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ジュディ編
40 魔族の真実
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グロリアと共に城を出たディートの前に聖獣白虎・ハクエイが降り立った。
「話はついたようだな。其方ならグロリアを説得できると思っていた」
「!?最初からグロリアを仲間に引き込むつもりで僕を連れてきたってこと!?」
「どういうこった。聖獣からしたら魔族は敵じゃねえのか?」
驚くディートとグロリア。
だが、二人はさらなる衝撃の事実を告げられることになる。
「何か勘違いしているようだが魔族とは魔界に住む住人をさす言葉だ。我々から見たらただの異種族にすぎん」
「しかし伝承などでは絶対悪として書かれていたような…」
「俺自身もただの異種族として扱われたことはねーぞ。どこへ行っても化け物扱いだ」
「そうだな、簡単にだが真実を教えておこう」
聖獣ハクエイが言うには、魔族はこの世界に離接する異世界ー魔界の住人たちのことを言う。
魔族たちとははるか昔から契約という形で交流を持っていた。
今現在禁術と呼ばれるものもかつては契約魔法と呼ばれ現在一般的に使われる魔術とは別の能力としてきちんと区別されていた。
「魔法と魔術って一緒じゃなかったんですか!?」
「現在は混同されているな」
ディートのふいに出た質問にも律儀に答えてくれるハクエイ。彼は結構面倒見が良いタイプである。
「昔は魔族との契約には何もなかったのだが、有るときを境に変わっていった…」
今から数千年前とある王国と帝国で大きな争いが起こった。
戦いは王国側の勝利で終わったのだが、当時帝国側の術者に契約魔法使いーーつまり魔族と契約したものが多かった。
戦勝国である王国が歴史書に戦いのことを記載するときに自国が良く見えるように帝国側を絶対悪として描く必要があった。
その際に契約魔法使いについてもイメージが悪くなるように記載した。
そのこと自体は古代の戦争においてよくあったことなので別に問題は無い。
のちの世では内容が誇張されたものでり資料の一つでしかないと認識されているからだ。
ただ、運が悪いことに魔族のマイナスイメージだけは誇張ととらえられずに現在に至っても悪評が払しょくされていない。
それは大国に習った周辺諸国が契約魔法使いを避けるようになったことが原因の一つであるが、当時の人々も未来にまで続くとは思っていなかっただろう。
「魔界とこの世界は双子のようなもので切っても切れないものだ。魔族との関係も本来は良好でなければならない」
「…こんなこと言いたくないのですが、聖獣様たちは何やってたんですか?」
「痛い所を突かれたな。正直言うと人間の国の情勢に我々は疎くてな…気が付いたときは我々だけではどうしようもなくなっていたのだ…」
ディートの突っ込みに申し訳なさそうに答えるハクエイは一回り小さく見える気がした。
聖獣などの長命な種族は人と感覚がズレがちではあるが、数千年単位で気が付かないのはさすがに間抜けである。
「なるほどなぁ~どおりで魔界とこっちでなんかズレがあると思ったぜ…」
グロリアが魔界にいたころは人間との契約はごく当たり前の知識として知られていた。最近はなぜか契約してくる人間がほとんどいなくて不思議だ~なんて会話がのんびりとされていくらいだ。
それがいざ人間界にきてみると魔族は悪で契約は禁忌となっていた。
グロリアがジュディ達に促されるまでアリーに契約を持ち掛けられなかったはこのことがあり、近畿の契約を持ち掛ければ嫌われてしまうのではないかという不安があったからが。
「今更知ったところであんま意味はねぇか…」
契約の真実を知っていれば尻込みせずにアリーを助けに行けたかもしれない。でももしもなんて考えたところで仕方がない。
少し気持ちが遠くなってしまったグロリアと少し呆れ気味なディートにハクエイはさらに言葉を続ける。
「まあ、そういうわけで我としては魔族の誤った知識も修正したい。そのためにディート、グロリア君たちに全面的に協力することを誓おう」
「!それは助かります。早速ですが一つお頼みしても?」
