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転機
032話 領地到着
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いよいよ領地視察の日がやって来たんだ。僕を含めて皆がソワソワしているよ。ガルン伯爵1家は既にサカキ侯爵の領地に向けて旅立っているよ。トウシローと、レラという侍女が一緒に向かったんだ。
そして、僕たちの方はと言うと1名増えた。当初の予定では、僕、フェルちゃん、レミさん、ロッテン、ナーガ、メレンの6人だった筈だけど、ここにセラスが入って7人になったよ。
そう言えばセラスはフェルちゃん付の侍女でした……。
「お仕えする方がお出かけになる際に着いていくのは当たり前です」
と、当然のように言うセラスを母であるハレは睨みつけていたけど…… 戻ってきても親子ゲンカはダメだよ、ハレ。何かしらハレの喜ぶお土産を考えておこうと僕は心に誓った。
そして陛下によって手配された案内役と思われる女性騎士が何故か馬車を引いてやって来た。
「ハイナイト子爵、おはようございます。私は近衛騎士のミレイと申します。騎士爵を陛下より賜っております。今回、ハイナイト子爵と婚約者のフェル様、それにフェル様付の侍女の方はコチラの馬車に乗って頂けますでしょうか? 陛下からの依頼なのですが、よろしいでしょうか?」
いや、それは陛下からと言われたら乗るしかないでしょう。僕はフェルちゃんに確認してからミレイに頷いた。
「有難うございます。他の方は子爵家の馬車で移動をよろしくお願いします」
と言う訳で陛下の依頼の馬車に乗り込もうとした僕は入り口で固まってしまった。
「? トーヤ様、どうなさいました?」
後ろからフェルちゃんの声が聞こえた僕は、ハッとして中に入りフェルちゃんをエスコートして入って貰う。そしてフェルちゃんも固まった。
「フェル様、そこに立たれては私たちが乗れません」
今度はセラスの声が聞こえて、フェルちゃんもハッとして体をずらす。
そして、先程の繰り返しが……
何とかレミさんまで乗り込んで、フェルちゃんが先客に言った。
「あの、サラディーナ様にヨロス様、それにヨーナ様まで…… もしかして避暑地にでも行かれるのですか?」
「ウフフフ、フェルちゃんそんな訳ないでしょう。私たち王家直轄地だった領地の視察に行くのなら、元の領主の一族も一緒に行った方がスムーズに引き継ぎが出来ると思ってね…… っていうのが表向きの理由で、本音はヨロスとヨーナの夏季休暇中の社会見学と旅行を兼ねているの。私が2人を連れて一緒に行くって言った時の陛下の顔といったら…… ウフフフ、フェルちゃんにも見せてあげたかったわ」
そりゃあ、陛下も行きたかったでしょうね…… 僕の憶測だけど今朝の出発直前になって陛下にご報告したんでしょうね。ミレイさんには手回ししておいて。
「あら、トーヤくん。良く分かったわね。今朝一番に陛下に言ったのよ」
アレ? 僕喋ってたかな? 前世でも部下との間で良くあった事だけどサラディーナ様も勘が良すぎる気がする……
「リラお姉様も良く言ってましたけど、トーヤ様のお顔を見てるとこんな事を思ってるんだなと何故か分かりますの。勘の鋭い方はみなそうだと思いますわ」
フェルちゃんが教えてくれた。うん、本当に僕は顔に言葉が現れてたんだね…… 前世では僕はポーカーフェイスを気取ってたんだけど、部下たちには表情を読まれていたんだね…… 今考えるとかなり恥ずかしいな……
道中は何事も起きなかった。小鬼すら出てこなかったようだよ。3キロしか離れてないから村に着いたのもお昼前だったよ。馬車もかなりのんびりと走ってたんだけどね。
村から大勢の人がやってきて馬車の前に整列した。中に一際体格の良いオジサンがいる。そのオジサンがミレイさんに声をかけた。
「ミレイ様、お戻りになられるなら先触れが欲しかったですな」
「もう、お父さん、止めてよ! 娘にその言葉遣いは!!」
「そういう訳には参りません。貴女は騎士爵を国王陛下より賜った歴とした貴族なのですから。私はしがない村長ですので、言葉遣いは直せません」
親子なのね。でも真面目そうなミレイさんを更に堅物にしたのが村長さんなのか。僕がそう思っていたら、サラディーナ様が
「さあ、取り敢えず降りましょう。トーヤくんから降りてくれるかしら」
と言われたので、僕は扉を開けてサッと降りて、ヨロス様以外の方をエスコートした。降りてきたサラディーナ様を見て村長以下村人たちが跪く。
「ローレン、止めてちょうだい。みんなもよ。私がそういうのが嫌いなのは伝えたでしょう」
「王妃殿下に対して私たち平民が跪くのは当たり前の事です」
「ウフフフ、そうまだそう言うのね。それではそのまま聞きなさい。これまで王家直轄地だったこの領地に新たに領主が選ばれました。トーヤ・ハイナイト子爵です。今回、ハイナイト子爵が領地を視察したいと申し出て、王家としても引き継ぎが必要だと感じたので一緒に参りました。ですからローレン、貴方にはハイナイト子爵の案内を頼むわ。私たちは暫く村の公共所で休ませてもらいます。皆さん、顔を上げなさい。コチラがハイナイト子爵よ。子爵は産まれつき言葉を発する事が苦手な子から挨拶は省かせて貰います。勿論だけどこちらの言う事は聞こえていますし、理解もしておりますからね。さあ、それではミレイ、公共所まで案内をお願いね。ローレンはここに残ってハイナイト子爵の案内よ」
「「ハッ、王妃殿下!!」」
親子で返事がキッチリ同じだぁ。似た者親子なんだね。
「ハイナイト子爵様、少しだけお待ちいただけますか? 村人に指示を出しますので」
ローレン村長がそう聞いてきたので了承して指示内容を聞いていたんだ。
畑の水やり、公共所周りの防衛、村周りの見回りなどなど、次々に村人に指図してるね。ローレンさん、元は絶対に騎士団とかに所属してたんじゃないかな?
