【完結】大聖女の息子はやり直す

ゆるぽ

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ジュディ編

49 開戦

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ライラック侯爵邸、時刻午後7:27


館の主であるライラック侯爵は王宮に待機させられているが、彼は帰宅時間は午後8時過ぎになることが常のため現時点で怪しまれることは無い。




「(フローレンシア様が禁術使いだったなんて…)」




シェリィは心から慕っていたフローレンシア・ライラック侯爵夫人がジュディであることをいまだ受け入れきれずにいた。


交流した期間そのものはわずかではあるが、彼女のやさしさと慈悲深さをまじかで見たのだ。


それに、今この時になってもシェリィの聖霊力は彼女を悪だと判断していなかった。







「(お茶会の時は反応したのに…アリーと同じく何か事情があって?でも彼女は途方もない昔から暗躍しているというし…私はなにを信じたらいいの?)」





彼女の迷いの答えを出すにはあまりにも時間が足りない。

無慈悲にも作戦開始の号令がアレクシスから発された。






「館の包囲が完了した10秒カウントで同時突入を開始する10、9、8、7、6…」


「寄ってたかって女性を襲うだなんね。野蛮ね」





その瞬間ライラック侯爵邸の上部が激しい爆発とともに吹き飛んだ。

つい先ほどまで2階部分があった場所には神々しい光を発しながら浮遊する一人の女性がいた。

誰もがライラック侯爵夫人だと思った人影は、予想と反して別人だった。



銀色の長い髪に大きな一枚の布で構成された衣服。たとえるなら古代の聖職者のような見た目だった。

彼女ーージュディが発する光もあって悪の禁術使いというよりも神に仕える巫女のようだと誰もが思っていた。




「本体でお出ましとは…こっちの動きが気付かれてたって事か…やっぱとんでもねえな」

「あら?グロリアもいたのね。まさかあなたがそちら側につくなんて意外ね」







グロリアの独り言に答えるジュディ。





「(グロリアがこちら側についていることを知らなかった…?すべてを見通しているわけでは無いのか…)」

「さすがの私でもなんでもかんでもお見通しというわけでは無いわよ?大聖人アレクシス殿?」



アレクシスの思考を呼んだようなジュディの口ぶりに思わず表情が硬くなる一同。

どこまで見通しているのかが判らないことが逆にアレクシス達にとってプレッシャーとなっている。


そんな中ディートだけはまっすぐにジュディを見つめ前に出る。





「ジュディ…あなたもなにかあった人なんだろう…でもだからこそ僕はあなたを止めなければならない。かつて間違えたものとして」

「…あなたは確か…ディート・ルナライズだったかしら。あなたの瞳にはとても深い後悔が見える…その年で色々あったのね」






ジュディのディートを見つめる眼は慈愛に満ちていた。


その様は大変美しくはかなげで、多くの者たちを禁術使いと導いた悪女の姿とはとても思えなかった。

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