【完結】大聖女の息子はやり直す

ゆるぽ

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終章・魔王大戦

80 乱戦

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魔王ゼグリドは2対1が4組できると言っていたが、戦いのはじめは乱戦となっていた。


それは魔人が自身が戦うにふさわしい相手を見定めるためである。


前衛のジャン&ルーベルト、ディート&グロリア

中衛のアレクシス&レイヴン

後衛のイリス&シェリィ


この隊列を崩さないように粘っていたのだが、徐々に誘導されだんだんと2対1の構図になってきていた。




「まずい…このままでは」


焦りを隠せないアレクシス。

魔人たちだけならともかく魔王相手に2人だけで戦わせるのは無茶が過ぎる。



「残念」


少しばかり皆と離れた瞬間に周囲に結界が張られ、アレクシスとレイヴンと魔人1体が閉じ込められる形になってしまった。



「この結界は私の命と連動している。仲間たちと合流するためにはワタクシを斃す以外ないですよ?」


その魔人は女性型だった。




長くとがった耳に2本の角。

白い肌にタトゥーのような褐色の肌。

人間でいえばスタイルが良いと言える美しい身体。




「ワタクシは魔王様の魔人が一つ。ローゼ。よろしくねお二人さん」













「!?(アレクシス様達が!?)」


魔王の攻撃を何とかさばきながら横目でアレクシス達が閉じ込められるのを確認するディート。

このメンバーで最も経験のある手練れを真っ先に引き離されたことで焦りが生じる。


「よそ見をしている暇はないぞ?運命の子よ」

「?(魔王は何を言っているんだ)」

「何を言っているかわからないと言っている顔だな。我はしっているのだよ。お前が精神逆行の大魔法の中心であることを」



魔王ゼグリドの言葉にディートは目を見開いた。



「前の世界で我はあと一歩のところまで行っていた。だが、精神逆行の大魔法のせいで目的を達成する直前で戻されたのだ。だが、我自身も少しばかり記憶を引き継ぐことが出来たのは幸いであった」



魔王ゼグリドはディートをまっすぐに見つめ残忍な笑みを浮かべる。



「こうして最大の障壁となりうる者を直接殺せるのだからな」

「ディート!!」


ディートの近くにはバディであるグロリア以外の姿が見えない。

ディートとグロリアは2人だけで魔王と戦わなくてはならなくなってしまっていた。












「オレは魔人ザンバ。剣士同士愉しもうぜ?」


身の丈ほどの大刀を軽々扱う魔人は目視でも2m以上ありそうなほどの巨漢であった。

ほかの魔人に比べると見た目はほぼ人間ではあったが、醸し出す気配は人外のそれである。



「…絶対に生きて帰ると約束したからな…俺は負けない!!」

「…ジャンよ、それはフラグというやつか?」

「…」



誓いの元に剣を構えるジャンに向かってルーベルトは空気の読めない言葉をぶつける。

この状況において彼はいつも通りだった。



「はっはっは!面白いコンビだな。名を聞こうか?」


「ジャン・ブルース」

「ルーベルト・リード・スカイピオ。それと刃の部分がでかいから勘違いしているかもしれないがこれは槍だぞ?」


名乗りと同時に二人はザンバに斬りかかる。













「ボクは魔人クロンだよ~よろしくね~お姉ちゃんたち♪」


いびつな三本の角と尻尾が生えていなければ、10歳前後も幼い少年のようであった。



「あなたたちの見た目と年齢が一致しているとは思えないけど?」

「確かにそうだね。でも見た目は大事だよ?」



イリスはクロンの態度に若干いらだちを覚えたが、気にせずに攻撃態勢を取る。

しかし、横目で見たシェリィには戸惑いがわずかに見て取れた。



「(子供の姿で心理的に攻撃をしずらくしてくるとはね。魔人っていやらしい手を使うのね)」


イリスの読み通りクロンはあえて子供の姿を取っていた。

魔王の戒めが解かれるまでの3ヶ月完全な魔人になるまで彼らは何もしていなかったわけでは無い。

日々上がっていく知能を活かし様々な実験を繰り返していたのだ。



その過程でクロンは人間が幼い子供に対しては認識が甘くなったり、殺すことに罪悪感を抱きやすいと感じるようになった。

ならば自身の姿や立ち振る舞いが子供のそれであれば人間を容易く殺すことが出来るのではないか?と。


シェリィの反応をみてクロンは自身の考えが正しかったのだと確信する。


シェリィは全力で戦えない。



「(これはほぼ1対1みたいなものかな?)」




目に浮かぶクロンの余裕。

だがイリスは表情に一切出さずに思った。



「(人間をなめすぎね。目に感情が出ている時点で騙しあいでは3流よ)」



クロンVSイリス&シェリィの戦いも火ぶたを切った
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