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2章:上限突破
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稜線にかかる太陽が、急速にその向こう側へと落ちようとしていた。
吹く風も徐々に涼しくなっているが、私の目の前で膝を折って挨拶をしている男の恰好も涼しげで、私とは対称的だ。
正直、この暑苦しい衣装を何とかしたい。
召喚体としてルーリアに召喚された時と比べて、私の格好が何か変わったかと言えば…。
白い上着の丈が足首辺りまで長くなって、白い靴は白くて丈が短めのブーツになったので、さらに動きにくくなった。
暑がりな私にとっては、この先結構な地獄になることが予想できる。
「…寒くない?上着貸そうか?」
「…は?」
確か、ルーリアの仲間だったときのドーマンは、革のベストの下に厚手の長袖シャツを着ていた。腰回りにも防具を履いていたから、涼しげな印象はなかったけど。
今は、半袖のシャツと膝丈の短いパンツとサンダルを履いている。
「ここ寒いでしょ?正直この服暑くてさ」
「…召喚術師殿の服を俺が着れるとは思わないんだが…」
「それもそうだね」
衣装を脱ぐ機会を逸したので、仕方なく着直す。
「じゃあ、ごめん。ちょっと待ってて。他の人も召喚するから」
ドーマンは頷き、立ち上がって少し下がった。
正直、私もあれくらいラクな恰好がしたい。衣装交換してくれないかな。
「召喚!」
残り2人は私のほうでも初対面だったので、さっさと召喚した。
「ラ…ラーデルです!ラーデルと言います!トルマン・グリス連盟で、おおお主にまままち…町の、ぼ、ぼぼうえ…」
「落ち着け」
「すすすすみません!あの、俺、ぼく、わっ、わたしがっ!よ、よばれるっこ、ことななな…」
「連盟に所属していれば、その可能性はあっただろ。すまない、召喚術師殿。この男はおそらくトルマン・グリス連盟に参加する町のどこかで防衛に携わっていた兵士だ」
「そうだね。そう書いてある」
「恐縮です!」
ラーデルは25歳らしいが、身振り手振りが大きく年齢より若く見える気がする。
革鎧を全身着込んでいるから、仕事中だったのかな?
カードになった時点の記憶なのか、有効化した時点での記憶なのか分からないけど、勤務中に召喚されたのだとしたら、どういう扱いになるんだろう。
退職するのかな?
「私はティセルです。ロンバー・ダルキア王国で旅商人をしています。その…私も戸惑っています。召喚されるのは戦士だと聞いていたので…」
「ロンバー・ダルキアでは、どういう扱いなんだ?商人に召喚登録する資格があるのか?」
「戦う能力があれば資格はありますが、私は自分の身を護るくらいが精一杯です。兄や弟は兵士として徴集されたこともあるのですが、私は筋肉が付かず、すぐに追い出されまして…」
「召喚術師殿。他に仲間はいないのか?」
ドーマンが渋い顔をしているが、数値上は3人とも大差ない。
ドーマンは大工。ラーデルは裁縫。ティセルは商売。戦闘とは直接関係のないスキルも持っている。
けど別に、いいんじゃないかな。
私はランクもレベルも最低値なわけだし。
「今のところは、あなた達だけだね。他にもう1人いるけど、今は呼べないんだ。あなた達が、召喚術師としての私の最初の仲間になる」
「こ、光栄です!!」
「俺も退役してるし、俺達3人だけで仕事ができるかどうか…」
「ん?私も仕事するよ」
「召喚術師殿は安全な所にいてもらわないと困る」
「戦わなくていい仕事もあるんじゃないかな。…案内人」
呼ぶと、召喚箱のまま待機していた案内人は、白い獣に変わった。
「ボクの名前はシロだよ。なにか聞きたいことある?」
「わああああ!まままままものおっ!?」
「おい!へっぽこ兵!逃げるな!」
「…もしかして…噂に聞く幻獣ですか…?素晴らしい毛並みですね…汚れも無く綺麗に梳いてある…紅色の模様も素晴らしい。刈って布地にすれば、どれほどの価値が…」
「お前も皮算用とはたくましいな。幻獣の怒りを買ったらどうする!?」
