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終章・魔王大戦
83 VS魔人クロン
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魔人クロンVSイリス&シェリィ
魔人クロンはイリスの感情が読めずに困惑していた。
彼女はクロンとの戦いが始まってからまるで人形のように顔から一切の感情が消えていたのだ。
対してシェリィはいまだ躊躇は見られる。
思ったよりもイリスに見た目の効果が発揮されないことにイラ立ちを覚え始めた。
「(向こうの女の子はまだいい。それよりもこの女は何なんだよ!魔法使いの癖になんで近接戦闘してるんだよ!?)」
イリスに与えられた神器は杖であったが、神器とは思えないほどシンプルなデザインであった。
銀に輝き細かい意匠が見事ではあるが全体的な形は杖というより棒に近く、杖でありながら棒術にも対応した遠近両用の神器である。
元々イリスという少女は見た目のせいで誤解されがちだが、武道の腕前もかなりのものである。
もちろん最も得なのは魔法であるし、ディートたちの完全な近接型の者たち比べると弱くはある、あるのだが、同じく遠距離型であるクロン相手であれば魔人といえども渡り合える程度の腕前はあるのだ。
「厄介だけど、君が近接攻撃するのは向こうの…シェリィだっけ?あの子をかばってるからでしょ」
「!?」
イリスの眉がわずかに動く。
「あはは!図星って感じ?そうだよねぇ~生きるか死ぬかの戦いの最中に見た目に惑わされて攻撃をちゅうちょするような半端者はサポートしてあげないとすぐに死んじゃうねぇ~…えっ?」
醜く歪んだ笑顔をしていたクロンの顔が驚愕に変わる。
己の背後から心臓を貫いた光の矢を見る。そしてその矢を放った人物を。
「…なんで…君は躊躇していたはず」
「…そうですね。確かに最初は恥ずかしながら少し動揺してしまったかも…」
聖霊力で作られた光の矢を放ったシェリィの目には一切の迷いは無かった。先ほどまでの瞳の揺らぎが嘘のように。
「あ…あはは、騙してたってわけ?人は…見た目によらないなぁああ…」
チリとなって消え去るクロンにイリスは深いため息をついた。
「本当に物を知らない魔人ね。私たちは侯爵家の令嬢よ?下手に感情を出さないようにする訓練ぐらいしてるわよ」
「お義姉様のようにまだうまくできてないですけどね…」
「そんなことないわ。シェリィは十分社交界で通じるレベルよ?」
「本当ですか!お義姉様に褒められると嬉しいです!」
魔人クロンの見立ては確かに悪くは無かった。
視覚の発達している人間が見た目に惑わされやすいのは間違ってはいないだろう。
ただ、そんな小細工に惑わされるようなレベルの物が魔王討伐などに選ばれるわけがない…そんな簡単なことに気が付かなかっただけである。
ちなみにシェリィが初見で動揺したのは事実だが、それ以降はすべて演技であり、イリスの眉の動きは動揺ではなくシェリィへの発射合図であった。
魔人クロンの最大の敗因はたったの3ヶ月で人間を知った気になったこと、それだけのことである。
魔人クロンはイリスの感情が読めずに困惑していた。
彼女はクロンとの戦いが始まってからまるで人形のように顔から一切の感情が消えていたのだ。
対してシェリィはいまだ躊躇は見られる。
思ったよりもイリスに見た目の効果が発揮されないことにイラ立ちを覚え始めた。
「(向こうの女の子はまだいい。それよりもこの女は何なんだよ!魔法使いの癖になんで近接戦闘してるんだよ!?)」
イリスに与えられた神器は杖であったが、神器とは思えないほどシンプルなデザインであった。
銀に輝き細かい意匠が見事ではあるが全体的な形は杖というより棒に近く、杖でありながら棒術にも対応した遠近両用の神器である。
元々イリスという少女は見た目のせいで誤解されがちだが、武道の腕前もかなりのものである。
もちろん最も得なのは魔法であるし、ディートたちの完全な近接型の者たち比べると弱くはある、あるのだが、同じく遠距離型であるクロン相手であれば魔人といえども渡り合える程度の腕前はあるのだ。
「厄介だけど、君が近接攻撃するのは向こうの…シェリィだっけ?あの子をかばってるからでしょ」
「!?」
イリスの眉がわずかに動く。
「あはは!図星って感じ?そうだよねぇ~生きるか死ぬかの戦いの最中に見た目に惑わされて攻撃をちゅうちょするような半端者はサポートしてあげないとすぐに死んじゃうねぇ~…えっ?」
醜く歪んだ笑顔をしていたクロンの顔が驚愕に変わる。
己の背後から心臓を貫いた光の矢を見る。そしてその矢を放った人物を。
「…なんで…君は躊躇していたはず」
「…そうですね。確かに最初は恥ずかしながら少し動揺してしまったかも…」
聖霊力で作られた光の矢を放ったシェリィの目には一切の迷いは無かった。先ほどまでの瞳の揺らぎが嘘のように。
「あ…あはは、騙してたってわけ?人は…見た目によらないなぁああ…」
チリとなって消え去るクロンにイリスは深いため息をついた。
「本当に物を知らない魔人ね。私たちは侯爵家の令嬢よ?下手に感情を出さないようにする訓練ぐらいしてるわよ」
「お義姉様のようにまだうまくできてないですけどね…」
「そんなことないわ。シェリィは十分社交界で通じるレベルよ?」
「本当ですか!お義姉様に褒められると嬉しいです!」
魔人クロンの見立ては確かに悪くは無かった。
視覚の発達している人間が見た目に惑わされやすいのは間違ってはいないだろう。
ただ、そんな小細工に惑わされるようなレベルの物が魔王討伐などに選ばれるわけがない…そんな簡単なことに気が付かなかっただけである。
ちなみにシェリィが初見で動揺したのは事実だが、それ以降はすべて演技であり、イリスの眉の動きは動揺ではなくシェリィへの発射合図であった。
魔人クロンの最大の敗因はたったの3ヶ月で人間を知った気になったこと、それだけのことである。
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