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妹の育てかたを間違えたかもしれない。
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雪解け水が山からレイナス王国へと恵みとなって流れ込む本日、いつもと変わりなく、愛剣で素振りを繰り返していると、けたたましい声を張上げて飛んできた者によって背中に衝撃が走った。
正直に言いましょう。避けられますよ。伊達に父様やその他の武官、文官に十年間鍛えられてませんとも。
ドラグーン王国から帰国してからはや五年、毎日毎日レイナス王国の後継者としての教育と、有事の際に自分の腕で国を守れるように武術の鍛練をしてきました。
ドラグーン王国から帰った時にはよちよち歩きだった可愛い妹のキャロラインも今では城内を深紅のドレスを翻しハイヒールで駆けずり回る立派な鉄砲玉・・・・・・もとい淑女?になりました。
妹よ、一応一国の王女がそんなんでいいのだろうか、ごめんなさい。私のせいだね、うん。
淑女教育が始まったもののどうやらレイナス王家に刻み込まれた戦闘民族的な血筋はしっかりとキャロラインにも受け継がれていたようで、座学よりも体を動かすことを好む妹ちゃん。
お兄様!格好いい!とおだてられて見事に調子にのった昔の私を殴り飛ばしてやりたい。
ぴよぴよと後を懸命に付いてくるキャロラインに剣術の訓練を見せ、キャーキャー言われ。
乞われるままに木剣を貸してしまい、気が付けば一緒に素振りしていたり。
馬に乗りたいと懇願されて城にある生け垣を馬術で飛び越えるといった荒業をお兄様素敵!と言われてついつい乞われるままに伝授してしまった私は悪くない!
気が付いた時には既に遅くミリアーナ叔母様の分身が出来上がってしまい、矯正の効かない猪突猛進なレディになってしまった。
ドレスを着て、喋らずに動かなければどこからどう見ても美姫なキャロライン。
さらさらな美しい金髪に緑と琥珀色のオッドアイが印象的な美少女の体当たりを素直にくらい、グウッ!と呻いた。
昔体当たりを避けたらそのまま勢いよくキャロラインが馬屋に突っ込んで行ってしまい怪我をしてしまったことがあった。
それからと言うもの回避はせずに受け止める事にしたのだが、成長するにつれて破壊力はうなぎ登り、鍛えてはいるもののもうすぐ十歳になる私の身体は成長が遅いのか、七歳のキャロラインとあまり差はない。
辛うじて、辛うじて私のほうが小指一本分高いのが救いだろうか。
「お兄様!お兄様!お兄様ぁー!」
膝の屈伸を活用して衝撃に耐えて体の向きを変えると、今日も元気なキャロラインを抱き締めた。
「キャロ?どうしたの、今はレーシャに刺繍を習っている時間だろう?」
「刺繍なんて役にたたないものよりも素振りの方が有意義ですわ!それよりもお兄様本当ですの!?」
いやいや、刺繍大事だよ。出来れば好いた人に嫁いで貰うのが理想だけど、私達は王族だからそうも言っていられないし。
淑女の嗜みとして刺繍は必須。あのミリアーナ叔母様でも多少は出来たんだよ。
私の洋服の胸元をむんずと掴んだキャロラインにユサユサと容赦なく揺さぶらながら、一体何を示して本当かと聞かれているのか考える。
この間キャロラインがミナリーの靴に仕込んだ蛙がバレたのか、もしくは隠しておいた生け垣を通り抜けた時に破いた夜会服が見付かった?
ハッ!もしやキャロラインが途中で放棄した刺繍の続きをつい前世の手芸好き癖で勝手に完成させて置いておいたのがバレたのか!?
「すっ、すまない!キャロ、刺繍は出来心だったんだ!」
内心だらだらと冷や汗を流しつつとりあえず謝罪する。
「えっ!?あの素晴らしい刺繍はお兄様だったんですの!?てっきり親切な妖精が気紛れに私の窮地を救ってくれたのかと思っておりましたわ。」
いやね、確かにレイナス王国の童話で妖精は出てくるし、幻獣の類いも出てきますよ?
「キャロ、妖精居ないからね?」
「おほほっ、お兄様ったらそんな夢の無いことを仰るなんて!双太陽神を始祖とする王族が居るんですのよ。探せば妖精やユニコーンやペガサス、ドラゴンの一頭や二頭くらい居てもバチは当たりませんわ!」
どこの世界にも似たり寄ったりな思考の人はいるのか、もしかしたら私のように前世の記憶がある人物が居て伝え広めたのかも知れない。
しかし、刺繍じゃないなら一体なんだ?
「う~んキャロ、私は何かしたかな?」
悩むよりも聞いた方が早そうだ。下手にこちらから黒い案件を提示して自爆は避けたい。
「ハッ!そうでしたわ!お兄様、ドラグーン王国のセントライトリア学園へ留学なさるって本当ですの!?」
えっ、なんだって・・・・・・セントライトリア学園って何?ドラグーン王国に留学!?聞いてないよ!?
