生方もウンウンと頷いていたのでいいのだろうと思う。
先生の案内で教室の中に入る俺とミリア。すると、先生の後に入った俺を見てざわつき、その後に入ったミリアを見て教室の中が沸き立った。
「ミリアちゃん、キターッ!!」
「ミリア嬢! やっと俺の熱意を!!」
「ミリアさん、遂に僕の気持ちに気づいたのか!」
「ケッ、来やがったよ、ミリアが……」
「今さら何しに来たのかしら?」
「勉強についていけるのかしらね?」
前半男子、後半女子…… 良くも悪くも人気者だな、ミリア。そんなミリアは表情を消して1番前の空席に座った。そして、先生が手を叩きみんなの注意を引く。
「ハイハイ、そこまでよ、皆さん。今から編入してきたケインくんに挨拶をして貰います。皆さん、拝聴するように!」
いえ、拝聴しなくていいですしいきなりそんな事を言われても何を言えば良いのか…… それでも俺は腹を括って喋り出した。
「ケインです。これから皆さんと一緒にこの学園で色々な事を学んで行きたいと思います。どうかよろしくお願いします」
そう言って一礼してから顔を上げると、
「ケッ、何しに来やがった、リア充が!」
「顔だけは良さそうだが、俺の左腕の封印を解いて片付けてやる!」
「バカな奴だ。よりによってこのクラスに入るとは……」
「アラ? 中々可愛らしいわね」
「ちょっと好みだわー」
「勉強出来そうね!」
前半男子、後半女子からの洗礼だった。
その時、クラスの扉が突然バーンと開いて廊下からキラキラ衣装を着た少し年上だろう男子が現れた。そして、開口一番に、
「オオッ! 本当にミリア嬢だ! やっと僕との婚約を認めたんだね、ミリア嬢。さあ、今すぐ父上の元に行こうかっ!!」
と大声で叫んだ。その男子の出現にザワザワする教室。冷めた表情のミリア。
ミリアはその男子に向けて言う。
「シャイピンシャルドネ王太子ご子息に申し上げます。私はケイン以外の男子と付き合うつもりはございません。悪しからずご了承くださいませ」
ものすっごく冷めた目でミリアにそう言われたシャイピンシャルドネさんは、
「ケイン? 何者だ! 私のミリア嬢に横恋慕しているのは!!」
と叫ぶけど、この子、バカだよね? どこをどう解釈すれば俺がミリアに横恋慕してる事になるのか……
だが、クラスの男子全員が俺を指差しやがったのでシャイピンシャルドネさんが俺の方を見た。
「ほう! 貴様がケインか! 身の程知らずにも私のミリア嬢に手を出すとは! 許されない事だ。貴様に決闘を申し込む!!」
いや、勘弁してくれよな。俺は楽しい学園生活を夢見てここに来たのにいきなり決闘とかって…… そう思ってたら先生が喋り出した。
「はい、シャイピンくん! ここは中等科の教室ですよ。何故、高等科のアナタがここに居るのかしら? これは帝王陛下にお知らせする案件ですわね!」
と先生が言うとシャイピンシャルドネさんが先生に、
「いや、待て待て! 私がココに来たのは婚約者であるミリア嬢が2年ぶりに学園に登校したと聞いたから確認に来ただけであって、決して授業を抜け出して来た訳ではないのだ! 担任の許可も貰って来ているのだ! だからお祖父様に言う必要など何も無い!」
と慌てて言い訳を始めた。うん、帝王陛下はまともな人の~うだな。先生がその言い訳を聞いて更にダメ出しを始めた。いいぞ、頑張れ、名も知らぬ先生!!
