元喪女に王太子は重責過ぎやしませんかね?

紅葉ももな(くれはももな)

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忘れてましたすみません……

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 キャロラインとすっかり打ち解けた私がキャロラインを伴って晩餐に顔を出せば、リステリア母様が今にも泣き出さんばかりにキャロラインに走り寄りきつくその身体を抱きしめた。

 抱き合う二人を更に陛下、アルトバール父上が抱き締める。

「もぅ、心配したのよ?」

「ごめんなさい、もう大丈夫」

「無理はするんじゃないぞ? 無理や難題はシオルだけで沢山だからなの」

 父の言葉にツッコミを入れかけたが、つい最近己の軽率な行動でドラグーン王国から民を移民させたばかりなため口を噤む。

 家族四人でまだ生産量が少なく高級品となっている味噌や更に希少な味噌桶の下に溜まったたまり醤油で味付けされた料理をいただくと、キャロラインはことさら喜んだ。
 
「はぁ……味噌と醤油とか兄様マジ神。 これで白米があれば完璧なんだけど」

「なかなかないんだよね、各国に出向する度にあちこちの市場を覗いて歩いてるんだけど、未だに見つけられないんだわ」

 ほぅ……っと侍女が入れてくれた紅茶を飲みながら、キャロラインと語らい合う。

「米はないけど何なら麦だけで炊いてみる?」

「う~ん、やってみたけどこれじゃないって感じだった。 うどんにするなら良いんだけどね」

 キャロラインと絶対に米を見つけようと堅い握手を交わして誓い合う。

 やっぱり米は食べたい。

「そういえば兄様が連れてきたエイト目が覚めましたわよ」

 ん? エイトってなんだろう。

 どうやら私の心の声が顔に出ていたようで、キャロラインに深いため息を吐かれた。

「すっかり忘れてますわね、兄様がサクラに乗せて連れてきた少年です!」

 そう言われて小さな奴隷の少年を買い取って連れてきた事を思い出した。

「すみません、忘れてました……」

「もう! 拾ってきた生き物は最後まで面倒を見なければいけないんですからね!」

 その後、奴隷少年エイト君の現状をキャロラインに聞けば、やはり心に浅からぬ傷を負っていたようで最初は心を閉ざしてしまった。

 介抱の結果キャロラインと世話をしていた侍女長にのみ怯えるなく接するようになったらしい。

「あとで様子を見に行くよ、彼を奴隷のままにするつもりはない。 子供ひとりで生きていくのが厳しいのは前世(あちら)も今世(こちら)もおなじだから」

 それでも前世では親の虐待や育児放棄から子供を救う制度が有った。

 双太陽神教会が運営している孤児院やレイナス王国が運営管理している孤児院があるが、保護できる人員に限りがあるのもまた事実。

 特に近年はドラグーン王国からの難民も多く、亡命するまでに親を亡くし行く宛のない子供が増えてしまった。

「まぁ今世で兄妹として前世持ちが集まったのもなにかの縁だと思って少しずつこの国を民が幸せに暮らせる国にしていこうよ」

「そうだな、頼りにしてるよキャロ!」

「任された!」 
 
 群雄割拠の動乱に揺れる大陸で小国の王子と王女、たった二人ではこの世界を変えることは難しいだろう。

 それでも、なんでかな?

 たとえどんな困難な夢でも自分と同じく前世の記憶を持つ転生した者が居る。

 その事実だけでも救われるような気がした……
  
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