元喪女に王太子は重責過ぎやしませんかね?

紅葉ももな(くれはももな)

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アンジェリカの答え

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 考え込んでしまったアンジェリカの髪を手櫛で梳きながらアンジェリカの気持ちがまとまるのを待つ。

 もしアンジェリカが私と一緒にレイナス王国に来てくれると言うならどんな手段を使ってもアンジェリカを唯一の妻に迎えよう。

 なぜかわからないけれど自分の伴侶はアンジェリカだと思っている。

「……いまは、行けないごめんなさい……」

 アンジェリカはボソリと告げる。

「そっかぁ……振られちゃったか」

 自嘲気味に言えば、アンジェリカが抱きついてきた。

「良く考えたらあんな抜作な父さんを新しいお嫁さんにいきなり丸投げしたらお嫁さんが可哀想だもの……直ぐに『お母さん』とは呼べないだろうけど、せめてもう私が居なくても大丈夫だなって思えるくらいまではお嫁さんの補佐はしようと思う」 

 そう告げるアンジェリカの目にはもう先程の迷いはない。

 どこまでも先を見通すように真っ直ぐな、私の好きなアンジェリカに戻っている。

「でも……そうね、父さんの件が片付いて大切なものを自分で守れるくらい大人になったら……シオルのお嫁さんになってあげても、いいよ?」

 プイッと視線をそらしながらアンジェリカが告げた言葉に目を見開いた。

「本当!? 今の言葉しっかり言質取ったからね。 あとからやっぱり無しなんて許さないよ!」

「わっ、わかってるわ! 私は約束は死んでも守る女なんだから!」

「そこまで言うなら商人らしく契約書作ろうよ。 嬉しいなぁよろしくね未来のお嫁さん?」

 調子に乗ってキスをしようとしたら頭を叩かれた。

「調子に乗るな!」

「ブゥー、アンジェリカのケチ!」

「あら、褒めても何も出ないわよ?」

 クスクスと笑いあっていると警備隊の人を連れてきたロンダークさんが戻ってきた。

 警備隊の人達はロンダークさんが縛っていた男達を立たせると次々と連行していった。

「ううん、シオル様」

「お疲れさまロンダークさん」

「ハッ、あっあの、助けていただきありがとうございました」

 わざとらしく咳払いをしたロンダークさんに労いの言葉をかけると、慌てたように私から離れて顔を真っ赤にしながらアンジェリカが深々とロンダークさんに頭を下げた。

「いぇ、こちらこそシオル様を救っていただき、お礼申し上げます」

 二人でペコペコと頭を下げあっている二人の様子がおかしくて笑ってしまいアンジェリカに睨まれた。

「さて、そろそろ宿に戻ろうか」

 トーマスさん生きてるかなぁ。

 ロンダークさんを殿にアンジェリカと手を繋ぎながら宿へ向って歩きだす。

 アンジェリカの掌を指と指を絡めるように握り合う。
 
 レイナス王国へ出発するにしてもトーマスさんと一緒に旅を続ける決断をしたアンジェリカと一緒にいられるのはあと少しの間だけ。

 そういえばアンジェリカに本名名乗ってなかったわ、危ない危ない。

「アンジェリカ」

「な~に?」

 内緒話をするように顔を寄せてきたアンジェリカの耳元に唇を寄せる。

「改めて私の名前なんだけどねシオルって言うんだ。 シオル・レイナス」

「わかったわシオルが正しいのね! ……レイナス?」

「そっ! シオル・レイナス。 レイナス王国第一王子だからよろしくね」

「……はぁ!?」

 ピタリと歩みが止まってしまったアンジェリカがワナワナと唇を震わせて固まっている。

「前言撤回は認めませんから~」

「王子様なんて聞いてないわよ!?」

「今聞いたじゃん」

「しかも第一王子って」

「うん、弟でもできない限りは王太子だねぇ」

「ムリ、ムリムリムリ~!」

 すごい勢いで涙目になりながら頭をブンブンと横に振っている姿も可愛いなぁ。

「なるようになるさぁ~」

「ならないって!」

「あはははは!」
 
 しっかりと手を繋いだまま帰る私達をロンダークさんは何も言わずに見守ってくれているようだった。


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