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甘い時間*

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 寒い季節を乗り越えてようやく春が訪れた。

 あっくんは無事に第一志望の大学に合格した。
 期末テストを終えて春休みに入った僕は、毎日のようにあっくんの家に入り浸っている。
 大学が少し離れた場所にあるからもうすぐ引っ越ししてしまうのだ。
 あんまり会えなくなると思うと今のうちにと思って来てしまう。

「ねぇ、あっくん」

「ンッん……あっ……♡♡」

「浮気しないでね?」

「アン……アッ……♡
 今……ンッッ――言う?」

 パンパン腰を打ち付けながら言う。
 だってあっくんかっこいいから、絶対に狙われるもん。

「あっくんは僕のものなんだからね?」

 奥まで激しく突く。

「アッ……イ゛グッ……や……
 なんか……へん……ァァッ!!」

「あっくん?」

「いぐ、イグィグ……いっちゃ……
 ~~~~~~ッッ!!!」

 盛大に水しぶきがあがる。
 いつもと違う?

「おしっこ……?」

「ちが……う……」

 違うんだ? 
 また後で聞いてみよ。
 
「こっち……見るな……」
 
 恥ずかしがって顔を隠そうとする。

「ダメ、ちゃんとかわいい顔見せて?」 

 また律動を再開する。

「あっくん、僕もイっちゃいそう……」

「あお、キスして……」

 パンパンパンパン

「ん……ッ」

 キスをしながら勢いよくあっくんの中に出した。

 そのまま優しくあっくんにキスをする。
 唇を離して抜こうと思ったけどあっくんの足が僕をホールドして動けない。
 そのままあっくんの上に倒れ込む。
 ちょうどいい位置に乳首があったから手で摘んだり弾いたりして遊ぶ。

「アン……
 乳首……やめ……」

「んー?なんで?」

 上目遣いにあっくんを見る。
 わー、目がトロンとしててすっごくかわいい。

「またイっちゃう……」

 そんな顔したらいじめたくなっちゃうのに……
 
「じゃあ、こっちはやめて、こっちにする」

「ヒ……あぁ!?」

 また激しく突き動かす。
 カラカラになるまでやめてあげない。

「あおがどんどんエロくなってく
 今日なんて潮吹きさせられるし……
 なんで毎日やってんのにそんな元気なの」

 二人でシャワーを浴びて寝転んでいるとあっくんがそんなことを言い始めた。

「潮吹き!
 聞いたことある」

「知ってんの?」

「ふふふ、勉強してるもん
 すごかったね」

「勉強って何やってんだよ」

「ナイショ
 またできるかな?」

「何も知らなかった純粋でかわいいあおはどこいった?」

「もうかわいくない?」

「かわいい」

 そんなことを言いながらじゃれ合う。
 この時間がとても好き。

 スマホを手にしてあっくんを撮る。

「また撮りだした
 最近良く撮るな」

「毎日見たいから
 あっくんのスマホに写真ないの?」

「ないよ」

「見せてよ」

「嫌だよ」

「どうして?」

「別にいいだろ」

 怪しい。
 何か隠してる?

「僕に見せられないものあるの?」

「そういう訳じゃないけど」

「女の人のエッチな写真とか?」

「ねーよ、あおしか」

「ん??」

「ん?」

「僕?
 そんなに撮られた記憶あんまりないんだけど」

 何も言わない。

「見せて?」

 ため息をついてスマホを差し出した。
 ズラズラと僕を隠し撮りしたと思われる写真が出てきた。

「あっくんってさ、隠し撮りするの趣味なの?
 うわ、寝てるとこも撮られてる」

「いや、いろんな表情のあおを撮りたくて」

 いつ撮ったんだろう。
 謎すぎる。

「ん??これなに?
 動画?」

「あっ、それは」

 再生すると、僕とあっくんがベッドでキスをしている映像が流れた。
 どうみてもこれからやる感じの僕達。

「あっくん?」

「ごめんなさい、やってるとこ撮りました」

「は!?」

「だって見たくて」

「えー、何それ
 僕も欲しい」

「欲しいの?」

「欲しい、ちょうだい?」

「怒るかと思ったのに」

「どうして怒るの?
 僕音声持ってるし」

「は!?」

「あっくんの喘ぎ声めちゃくちゃかわいいから、録音したの」

「あおってさらっとすごいこと言うよな
 そういうとこ最高だけど
 今度撮ってみる?」

「それは恥ずかしいかも」

「やってたら気にならなくなるんじゃない?
 撮りたいアングルとかあるんだよな」

「ふーん?じゃあいいよ」

「いいんだ
 好きだよ、あお」

「何ー、急に?」

「好きだなーって思った」

「僕も好きだよ
 はぁ、あっくんとこうやって会えなくなるのやだな」

「そんな遠くに行くわけじゃないんだから
 いつでも会えるって」

 分かってるけど、今までみたいにすぐに会えないと思うと寂しい。

「手出して」 

 言われるがままに手を出す。

「はい」

 薬指に指輪が光る

「どっどうしたの、これ!?
 指輪なんて高いんじゃ」

「そんな高いもんじゃないって」

「でも……」

「俺もお揃い
 これがあったら悪い虫もつかないし
 あおは俺のだっていう印」

 あっくんとお揃い……。
 僕はあっくんのもの……
 その言葉にジーンとしてしまう。

「ありがと
 大事にするね」

「毎日つけること
 分かった?」

「分かった」

 右手を翳して指輪を眺める。
 すごく嬉しい。



 今日から新学期。
 眼鏡よし、前髪よし。
 このスタイルを変えるなとキツく言われている。
 変える気はないのだけど。

 僕は園芸部に入った。
 あっくんが手入れしていた花壇を他の人に触らせるのが嫌だった。

「よし、今日もきれいだ」
 
 花たちの写真を撮ってあっくんに送る。
 ちょっとしたやり取りも楽しい。

「山下くん、そっち終わった?」

 同じ園芸部の一人しかいない先輩が話しかけてくれた。

「はい、終わりました!」

「一緒に帰る?」

「僕自転車なんです」

「そうか、残念
 二人しかいないし話をして仲良くできればと思ったんだけど」

「すみません、気を使っていただいて
 また部活の時にお話しましょう」

「そうだね、そうしよう」

 先輩と別れて駐輪場へ向かう。
 そういえば先輩はあっくんの後輩になるんだよな。
 どんな人なのか聞いてみよう。
 そんなことを考えながらのんびりと自転車を走らせる。

 スマホが震える。
 あっくんだ!
 自転車を停めて電話に出る。

「もしもし?あっくん?」

「あおまだ外?」

「今帰ってるとこ」

「早く帰って
 前に撮ったやつ見てたらムラムラしてきた」

「昼間から何見てるの?
 まだだめだよ
 僕が帰るまで待っててね」

「あお早くー」

 もうエロい声で煽るのやめてほしい。
 あっくんの息遣いが僕の耳を擽る。

 電話を終えて、再びペダルに足をかける。
 いつもよりもペダルを漕ぐ足に力を込めた。
 このあとに待ってる甘い時間に期待を膨らませながら。
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