花蕾みの頃 俺と僕

光輔

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開花

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僕の勢力が増し、

俺との同化が進んだ。

ケンタくんとの事が、

助長させた事実は否めない。

俺は思い出した。

俺が初めて憧れた人。

トモくんを。

実は、

ケンタくんと同学年別クラスのトモくんは、

ちょっと悪い感じになっていた。

いわば近づき難い存在だ。

髪を伸ばして、

眉を細工。

体はスリムになり、

憧れからは遠ざかっている。

俺は確かめたかった。

あの時の昂りは本気?

そして今はどう変化した?

僕のおかげで、

あの時の俺とは違う俺は、

トモくんを試そうとした。

「先輩、覚えてますか?よく遊んでもらいました。ヒロは元気ですか?」

トモくんの弟ヒロは、

当時同級生だったが、

入学直前に引っ越しによる校区変更で違う学校へ。

トモくんは、

引っ越す前に既に進級していたので俺と同じ学校だ。

「元気だぜ、よくプロレスごっこしたな!お前はまだ小せえなぁ」

「先輩は昔からデカすぎなんすよ!」

「お前は、まだまだ女子みたいだぞ!生えてんのか?笑」

「俺ももう一人前すよ!色々と!笑」

「ふーん、そうか。今週遊びに来いよ。今は俺専用の部屋もあるし、ヒロも会いたがってだからな。」

「いいんすか?またかくれんぼしますか?笑」

「もっといい遊び教えてやるよ!じゃあ土曜日夕方な」

「はい!」

トモくんの口ぶりから、

俺を目覚めさせたあの事は、

忘れていないと確信した。

俺はそれだけで、

昂りが止まらなかった。

土曜日夕方。

トモくんの家に行った。

相変わらず両親は共働き。

ヒロにも会えるはずが、

部活が延長してまだ帰ってない。

好都合だ。

「先輩、あの頃みたくトモくんって呼んでもいいすか?学校じゃないし…」

「いいぜ」

トモくんは新しい家の中を案内したり、

ゲームや服、雑誌など、

俺より少し上の情報をくれた。

そして、

「かくれんぼするか?それともプロレスか?」

迷った。

どっちがトモくんを試せるか、

どっちがトモくんを感じれるか。

「プロレス」

流石に2人でかくれんぼはない。

2人で隠れるわけじゃないし。

「じゃあ脱げ!パンツ一丁な!」

「えっ!?恥ずかしいよ」

「レスラーみんなパンツだろ!嫌か?俺は先輩…」

「わかりました!」

ここでも部活ノリだ。


ボクサブリーフ一丁の2人。

僕はトモくんの一部しか、

眼中にない。

あの時と同じように、

俺は技を試される一方、

何の技かよくわからない時、

トモくんの一部が眼前に来た。

技を食らっているフリをして、

僕は思いっきり鼻から息をした。

「お前、匂い嗅いだろ」

「嗅いでないすよ!苦しかったから呼吸荒くなっただけ」

「ふーん、それなら、次の技」

トモくんは思いっきり押し付けてきた。

本気で息が止まるかと思ったが、

左右に動かしたので、

息はできる。

あれ?バレた?

トモくんはあの昂りが始まっている。

左右に動かすたびに、

わかりやすく、

熱を持つ。

「トモくん、ヤバいよ」

「何が?俺は気分いいぜ」

左右から上下、

円を描くようなそんな動きまで。

遂に先端が飛び出て、

鼻に当たる。

「トモくん!出てるし!」

「何も言うな、そのまま…いいか?」

やっぱりそうだった。

「先輩命令なら…」

「初めてじゃないよな?」

「初めてですよ」

嘘をついた。

「俺な昔かくれんぼした時も、プロレスした時も、したかったんだ」

「僕も…」

答えるや否や、

トモくんは上に乗ってきた。

そして布越しにお互いを重ね合わせ、

さっきと同じ動きをしてる。

「トモくん、直接でもいいんだよ」

「いいのか?」

「明るいところは恥ずかしいから、あの時みたく押入れで…」

俺を抱き抱え、薄暗がりへ行く。

あとは、

トモくんにされるがまま。

押入れに積まれた布団の上で、

若い汗にまみれた。

俺はトモくんの昂りを、

覚えたての口で含み、

終わりの時まで離さなかった。

蒸し暑さと息苦しさの中に、

僕は求められてる嬉しさと、

念願を達成した絶頂にいた。

トモくんの息が一瞬詰まると、

小刻みに体を動かし、

完了した。

俺はトモくんに抱きしめられ、

昂り半ばを、

感じ続けながら頂点に。

「ヤバかったな」

「嬉しかったです」

本心だった。

2人でシャワーを浴びている間、

俺はトモくんを観察した。

薄暗がりでよく見えなかった、

トモくんのヤツは、

僕を再び盛り上げた。

今度は煌々とした明かりの中、

僕は再びトモくんを離さなかった。

多分トモくんとは最後になると、

僕は知っていたから。

次作に続く。
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