篠辺のお狐様

梁瀬

文字の大きさ
139 / 180

やっと年末休み 研修旅行⁈

しおりを挟む
 左京さんの後を追って、東雲に行くと三人で色々と話していた。
「左京が早めに声を掛けてくれて、良かったよ。なかなか空いている宿坊がなくて。おまけに予算オーバーだったんだよ。それで御師おしの方が営む宿坊を紹介して貰って、二部屋予約したんだけど、それぞれの部屋が大きめで…でも、他にはなかったから、どうしようって悩んでたとこだったんだよ。」
 右京さんはネット予約画面を見ながら、左京さんと話している。

「夕ちゃん。私、こういう経験がなくて…。だから良く分からなくて。…右京さんに任せっきりになってしまって、申し訳ないと思っても、何も出来なくて…。」
 朝霧は、オロオロしながら神主達の話を見守っていた事を、夕霧に話した。
「夕ちゃんが来てくれて…というか、一緒に行ける事になって、本当に良かった。
…嬉しい。」

 朝霧の言葉と様子を見ていた神主二人は、ポカンとしていた。
「驚くよね…私達、家族旅行に行った事ないし。その後は施設だったから修学旅行も行った事ないの。…家か、預けられたお宅か、施設。あと神社の庵しか知らないの。
だから朝ちゃんも私も、宿坊の予約方法…とか諸々、全く分からないから出来れば、その…教えて…ください。」
 巫女達は、申し訳なさそうに…とっても恥ずかしそうに俯きながら事情を話した。

「…施設の事とか何となくは聞いてたけど、そうだったんだ。勿論、手続きは僕達がするけど、どういう宿坊か見ます?あの…分からない事があったら聞いてください。
…朝霧さん、気付かなくてゴメン。」
 右京さんはPCを朝霧の方に向けて、今までの遣り取りを説明しながら、予約した
宿坊の情報を見ていた。

「そっか…。言い難い事を言わせちゃったな。でも、お狐様と大神様に感謝だな!
初めての旅行が、オレ達4人で行けるなんて…修学旅行じゃん!」
 左京さんは東雲の二人を見たまま、夕霧にいった。
夕霧は左京さんの言葉が嬉しい反面、ちょっとムズムズして恥ずかしくなって
「修学旅行…というより、仕事場の仲間と仕事も兼ねた旅行ですから、研修旅行…といった感じですかね。」
 夕霧にとっては、学生の時に出来なかった修学旅行だろうと、研修旅行だろうと、どちらも旅行であって心弾むものでしかなかった。

「何か…初めてかもな。夕霧さんの嬉しそうな百面相……オレが幸せになれる…。」
「ぇ…百面相ですか?…して…ませんよ。」
「してた。…それを見れたオレは、めちゃラッキー。まずは、御嶽の真神様にご挨拶して、後は絶対、楽しもうな!」
夕霧と左京の主な目的は、真神様へのご挨拶が第一だが、互いの兄弟、姉妹と行ける旅行に、胸が高鳴った。

 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...