元喪女に王太子は重責過ぎやしませんかね?

紅葉ももな(くれはももな)

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ドラグーン王国行かなくて良かった

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父様の話では、只の一貴族だと思っていたクラインセルト殿下が、なにも知らない叔母様を本来王族が伴侶と踊るはずのタイミングでダンスに引っ張り出したと。

 その流れのままにミリアーナ叔母様が帰国するのに便乗してレイナスまで付いてきたと言うことですか。

 レイナス王国の私室にて一連の状況を聞いての感想です。

 父様が青褪めるとこ見たかった何て言ってごめんなさい。

「いあーん(行かなくて良かった)」

「あの短期間にそんな裏事情があったのか。」

 そりゃ老け込むわ。お疲れ様です父様。

「しかし、一番の収穫はロブルバーグ大司教様の申し出ですね、これは有り難いです。」

 ん?なぬ?申し出って、何の事よ。

「あー?(大司教様?)」

「実はな、歳で引退することにしたんじゃ。長旅は堪えるからレイナス王国に置いてもらうことにしたんじゃよ。ついでにそなたと遊ぶ許可も国王陛下から御許しを貰った。」

「あうー!?(マジー!?)」

「あぁ、本当じゃぞ?」

 もしかして通訳ゲット!?

 じーっとアルトバール父様を見詰めてにっこり笑顔。

「そうかそうか、シオルも嬉しいか。良かった良かった!」

「あーい!(ありがとう!)」

 ひょいっと抱き上げられて高い高い、実は地味に恐いよこれ。気分はバンジージャンプ。

 しかも父様は天井に向かって投げるのですよ。

 命綱無しで、しかも高さが半端ない。それ以前に赤ん坊投げんなー!

「ううう~!(やめて~!)」

 涙がでてくる、真面目に泣きます。恐いんだもの!!!

「陛下、その辺でお止めになった方が、赤ん坊はあまり揺さぶると簡単に死んでしまいますぞ。」

「なに!?そうなのですか!?」

 ぎょっとした父様は恐る恐る私を確認しましたけど多分恐怖で半分死にかけてますよ。

「シオル、すまない。大丈夫か!?」

「あーい・・・・・(はーい・・・・・・)」

 なんとか返事を返すとほっとした様子で胸を撫で下ろした。

「それでロブルバーグ大司教様のお部屋なのですが。」

「儂はどこでも構いませんよ?」

「そう言ってくださると助かります。実は騎士寮をと思ったのですが、王宮まで少し距離がありますので、迎賓館内にお部屋を用意させて頂きます。」

「なんと、有り難い。歳のせいか足腰が弱くなっておりますからのぅ。」

 いやいや、ぴんぴんしてますけど。確かに高齢者かも知れませんが、私の記憶にある高齢者像からかけ離れてますよ?

 ちなみに学生時代の高齢者施設の慰問のイメージ。ロブルバーグ大司教様はとてもそうは見えない。

 やはり自動車も鉄道もないと足腰が丈夫なんだろう。

「それから夕食ですが、リステリアがささやかな酒宴を用意しているようですので御一緒にいかがでしょうか?」

「おぅ、それはそれは。是非とも出席させて頂きます。」

 酒宴はドラグーン王国のクラインセルト殿下とレイナス王国の王族一同、ロブルバーグ大司教様で行われた。

 クラインセルト殿下の来訪は突然だったので国を挙げての祝宴は直ぐには無理。

 しかし今回は王妹ミリアーナ姫君の婚姻と言う事情が絡んでいるために急ぎ嫁入りの準備をしなければならないのだ。

 御愁傷様です父様、今回の主役は暢気に談笑、う~んとミリアーナ叔母様にベタ甘えでのろけてます。二人とも見た目は極上だから絵になるわー。

 二人とも男性物の衣裳で知らない人が見ればBLだわな。クラインセルト殿下は中性的だからドレス着せたらユリで行けそう。

 美形は目の保養だわ。前世でBLもユリもあんまり偏見なかった本の虫としてリアルでのこの眼福、ヨダレが・・・・・・

「そんなにヨダレを垂らさなくてもご飯をあげますよ?はいあーん。」

「あーう(あーん)」

 リステリアお母様に運んで貰ったスプーンにかぶり付くと、口の廻りをナプキンで拭ってくれた。

「クラインセルト殿下、これからの事ですが婚礼まで色々と準備もありますから、我が国を観光でもされますか?と言ってもこの通り周囲を山に囲まれた小国ゆえ目立った名所もありませんが。」

 アルトバール父様が食事も一段落した頃に話を切り出した。

「お気遣い感謝を申し上げます、そうですね。お言葉に甘えミリアーナ姫に案内を御願いしてもよろしいでしょうか?」

 にっこりと微笑む。

「ミリアーナは婚礼の衣裳やその他諸々の準備もありますし、空いた時間でと言う制約がありますが。」

「構いません。私もミリアーナ姫の婚礼衣裳をみたいですから、それに同行された大司教様に御教授願いたい事もありますし。」

 ロブルバーグ大司教様はクラインセルト殿下から話を振られ、口にしていた紅茶をテーブルへ戻した。

「こんな老いぼれにわかる知識で宜しければどうそ?歓迎致しますよ。」

 あー、眠くなってきたよ。良いところなのに赤ん坊の起床時間にはそろそろ限界か。

「ん?シオルおねむ?」

 くわーっとした欠伸を、リステリアお母様に見付かってしまった。頬に落とされた羽毛みたいに軽いキスがくすぐったい。

 直ぐにリーゼさんがお母様の元へ近付くと、腕の中から私を抱き上げる。

「リステリア様、陛下。シオル殿下を御部屋へお連れしても宜しゅう御座いましょうか?」

「リーゼ有難う。それではシオルを御願いね?」

 強制退去ですね。

「はい、お任せください。失礼致します」

「あーう~(おやすみなさーい)」

 リーゼさんに抱かれながらパタパタと右手、と言うより右だけ手を動かそうとすると左も動くため羽ばたくみたいになるのだけども。

 強制退去後、ベビーベットに戻ると直ぐに襲ってきた睡魔に負け、フワフワの毛布とウサギのぬいぐるみと一緒に夢の中へ入り込みました。
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