大工のおっさん、王様の側室になる

くろねこや

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「腹が減ったな…」

この国って、側室に飯を食わせられないほど金がないのだろうか?

建物は豪華なのにな?

服だって着心地はいいし、布団はふかふか。

なのに…

王様がオレを抱きに来る夜にしか飯が出ないんだけど。

庶民として暮らしてた頃の方が普通に食えてたわ。朝昼夜と3食。

飯が出る夜は、豪華すぎて空腹状態との落差で弱った胃にキツいから、こっそりパンに肉とかを挟んで取っておくようにしてるんだけどさ。

最近の王様は、外国からの客を迎えるための夜会に向けた準備や、国境付近まで整備された街道の確認とかで忙しいらしい。山賊なんかも退治しておかないといけないしな。客に何かあれば国際問題だ。

つまり、飯が全く出なくなってしまった、という訳だ。

控えている侍女やらに話しかけても空気扱いだからな…。

時々『庶民の分際で』って声が壁の向こうから聞こえてくるから、『あぁ、そういうこと?』って察したよね。


よし。

出てくか。

まだ死ぬほどの空腹ではないけど、王様に請われたからここにいるだけだもんね。

『庶民の分際で』飯が貰えないなら、外に出て元の暮らしに戻ればいいよな。

この後宮を作ったのはオレだ。もちろん外への脱出路も知ってる。


自由だ!!

オレは夜の闇に紛れて、うきうきと自分の家へ帰ったのだった。







「セブルト! よく帰ってきてくれた!」

親方はやっぱり計算が面倒くさかったのだろう。

屋根やら二階やらを支えるための柱の素材やら数やらはりの太さやらを導き出すための計算とかしんどいもんね。

ちょっと涙ぐんで、帰ってきたオレを迎えてくれた。

…あれ? 親方…ちょっと薄くなった? 髪が。


借家の床下に隠しておいたオレの全財産は無事で、翌朝には串焼き肉とパンを買いに行って、腹いっぱい食うことができた。

その後、親方の家に行って大歓迎を受けた。『鬼』って恐れられることもある親方が泣くから、オレもつられて泣いた。


王様は城にまだ戻っていないのか、オレを探しに来る者もいなかったから、そのまま遠慮なく元の暮らしに戻ることにした。


「働けるって幸せだなぁ。おばちゃんの飯も最高に美味いし」

「やだねぇ、この子は上手いんだから。ほら、この肉野菜炒めも食べなさい」

「ありがと! ほんとに美味いよ!」

豪華な食事も、とろけそうに柔らかい肉も美味かったが、やっぱり、ちょっと筋が残ったような食べ応えがある肉っていいよね。この食堂の歴史と同じだけ継ぎ足されてきたであろうタレの、濃いめの味付けも最高!


「はぁ」

狭くて硬いベッドが落ち着くなぁ。

1人で寝るって気を遣わなくていいよな。

目を覚ますと抱き締められてて動けない、とか、『もう1回いいか?』とかもないし。


それなのに、なぜか眠れない。

『後ろが寂しい』とか思っちまう。

すっかり“抱かれ癖”がついちまったらしい。

何度も寝返りを打って、ついに眠るのを諦めることにした。


「ん…」

前をぐちゅぐちゅ弄っただけでは満足にイけなくて、自分の先走りでヌルヌルに濡れた指を後ろに挿入してみた。

自分じゃ難しいな。

あまり気持ちいい場所には届かないみたいだ。

オレの目が“手頃な棒”を探して部屋中を彷徨さまよってたことに気付いて…がっくり項垂うなだれた。


「はぁ」

寝台を降りると、かめに貯めた水で手を洗う。

そのままもう一杯、柄杓ひしゃくで掬った水を手のひらにあけてゴクリと飲む。

「王様…リアスティード様はどうしてるんだろ」


あれからもうすぐ1週間だ。
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