「我が出来る範囲であれば」
ディートの口から告げられた頼みをハクエイは快く承諾した。
「話はついたようだな。其方ならグロリアを説得できると思っていた」
「!?最初からグロリアを仲間に引き込むつもりで僕を連れてきたってこと!?」
「どういうこった。聖獣からしたら魔族は敵じゃねえのか?」
驚くディートとグロリア。
だが、二人はさらなる衝撃の事実を告げられることになる。
「何か勘違いしているようだが魔族とは魔界に住む住人をさす言葉だ。我々から見たらただの異種族にすぎん」
「しかし伝承などでは絶対悪として書かれていたような…」
「俺自身もただの異種族として扱われたことはねーぞ。どこへ行っても化け物扱いだ」
「そうだな、簡単にだが真実を教えておこう」
聖獣ハクエイが言うには、魔族はこの世界に離接する異世界ー魔界の住人たちのことを言う。
魔族たちとははるか昔から契約という形で交流を持っていた。
今現在禁術と呼ばれるものもかつては契約魔法と呼ばれ現在一般的に使われる魔術とは別の能力としてきちんと区別されていた。
「魔法と魔術って一緒じゃなかったんですか!?」
「現在は混同されているな」
ディートのふいに出た質問にも律儀に答えてくれるハクエイ。彼は結構面倒見が良いタイプである。
「昔は魔族との契約には何もなかったのだが、有るときを境に変わっていった…」
今から数千年前とある王国と帝国で大きな争いが起こった。
戦いは王国側の勝利で終わったのだが、当時帝国側の術者に契約魔法使いーーつまり魔族と契約したものが多かった。
戦勝国である王国が歴史書に戦いのことを記載するときに自国が良く見えるように帝国側を絶対悪として描く必要があった。
その際に契約魔法使いについてもイメージが悪くなるように記載した。
そのこと自体は古代の戦争においてよくあったことなので別に問題は無い。
のちの世では内容が誇張されたものでり資料の一つでしかないと認識されているからだ。
ただ、運が悪いことに魔族のマイナスイメージだけは誇張ととらえられずに現在に至っても悪評が払しょくされていない。
それは大国に習った周辺諸国が契約魔法使いを避けるようになったことが原因の一つであるが、当時の人々も未来にまで続くとは思っていなかっただろう。
「魔界とこの世界は双子のようなもので切っても切れないものだ。魔族との関係も本来は良好でなければならない」
「…こんなこと言いたくないのですが、聖獣様たちは何やってたんですか?」
「痛い所を突かれたな。正直言うと人間の国の情勢に我々は疎くてな…気が付いたときは我々だけではどうしようもなくなっていたのだ…」
ディートの突っ込みに申し訳なさそうに答えるハクエイは一回り小さく見える気がした。
聖獣などの長命な種族は人と感覚がズレがちではあるが、数千年単位で気が付かないのはさすがに間抜けである。
「なるほどなぁ~どおりで魔界とこっちでなんかズレがあると思ったぜ…」
グロリアが魔界にいたころは人間との契約はごく当たり前の知識として知られていた。最近はなぜか契約してくる人間がほとんどいなくて不思議だ~なんて会話がのんびりとされていくらいだ。
それがいざ人間界にきてみると魔族は悪で契約は禁忌となっていた。
グロリアがジュディ達に促されるまでアリーに契約を持ち掛けられなかったはこのことがあり、近畿の契約を持ち掛ければ嫌われてしまうのではないかという不安があったからが。
「今更知ったところであんま意味はねぇか…」
契約の真実を知っていれば尻込みせずにアリーを助けに行けたかもしれない。でももしもなんて考えたところで仕方がない。
少し気持ちが遠くなってしまったグロリアと少し呆れ気味なディートにハクエイはさらに言葉を続ける。
「まあ、そういうわけで我としては魔族の誤った知識も修正したい。そのためにディート、グロリア君たちに全面的に協力することを誓おう」
「!それは助かります。早速ですが一つお頼みしても?」
「我が出来る範囲であれば」
ディートの口から告げられた頼みをハクエイは快く承諾した。
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