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1章 ようこそエルデネンスへ!
魔法の適正
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モモさんが読書に入ってしまったために、一人になってしまった……。
何かすることはないかと辺りを見回していると、ふといかにも魔法使い風の女性を見つける。
たしかさっきもロビーに居た……たしかリリエールさんとか言った気がする。
誰かを探しているのだろうか、彼女も何やら周囲を見回しているようだ。
「えーっと、今日からこちらにお世話になるケントです。よろしくお願いします!」
リリエールさんに話しかけてみる。
すると、リリエールさんは一瞬驚いた表情を見せてから八重歯を見せて朗らかに笑った。
「あー!さっきも聞いてたよー。私はリリエール・リエンタール!もちろん勝手に名乗ってるだけどねー。ほら異世界ってこういうの大事だし。多分君のは本名だよね?今度私がかっこいいの考えてあげるよ!例えばー……」
「いえいえいえ結構です!」
なんというか、明るいというかおばさんみたいな人だ。
それにかっこいい名前はできれば自分で考えたい。
「あ、そう?ところで何か用~?」
ケロッとした顔でリリエールさんは首を傾げる
「ワイナストーンっていうのを見せて欲しくて……えっと、ミアナから教えて貰って」
俺の言葉を聞いてリリエールさんは大きく何度か頷いた後に方から下げていた大きなポシェットからゴルフボールくらいの大きさの白い石を取り出した。
宝石というよりは石灰石のような見た目で、特にツヤなどはない。
「ケントくんも魔法系なの?魔法系だったら魔力石が一番効率いいからねー」
ハハハ、と八重歯を見せて笑う。
魔法系だったらどれだけ良かったか……。
「いえ、違うんですけど見せてもらいたくて。そう言えば魔力石は宝石みたいというか水晶みたいに透き通ってたんですが、ワイナストーンは石っぽいんですね」
正直、少し白っぽいだけのただの石にしか見えなかった。
「ワイナストーンはただの依り代だからね。魔力の強い人ならワイナストーン以外でも魔力石は作れるし。魔力を込めたら姿が変わるっていうかーうーん……まぁ見てて!」
そう言うと、リリエールさんはワイナストーンを握りしめた。
指の隙間から微かに赤い光が洩れた後、リリエールさんは手を開いてみせた。
すると、中には赤い綺麗な結晶のようなものが出来上がっていた。
「うわ、凄いですねリリエールさん……」
「炎使いが私の能力。火の魔力が他の人よりだいぶ強い事がチートだね。それと私の事は呼び捨てでいいし敬語もいらないからね~!永遠の12歳な魔女っ子だから!」
うわぁ……痛い人だ。
ワイヤーの入っていそうなスカートにフリフリの衣装、色鮮やかなリボンは確かに魔法使いというよりは魔女っ子というような格好ではあるが、この人どう見ても20代前半……
「何か文句でも?」
ムスッとした表情でこちらの顔を覗き込む。
「い、いえ、なんでもないで…ないよリリエールさ……リリエール」
名前を呼ぶとリリエールは満足そうにニカリと笑って、俺の手に何かを握らせた。
見ると、それはビー玉のような小さな透明の珠だった。
「これは?」
「ピュアストーン。魔力が伝わりやすい石で、魔法が得意じゃない一般人でも握れば一番強い属性の魔力石にできるのよ。ケント君にあげる!握ってみて!」
言われるがままに魔力石を握ってみる。
すると、指の間からオレンジ色の光が洩れだした。
同時に、強い脱力感というか何かに体力を吸われたような感覚になる。
「これは、土の魔力が強いんだね……でも魔力自体は弱そうだね」
確かにものすごく疲れたということはそういうことなのだろう。
「ピンチの時に突然土の壁が具現化したりとかは……」
「無理だね。泥団子を作れるくらい。練習次第ではすごい綺麗な光る泥団子は作れるようになるかもね」
光る泥団子かぁ、懐かしいなぁ……
