剣士くんを追放するだって!?ダメに決まってるでしょう!?

ゆるぽ

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剣士くんを追放するだって!?ダメに決まってるでしょう!?

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ここはとある宿屋に併設されている酒場の個室である。

中では同じパーティの3人が食事をしていた。



「剣士!お前は戦いではサポートだけで普段も雑用しかできないお荷物だ。よって俺の勇者パーティから追放する!」




突然勇者が剣士に追放を告げた。



「勇者に賛成ね。そもそも聖女のわたしと勇者と賢者の3人がいれば十分。ただの剣士なんていらないわ」




勇者に同意する聖女。

このまま剣士は追放されてしまうのか?

そんな時、勢いよく扉が開かれた。




「剣士くんを追放するだって!?ダメに決まってるでしょう!?」




遅れてやってきた賢者が眉を吊り上げながら入ってきた。

だがどう見ても怒り心頭だ。



「な、なにを言うか!このパーティのリーダーである俺が追放するって言ってるんだ!いくら賢者だからってリーダーの決定を…」



「はあ?このパーティのリーダーは私ですよ!馬鹿言わないでください勇者くん!」



「「「え?そうなの!?」」」



賢者の言葉に剣士、聖女、勇者3人の声がはもる。初耳だったからだ。

そんな彼らの様子にあきれて怒りが消えてしまった賢者が説明する。

そもそもこの勇者パーティというのは1つだけではなく王命で魔王を倒す複数作られたものの1つにすぎない。



前提として勇者パーティは伝説に沿い勇者、聖女、賢者の3人が絶対に必要になる。

その為まず王は賢者となりえる可能性を持ったを集め彼らにそれぞれ勇者パーティを結成するように命じたのだった。




「そういう経緯ですので、パーティの責任者であるリーダーは賢者わたしということになるのです」



いつの間にか席に着いた賢者は説明する



「ちなみにパーティメンバーについては国に報告と登録をして王に承認してもらうという形なので、特別な理由がない限り追放は脱退などをすれば王命に反したことと同じような扱いになります」