「アナタがミリアさんと婚約してないのは周知の事実ですし、そのアナタの無理矢理な態度によってミリアさんが学園に来なくなったのも周知の事実です! よって、さきほどアナタが仰った決闘によって罰を与えます! ケインくん、コテンパンにしていいですからね!!」
いや、何でそうなるんですかね? 決闘しなくちゃいけないんですか? 俺は今日、編入してきたばかりで上級生と決闘っていう、ラノベの絡んできた冒険者の先輩との決闘ばりのテンプレを体験しなくちゃいけないのですか……
そんな俺の心の声はもちろんだが無視されて、更にシャイピンシャルドネさんが意気軒昂に言う。
「フッ! ヨーシ! 良いだろう! ケインとやら、ついてこい! 私の実力を思い知らせてやる。私が勝ったならミリア嬢からその身を引くのだぞ! そして、私は晴れてミリア嬢の婚約者だっ!!」
俺は諦めてミリアを見ると、ミリアが言う。
「ケイン、殺さなければ手足の5本や6本ぐらい叩き折っても良いから。このバカに思い知らせてやってね」
まあ、俺としても実妹のように育ったミリアに懸想するシャイピンシャルドネさんには思い知らせてやりたいとは思うけど、実力が分からないから俺が負ける可能性もある訳で…… でもミリアは過激になったなぁとかも思考をよぎる。
などと弱気な事を思ったけど、ミリアからケインほど強い人はこの学園にはいないよと言われたので、取りあえずシャイピンシャルドネさんの後についていった。
ついていくとクラスの全員が先生に引率されてゾロゾロと…… 見世物ですか? とは思ったけど先生は素知らぬ顔で
「皆さん、これも授業の一環ですからね」
と宣った。そうですか、授業ですか。って、そんな訳あるかっ!? とは思ったもののミリアも楽しそうに俺の横をテクテク歩いているのでキレるのは止めておいた。
だが、俺の横をミリアが歩くのを良しとしない人が1名いた。
「ミリア嬢、そんな訳の分からない男の横を歩くなんて品格を疑われてしまう。さあ、私の横が空いているからコチラに来なさい」
言われたミリアは即座に反論した。
「アナタの横を歩くなんて品格を疑われるような真似はしません。それとアナタが私に関わるのは家の義父からも禁止された筈です。ケインとは親公認の仲ですので、今回の決闘以降は私に関わるのは止めていただきます」
キッパリハッキリ言い切ったミリアにメンタル剛のシャイピンシャルドネさんは笑顔で言った。
「その照れやさんな所も可愛らしいね、ミリア嬢」
それを聞いたミリアは盛大なため息を吐いて俺に言ってきた。
「ケイン、もう息の根を止めて。家のパパにもみ消して貰うから」
いや、流石に王太子殿下の子息の息の根を止めたらもみ消せないからな、ミリア。俺は首を横にふってからミリアに言った。
「コテンパンぐらいにはするから。それで勘弁してね、ミリア。それと、誓約書を交わすよ。決闘で僕が勝ったならミリアには今後一切近づかないっていうのを」
俺の言葉に少しばかり不満そうな顔をしたけど頷いてくれたミリア。ホッとしたよ。
それからついて歩くこと10分。ようやく目的地に着いたようだ。どうやら学園の訓練場らしい。授業をしているクラスがいるけど大丈夫なのか?
「シャイピンくん、何事かね?」
授業をしていた男性の先生が先頭を歩いて近づくシャイピンシャルドネさんにそう声をかけた。そこにクラスの担任の先生が走り出てきてその先生に近づき小声でヒソヒソと話をしている。
話し終わると男性の先生が授業を見ていたクラスの皆さんに声をかけた。
「これより編入生であるケインくんとシャイピンくんの模擬戦を見学する。みんな心して見るように」
そうですか、ちょっとだけ止めてくれるのを期待してましたけど貴方もですか、先生……
俺は諦めてみんなが避けた訓練場の真ん中に足を進めた。
「フッ、逃げずにここまでついて来たのは褒めてやろう」
格好つけてそう言うシャイピンシャルドネさんに俺は言った。
「逃げずに来たんですから僕からの要求を聞いて貰えますか?」
「良いだろう。何でも言ってみるが良い」
機嫌よくそう言うシャイピンシャルドネさんに俺は誓約書への記入を頼んだ。すると、
「ハハハ、万に一つも有り得ないがそれが望みだと言うならば叶えてやろうじゃないか」
と機嫌よく了承したので、俺は担任の先生と男性の先生に立会人になってもらい誓約書を作成した。内容は俺が勝ったならミリアには二度と関わらないというもので、もしもシャイピンシャルドネさんが勝ったならミリアに求婚するのは自由にしていいというものにしておいた。その求婚を受ける受けないはミリアの勝手だという部分をちゃんと残しておいたのだ。
するとその誓約書を読んでシャイピンシャルドネさんが了承したので、担任の先生が言う。
「それならばこの誓約書を神判誓約書として、もしも履行されなかったら神罰が降るようにしましょう」
と提案してくれたのだ。俺はそれに頷いて了承した。もちろんだが俺に勝つつもりでいるシャイピンシャルドネさんも頷いたので、担任の先生が自身の信仰する神様、契約の神【ダナザーク】にその誓約書を見せて神判誓約書としてくれた。
そこまでお膳立てを整えて遂に俺とシャイピンシャルドネさんの決闘が始まる事になったのだった……
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