「キャロ!その話誰からきいた!?」
「きゃ!シリウス伯父様です!」
ぐわしっ!っとキャロラインの両肩に手を置いてガシガシ振ると、目を回したようにぐらぐら傾いだ。
「シリウス伯父様だな!」
キャロラインに持っていた木剣を手渡して走り出す。
「伯父様は今お父様の執務室にいらっしゃるはずですわ。」
後ろから居場所を教えてくれたキャロラインに手を振って勝手知ったる城内を駈ける。
「キャーシオル様!城内を走ってはいけません!」
途中でキャロラインを捜しているリーゼに見逃してもらう為にキャロラインの居場所を教えて先を急いだ。
キャロライン、お前の尊い犠牲は忘れないぞ。
雪解け水が山からレイナス王国へと恵みとなって流れ込む本日、いつもと変わりなく、愛剣で素振りを繰り返していると、けたたましい声を張上げて飛んできた者によって背中に衝撃が走った。
正直に言いましょう。避けられますよ。伊達に父様やその他の武官、文官に十年間鍛えられてませんとも。
ドラグーン王国から帰国してからはや五年、毎日毎日レイナス王国の後継者としての教育と、有事の際に自分の腕で国を守れるように武術の鍛練をしてきました。
ドラグーン王国から帰った時にはよちよち歩きだった可愛い妹のキャロラインも今では城内を深紅のドレスを翻しハイヒールで駆けずり回る立派な鉄砲玉・・・・・・もとい淑女?になりました。
妹よ、一応一国の王女がそんなんでいいのだろうか、ごめんなさい。私のせいだね、うん。
淑女教育が始まったもののどうやらレイナス王家に刻み込まれた戦闘民族的な血筋はしっかりとキャロラインにも受け継がれていたようで、座学よりも体を動かすことを好む妹ちゃん。
お兄様!格好いい!とおだてられて見事に調子にのった昔の私を殴り飛ばしてやりたい。
ぴよぴよと後を懸命に付いてくるキャロラインに剣術の訓練を見せ、キャーキャー言われ。
乞われるままに木剣を貸してしまい、気が付けば一緒に素振りしていたり。
馬に乗りたいと懇願されて城にある生け垣を馬術で飛び越えるといった荒業をお兄様素敵!と言われてついつい乞われるままに伝授してしまった私は悪くない!
気が付いた時には既に遅くミリアーナ叔母様の分身が出来上がってしまい、矯正の効かない猪突猛進なレディになってしまった。
ドレスを着て、喋らずに動かなければどこからどう見ても美姫なキャロライン。
さらさらな美しい金髪に緑と琥珀色のオッドアイが印象的な美少女の体当たりを素直にくらい、グウッ!と呻いた。
昔体当たりを避けたらそのまま勢いよくキャロラインが馬屋に突っ込んで行ってしまい怪我をしてしまったことがあった。
それからと言うもの回避はせずに受け止める事にしたのだが、成長するにつれて破壊力はうなぎ登り、鍛えてはいるもののもうすぐ十歳になる私の身体は成長が遅いのか、七歳のキャロラインとあまり差はない。
辛うじて、辛うじて私のほうが小指一本分高いのが救いだろうか。
「お兄様!お兄様!お兄様ぁー!」
膝の屈伸を活用して衝撃に耐えて体の向きを変えると、今日も元気なキャロラインを抱き締めた。
「キャロ?どうしたの、今はレーシャに刺繍を習っている時間だろう?」
「刺繍なんて役にたたないものよりも素振りの方が有意義ですわ!それよりもお兄様本当ですの!?」
いやいや、刺繍大事だよ。出来れば好いた人に嫁いで貰うのが理想だけど、私達は王族だからそうも言っていられないし。
淑女の嗜みとして刺繍は必須。あのミリアーナ叔母様でも多少は出来たんだよ。
私の洋服の胸元をむんずと掴んだキャロラインにユサユサと容赦なく揺さぶらながら、一体何を示して本当かと聞かれているのか考える。
この間キャロラインがミナリーの靴に仕込んだ蛙がバレたのか、もしくは隠しておいた生け垣を通り抜けた時に破いた夜会服が見付かった?
ハッ!もしやキャロラインが途中で放棄した刺繍の続きをつい前世の手芸好き癖で勝手に完成させて置いておいたのがバレたのか!?
「すっ、すまない!キャロ、刺繍は出来心だったんだ!」
内心だらだらと冷や汗を流しつつとりあえず謝罪する。
「えっ!?あの素晴らしい刺繍はお兄様だったんですの!?てっきり親切な妖精が気紛れに私の窮地を救ってくれたのかと思っておりましたわ。」
いやね、確かにレイナス王国の童話で妖精は出てくるし、幻獣の類いも出てきますよ?
「キャロ、妖精居ないからね?」
「おほほっ、お兄様ったらそんな夢の無いことを仰るなんて!双太陽神を始祖とする王族が居るんですのよ。探せば妖精やユニコーンやペガサス、ドラゴンの一頭や二頭くらい居てもバチは当たりませんわ!」
どこの世界にも似たり寄ったりな思考の人はいるのか、もしかしたら私のように前世の記憶がある人物が居て伝え広めたのかも知れない。
しかし、刺繍じゃないなら一体なんだ?
「う~んキャロ、私は何かしたかな?」
悩むよりも聞いた方が早そうだ。下手にこちらから黒い案件を提示して自爆は避けたい。
「ハッ!そうでしたわ!お兄様、ドラグーン王国のセントライトリア学園へ留学なさるって本当ですの!?」
えっ、なんだって・・・・・・セントライトリア学園って何?ドラグーン王国に留学!?聞いてないよ!?
「キャロ!その話誰からきいた!?」
「きゃ!シリウス伯父様です!」
ぐわしっ!っとキャロラインの両肩に手を置いてガシガシ振ると、目を回したようにぐらぐら傾いだ。
「シリウス伯父様だな!」
キャロラインに持っていた木剣を手渡して走り出す。
「伯父様は今お父様の執務室にいらっしゃるはずですわ。」
後ろから居場所を教えてくれたキャロラインに手を振って勝手知ったる城内を駈ける。
「キャーシオル様!城内を走ってはいけません!」
途中でキャロラインを捜しているリーゼに見逃してもらう為にキャロラインの居場所を教えて先を急いだ。
キャロライン、お前の尊い犠牲は忘れないぞ。
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