「お待たせしました。ハイナイト子爵様。先ずは何処をご案内すれば良いでしょうか?」
僕とフェルちゃんは昨日のうちに打ち合わせを済ませていたので、フェルちゃんがローレンさんに答えてくれたよ。
「はじめまして、ローレン村長。私はハイナイト子爵であるトーヤ様の婚約者で、フェル・テルマイヤーと申します。コチラの者たちは私たち2人の従者で、執事のロッテンに、メイド長のセラス、メイドのレミ、ナーガ、メレンです。滞在中はご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします」
フェルちゃんが頭を下げてそう言うのに合わせて、僕を含めて皆がローレン村長に頭を下げた。すると、
「なっ! お、おやめ下さい! 貴族様が平民に頭を下げるなど! それにフェル様はテルマイヤーと言えば侯爵家のご令嬢、絶対にそのような事はしてはなりませんぞ!」
と大慌てだったけど、やっぱり元はお貴族様だよね、ローレン村長。じゃないとフェルちゃんの名前を聞いて直ぐに侯爵家だって分かる訳ないからね。もちろんそれほど上の爵位では無かったかも知れないけど、言い方に貴族の子息を教えていた感じが出てるよ。
まあ、仲良くなったら教えてもらおうかな。取り敢えず僕たちは村の中を案内してもらう事にして、ローレン村長の後をついて歩き出したんだ。
お昼までに回れるぐらいの広さだといいなぁ……
そして、僕たちの方はと言うと1名増えた。当初の予定では、僕、フェルちゃん、レミさん、ロッテン、ナーガ、メレンの6人だった筈だけど、ここにセラスが入って7人になったよ。
そう言えばセラスはフェルちゃん付の侍女でした……。
「お仕えする方がお出かけになる際に着いていくのは当たり前です」
と、当然のように言うセラスを母であるハレは睨みつけていたけど…… 戻ってきても親子ゲンカはダメだよ、ハレ。何かしらハレの喜ぶお土産を考えておこうと僕は心に誓った。
そして陛下によって手配された案内役と思われる女性騎士が何故か馬車を引いてやって来た。
「ハイナイト子爵、おはようございます。私は近衛騎士のミレイと申します。騎士爵を陛下より賜っております。今回、ハイナイト子爵と婚約者のフェル様、それにフェル様付の侍女の方はコチラの馬車に乗って頂けますでしょうか? 陛下からの依頼なのですが、よろしいでしょうか?」
いや、それは陛下からと言われたら乗るしかないでしょう。僕はフェルちゃんに確認してからミレイに頷いた。
「有難うございます。他の方は子爵家の馬車で移動をよろしくお願いします」
と言う訳で陛下の依頼の馬車に乗り込もうとした僕は入り口で固まってしまった。
「? トーヤ様、どうなさいました?」
後ろからフェルちゃんの声が聞こえた僕は、ハッとして中に入りフェルちゃんをエスコートして入って貰う。そしてフェルちゃんも固まった。
「フェル様、そこに立たれては私たちが乗れません」
今度はセラスの声が聞こえて、フェルちゃんもハッとして体をずらす。
そして、先程の繰り返しが……
何とかレミさんまで乗り込んで、フェルちゃんが先客に言った。
「あの、サラディーナ様にヨロス様、それにヨーナ様まで…… もしかして避暑地にでも行かれるのですか?」
「ウフフフ、フェルちゃんそんな訳ないでしょう。私たち王家直轄地だった領地の視察に行くのなら、元の領主の一族も一緒に行った方がスムーズに引き継ぎが出来ると思ってね…… っていうのが表向きの理由で、本音はヨロスとヨーナの夏季休暇中の社会見学と旅行を兼ねているの。私が2人を連れて一緒に行くって言った時の陛下の顔といったら…… ウフフフ、フェルちゃんにも見せてあげたかったわ」
そりゃあ、陛下も行きたかったでしょうね…… 僕の憶測だけど今朝の出発直前になって陛下にご報告したんでしょうね。ミレイさんには手回ししておいて。
「あら、トーヤくん。良く分かったわね。今朝一番に陛下に言ったのよ」
アレ? 僕喋ってたかな? 前世でも部下との間で良くあった事だけどサラディーナ様も勘が良すぎる気がする……
「リラお姉様も良く言ってましたけど、トーヤ様のお顔を見てるとこんな事を思ってるんだなと何故か分かりますの。勘の鋭い方はみなそうだと思いますわ」
