元喪女に王太子は重責過ぎやしませんかね?

紅葉ももな(くれはももな)

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疫病との闘いと、乗り越えた先

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 一大国家事業となった疫病対策だが、それでも少なくない犠牲者が出てしまった。

 感染予防対策としては有効だったけれど、私もキャロラインも持っている医学の知識なんてたかが知れている。

 前世なら熱が出たり体調が悪ければ医者に行けば良かった、幸い医療費の保証も受けれたため、私が生きていた時には、確かに3割を自己負担すれば適切な治療を受ける事ができる。

 しかし、この世界では医療費を国で負担など無理に等しい、治療に必要とされる薬を調合したくても薬草自体高価な上、取れる場所も国内に存在しないこともザラなのだ。

 効果があるわけでもない雑草を薬だと言って民に売りつける物も少なく無かったし、それらを取り締まっても、取り締まっても取り締まっても無くなることはなかった。

 自動車や貨物列車、飛行機に貨物船、そんなものが存在するはずもなく、行き来するだけで数年単位の距離を、旅商人たちが馬車で薬草を買い付けて来る。

 そしてその買い付けも大飢饉と疫病の世界的蔓延の影響で食べる物に困り山賊や盗賊になるしかなかった人々によって襲撃される被害が続出していて届かない。

 何が知識チートだ、何が転生無双だ、なにも、なにも出来やしないじゃないか!

 世界中で猛威を振るう大災害に翻弄され、積み上がる遺体を火葬することになれ涙も涸れた。

 この大災害での犠牲者はいったいどれほどになったのだろう、レイナス王国が把握できているのは、友好国であるドラグーン王国とレイス王国、それから密偵を放っている隣国くらいだけれど、そのどこの国よりもレイナス王国の犠牲者数は少なく済んでいる。

 付け焼き刃の感染予防と、キャロラインの冷害予告が無ければ、もっと何か出来なかったか。

 自己嫌悪に陥る私の隣には常にアンジェリカが寄り添い、支えてくれた。

 そんなある日、吉報が届いた。

 アンジェリカの実の父が、商いで訪れたある山村で薬草を仕入れてきてくれたのだ。

 レイナス王国より遙か西にあるグローツ王国にあるその山村ではこの疫病と同じ様な症状の患者はいるものの、死者は出ておらず、みな回復しているという。

 どうやらその村がある山に自生しているある野草を、日常的に食料として活用している事に気が付いたアンジェリカの父が許可を経て株ごと買い取り、また乾燥させてお茶状態になった物も可能な限り仕入れてくれたのだと言う。
 
 また管理が難しかっただろうが、奇跡的に生きたまま届けられた株とアンジェリカの初めて会うことになった妹さんが、薬草を絵描いて届けてくれたため、藁にもすがる思いで国内を探しまくった。

 もし薬効が無くても食べられると確定している植物は貴重だから。

 王宮で勤める文官、武官で罹患しており職務が全うできていない者の許可をとり、山村で実際に食べ方やお茶として飲む頻度を見てきたアンジェリカの父と宮廷医師達の協力で投薬が始まり一定の薬効が認められた。

 またありがたい事に、この野草レイナス王国を取り囲む山脈での群生が確認できた事で一変する事になった。

 どうやら生では苦くて食べられないが、お湯で湯がきアクを抜けば食べられるようになるらしい。

 また天日干しして砕いたものをお湯に戻してお茶として服用する。

 しかもこの野草、生育旺盛で踏もうが抜こうが焼き払おうが人々をあざ笑うがこどく生育する、レイナス王国の認識としては雑草だった。

 なので、武官総出で草むしりを敢行し片っ端から麦粥に投入し、食料の炊き出しに入れて食べさせたのである。

 一定の効果の確認が取れたところで友好国へ情報提供を行い、病が鎮静化するまでやく三年、人手が足りない農村に武官や文官を率いて野良仕事に奔走して一年。

 今日、私の隣には純白の花嫁衣装に身を包んだアンジェリカが幸せそうに微笑みながら馬車から民に手を振り、大勢の声援に応えている。

 あぁ、しあわせだな。

 
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