「た、確かにリーダーはお前のようだが、剣士を追放する理由は十分だろ?役立たずなんだから!」



とにかく剣士を追い出したい勇者が叫ぶが賢者は深いため息をつくだけだった。



「わたしも勇者の意見に同意しているのだけれど、その様子だと賢者は剣士かれを役立たずだとは思っていないってことよね?理由を聞いてもいいかしら?」



聖女が賢者に尋ねる。彼女も剣士追放はではあるものの勇者ほど考えなしというわけでは無かったようだ。




「剣士くんよりはましですが聖女くんもわかっていないのは少々残念ですよ。仕方がないですね…」





そういって賢者は剣士の役割について説明し始めた。



賢者曰く、剣士はパーティ全体をサポートする重要な役割なのだという。

基本的に勇者パーティの勇者、聖女、賢者はある一定の条件をクリアしたものが候補となる。

勇者は光魔法を使う剣士、聖女は神聖魔法を扱える乙女、賢者は古代魔法を扱えるものという条件だ。



逆に言ってしまえば条件さえ満たしていればほかの要素は無視されてしまう。


そのため場合によっては能力値が偏ったパーティが出来てしまう可能性があるのだ。




「魔王復活の影響で日に日にモンスターが増えているせいでパーティメンバーの選定に時間をあまりかけることが出来ませんでした」




本来ならそれぞれの候補者たちの能力を見極めて最適なバランスのパーティを作らなければならなかったが、時間が許してくれなかった。


その為賢者は多少バランスが崩れていたとしても対応できるようにサポートの得意な剣士をメンバーに迎え入れたのだ。



賢者アンタが剣士を入れた理由は分かったけどよ。結局は役立たずなんだから追放を否定される理由にはならねえよ」


「せっかちですね。これからが本題です。そもそも剣士くんが役立たずという前提がおかしいんですよ」



剣士の仕事は戦闘においては前衛で勇者のサポート、それ以外では賢者のサポートとして雑用などを受け持っている。




「勇者くん確かに君は強いですが、もし取りこぼしが出たときはどうするんですか?後衛の私や聖女くんでは近くにいる敵にすぐに対応できないんですよ?」


「そ、それは俺が取りこぼさなければいいだけだ!」


「実際すでに何度か取りこぼしたことがある人が言っても説得力はないですよ」




勇者の苦しい反論を容赦なく切り伏せる賢者。

そうこの勇者すでに何度か取りこぼしたことがあったのだ。




「まったく剣士くんがいなければ私か聖女くんのどちらかが殺されていた可能性だって十分あるんですよ?」



くどくど



「それに日常的な雑用だって君たちが全然やってない備品の調達や宿の確保など旅をするにあたって無くてはならない重要なことばかりなんですよ?」



くどくどくど



だんだんと説教になってきている賢者。




「そ、そうね。賢者の言う通りだわ。私たちが間違っていたわ。ごめんなさい剣士」


「えっと、わかっていただけたのなら僕はなにも…」


「ちなみに聖女くんのサポートもしてましてね!」




長くなりそうな流れを止めるために、剣士に謝罪する聖女。

その謝罪を剣士が受け入れようとしたが、賢者の言葉でキャンセルされる。

説教をやめる気はない!



「聖女くんの主な仕事は後衛での回復魔法や強化魔法の使用とアンデットなどの敵に対しての浄化攻撃などが主ですが、戦闘後だと魔力が尽きていることもありますよね?」


「え、ええ。そうね…」


「君の魔力が尽きたときに回復魔法を使ってくれているのは剣士くんなのはしっていましたか?」


「え!?」



賢者も勇者も回復魔法が使えないため彼女がダウンしていると回復薬以外での回復が出来なくなってしまう。

さらに回復薬が尽きてしまえば万事休すだ。

そんなときのために回復魔法の使える剣士を選んだのだった。



「その様子だと全部回復薬で治していると思っていましたね…おや?」



さらに説教を続けようとした賢者だがふと時計が目に入った。

今日は戦いが長引いた影響で食事の時間もいつもよりかなり遅くなっていたのだ。



「もうこんな時間ですか」


「(やった!説教から解放されるぜ!)」


「剣士くんはもう部屋でおやすみなさい。私はこの二人にしっかりと教えておかなければならないことがありますので」



にっこりと良い笑顔でそういうと、半ば無理やり剣士を部屋に向かわせた賢者。

そのままの笑顔で残された勇者と聖女に向き直る。



「さて、君たち二人にはこの度の重要性からじっくりしっかり教える必要がありますね。ふふふ、今夜は眠らせませんよ」



笑顔のままなのに圧力がすごい。

これは思っていた以上に怒っているのだと気が付き2人は震え上がる。



「ではまず、剣士くんが初心者サポート専門のギルドのメンバーなのはご存じですか?彼はギルドの中でも数多くの初心者を導いた実績のある人であのSランク冒険者・剛炎のエヴァンスの師匠ともいえる存在だったりとかなりすごい人なんです。だから一時的にとは言え彼を借りるために私がどれだけ苦労したと思ってるんですか?払った金貨は300枚で何日ギルドマスターに頭を下げてようやく…」







その夜一晩中勇者と聖女の声なき悲鳴が響いたとか響かなかったとか。















翌朝




「ワタシハ愚かな勇者でしタ。心を入れ替えタのでどうか剣士サンこれからもヨロシクオネガイシマス…」


「ワタシハ愚かな聖女でしタ。心を入れ替えタのでどうか剣士サンこれからもヨロシクオネガイシマス…」




剣士の前にげっそりとやつれ目に濃いクマを作った勇者と聖女が現れた。

謝罪する彼らは昨日とは別人のようだ。

そして以前のような彼らに戻ることは2度とないだろう。





「やあ剣士くん!2人には昨日しっかりと教えてあげたからもう追放なんて馬鹿なことは言わないよ。良かったね!」


「え?あ、ハイ…」





賢者だけは敵に回さないようにしよう。そう思った剣士だった。
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