フェルちゃんが教えてくれた。うん、本当に僕は顔に言葉が現れてたんだね…… 前世では僕はポーカーフェイスを気取ってたんだけど、部下たちには表情を読まれていたんだね…… 今考えるとかなり恥ずかしいな……
道中は何事も起きなかった。小鬼すら出てこなかったようだよ。3キロしか離れてないから村に着いたのもお昼前だったよ。馬車もかなりのんびりと走ってたんだけどね。
村から大勢の人がやってきて馬車の前に整列した。中に一際体格の良いオジサンがいる。そのオジサンがミレイさんに声をかけた。
「ミレイ様、お戻りになられるなら先触れが欲しかったですな」
「もう、お父さん、止めてよ! 娘にその言葉遣いは!!」
「そういう訳には参りません。貴女は騎士爵を国王陛下より賜った歴とした貴族なのですから。私はしがない村長ですので、言葉遣いは直せません」
親子なのね。でも真面目そうなミレイさんを更に堅物にしたのが村長さんなのか。僕がそう思っていたら、サラディーナ様が
「さあ、取り敢えず降りましょう。トーヤくんから降りてくれるかしら」
と言われたので、僕は扉を開けてサッと降りて、ヨロス様以外の方をエスコートした。降りてきたサラディーナ様を見て村長以下村人たちが跪く。
「ローレン、止めてちょうだい。みんなもよ。私がそういうのが嫌いなのは伝えたでしょう」
「王妃殿下に対して私たち平民が跪くのは当たり前の事です」
「ウフフフ、そうまだそう言うのね。それではそのまま聞きなさい。これまで王家直轄地だったこの領地に新たに領主が選ばれました。トーヤ・ハイナイト子爵です。今回、ハイナイト子爵が領地を視察したいと申し出て、王家としても引き継ぎが必要だと感じたので一緒に参りました。ですからローレン、貴方にはハイナイト子爵の案内を頼むわ。私たちは暫く村の公共所で休ませてもらいます。皆さん、顔を上げなさい。コチラがハイナイト子爵よ。子爵は産まれつき言葉を発する事が苦手な子から挨拶は省かせて貰います。勿論だけどこちらの言う事は聞こえていますし、理解もしておりますからね。さあ、それではミレイ、公共所まで案内をお願いね。ローレンはここに残ってハイナイト子爵の案内よ」
「「ハッ、王妃殿下!!」」
親子で返事がキッチリ同じだぁ。似た者親子なんだね。
「ハイナイト子爵様、少しだけお待ちいただけますか? 村人に指示を出しますので」
ローレン村長がそう聞いてきたので了承して指示内容を聞いていたんだ。
畑の水やり、公共所周りの防衛、村周りの見回りなどなど、次々に村人に指図してるね。ローレンさん、元は絶対に騎士団とかに所属してたんじゃないかな?
「お待たせしました。ハイナイト子爵様。先ずは何処をご案内すれば良いでしょうか?」
僕とフェルちゃんは昨日のうちに打ち合わせを済ませていたので、フェルちゃんがローレンさんに答えてくれたよ。
「はじめまして、ローレン村長。私はハイナイト子爵であるトーヤ様の婚約者で、フェル・テルマイヤーと申します。コチラの者たちは私たち2人の従者で、執事のロッテンに、メイド長のセラス、メイドのレミ、ナーガ、メレンです。滞在中はご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします」
フェルちゃんが頭を下げてそう言うのに合わせて、僕を含めて皆がローレン村長に頭を下げた。すると、
「なっ! お、おやめ下さい! 貴族様が平民に頭を下げるなど! それにフェル様はテルマイヤーと言えば侯爵家のご令嬢、絶対にそのような事はしてはなりませんぞ!」
と大慌てだったけど、やっぱり元はお貴族様だよね、ローレン村長。じゃないとフェルちゃんの名前を聞いて直ぐに侯爵家だって分かる訳ないからね。もちろんそれほど上の爵位では無かったかも知れないけど、言い方に貴族の子息を教えていた感じが出てるよ。
まあ、仲良くなったら教えてもらおうかな。取り敢えず僕たちは村の中を案内してもらう事にして、ローレン村長の後をついて歩き出したんだ。
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