「光る泥団子……」
とりあえず、魔法の適正が無いことがわかってまた一つ異世界生活の夢が壊れるのだった。
何かすることはないかと辺りを見回していると、ふといかにも魔法使い風の女性を見つける。
たしかさっきもロビーに居た……たしかリリエールさんとか言った気がする。
誰かを探しているのだろうか、彼女も何やら周囲を見回しているようだ。
「えーっと、今日からこちらにお世話になるケントです。よろしくお願いします!」
リリエールさんに話しかけてみる。
すると、リリエールさんは一瞬驚いた表情を見せてから八重歯を見せて朗らかに笑った。
「あー!さっきも聞いてたよー。私はリリエール・リエンタール!もちろん勝手に名乗ってるだけどねー。ほら異世界ってこういうの大事だし。多分君のは本名だよね?今度私がかっこいいの考えてあげるよ!例えばー……」
「いえいえいえ結構です!」
なんというか、明るいというかおばさんみたいな人だ。
それにかっこいい名前はできれば自分で考えたい。
「あ、そう?ところで何か用~?」
ケロッとした顔でリリエールさんは首を傾げる
「ワイナストーンっていうのを見せて欲しくて……えっと、ミアナから教えて貰って」
俺の言葉を聞いてリリエールさんは大きく何度か頷いた後に方から下げていた大きなポシェットからゴルフボールくらいの大きさの白い石を取り出した。
宝石というよりは石灰石のような見た目で、特にツヤなどはない。
「ケントくんも魔法系なの?魔法系だったら魔力石が一番効率いいからねー」
ハハハ、と八重歯を見せて笑う。
魔法系だったらどれだけ良かったか……。
「いえ、違うんですけど見せてもらいたくて。そう言えば魔力石は宝石みたいというか水晶みたいに透き通ってたんですが、ワイナストーンは石っぽいんですね」
正直、少し白っぽいだけのただの石にしか見えなかった。
「ワイナストーンはただの依り代だからね。魔力の強い人ならワイナストーン以外でも魔力石は作れるし。魔力を込めたら姿が変わるっていうかーうーん……まぁ見てて!」
そう言うと、リリエールさんはワイナストーンを握りしめた。
指の隙間から微かに赤い光が洩れた後、リリエールさんは手を開いてみせた。
すると、中には赤い綺麗な結晶のようなものが出来上がっていた。
「うわ、凄いですねリリエールさん……」
「炎使いが私の能力。火の魔力が他の人よりだいぶ強い事がチートだね。それと私の事は呼び捨てでいいし敬語もいらないからね~!永遠の12歳な魔女っ子だから!」
うわぁ……痛い人だ。
ワイヤーの入っていそうなスカートにフリフリの衣装、色鮮やかなリボンは確かに魔法使いというよりは魔女っ子というような格好ではあるが、この人どう見ても20代前半……
「何か文句でも?」
ムスッとした表情でこちらの顔を覗き込む。
「い、いえ、なんでもないで…ないよリリエールさ……リリエール」
名前を呼ぶとリリエールは満足そうにニカリと笑って、俺の手に何かを握らせた。
見ると、それはビー玉のような小さな透明の珠だった。
「これは?」
「ピュアストーン。魔力が伝わりやすい石で、魔法が得意じゃない一般人でも握れば一番強い属性の魔力石にできるのよ。ケント君にあげる!握ってみて!」
言われるがままに魔力石を握ってみる。
すると、指の間からオレンジ色の光が洩れだした。
同時に、強い脱力感というか何かに体力を吸われたような感覚になる。
「これは、土の魔力が強いんだね……でも魔力自体は弱そうだね」
確かにものすごく疲れたということはそういうことなのだろう。
「ピンチの時に突然土の壁が具現化したりとかは……」
「無理だね。泥団子を作れるくらい。練習次第ではすごい綺麗な光る泥団子は作れるようになるかもね」
光る泥団子かぁ、懐かしいなぁ……
「光る泥団子……」
とりあえず、魔法の適正が無いことがわかってまた一つ異世界生活の夢が壊れるのだった。
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