「シロの毛ってハサミで刈れるの?」
「なんで召喚術師殿もノッてんだよ!幻獣本人に聞くな!」
「高く売れるなら、この先ラクじゃない?」
「ボクは幻獣だから、アイテムのドロップはしないよ」
「しゃしゃしゃしゃべっ」
「残念」
色んな形状に変化するから、毛刈りできる期待はしていなかったけれど。
「…召喚術師殿も呑気だな…。こんな高山地帯から始まる旅もそう無いと思うが、アテはあるのか?」
「拠点があるんじゃなかったかな。シロ。拠点はここで出せる?」
日は既に山に隠され、夕暮れの空が広がっている。
彼らのためにも、草も生えない岩肌広がる地面の上でで夜を明かすことは避けたほうがいいだろう。
「出せるよ。じゃあ『拠点』になるね」
予想はしていたけれど、案内人は拠点にもなるらしい。
拠点にもなれるなら、もう何でもなれるんじゃない?巨大兵器でも宇宙船でも。
「きょ…拠点?!そんなバカでかいもん、こんな所に建てる気か!?」
「拠点は一度造ったら建て直すのは大変だと思いますよ。少し考え直したほうが良いのでは…」
「ままままもののきょて」
「いい加減うるせぇよ!静かにしろ!」
ドーマンがラーデルを怒鳴っている間に、獣の姿は周囲に溶けた。
消えると同時に、空中に小屋が現れる。丸太で組まれた簡単な造りの小屋だ。そのまま岩の上に落ちて、底が斜めに大きく傾いた。
「…拠点?」
「…こんな、一瞬で…」
「嘘だろ…拠点も召喚できるのか…?」
「す…すごいですね…」
ルーリアの拠点は動ける集落という感じだったから、そういうのを想像していたんだけど、小さな小屋ひとつだとは思っていなかった。
けど、3人は驚いたらしい。
「シロ。角度が斜めすぎて、家具が使えないよ」
私が近付くと扉は開いたが、室内にある机も椅子も脚が床に貼りついた状態で斜めになっている。
指摘すると、一旦扉が閉まった。
やがて、底の部分に金属を輪状にした物質が現れた。それはゆっくりとぐるぐる回り始め、先端が地面と擦れると、じゃりじゃり音を立てながら小屋は進み出す。
岩から降りて地面に対して垂直になったところで、小屋は動きを止めた。
…この装置、なんて言うんだっけ。
クローラ?
「まぁ使えそうだけど…1人用だな。4人は狭い」
小屋の中は1室しかなかった。
机と椅子。壁に棚が少しと床に箱が3箱。それ以外の家具は何もない。
「シロ。これより拠点ってでかくなる?」
「『拠点』は、召喚術師の『世界ランク』が高いと大きくなるけど、ほかにもパルやシェルやポイントを使って大きくできるよ。でも、今は、ヴィータの『幻力』をつかうしかないね。『拠点』の『累積幻力』がふえれば、『拠点』も大きくできるし、うごかしたりできるようになるよ」
室内に入ると、案内人の声が聞こえてきた。室外にいると聞こえない仕組みらしい。
「幻力…。魔力みたいなものかな?この星だとどれくらいあるだろう。…どこに向かって消費すればいい?」
「ここにためてね」
案内人がそう言うと、机の上に楕円型の銀色の物体が現れた。
アケイドトルアが持っていた物体よりだいぶ小さく、私の手の平に載る程度の大きさだ。
これの事を彼女は『案内用幻獣』と言っていたし、私の力に応じて姿を変えると言っていた気がする。その力のことを『幻力』と言っていた気もする。
幻力が何ものなのかわからないけど、魔力を貯める方法は知っていた。
銀色の球を左手で持って、右手をその表面に当てる。
ゆっくりと波紋状に熱が広がるような感覚で、その球を温めるような気持ちで、魔力を沁み込ませるのが良い。急いでいるからと言って力任せに叩きつけたり、蛇口を全開にして放出したりすれば、受け止める側には大きな衝撃となる。つまり、壊れる。
仄かに紫色の光を帯びた楕円の球は、私が右手を離すと弱い銀色の光を放った。それもすぐに落ち着きを取り戻し、表面がつるつるしているだけの球になる。
「…幻力は貯まった?」
「…」
今までは、声をかければすぐに返事をしていた案内人だったが、初めて私の問いに答えを返さなかった。
「やっぱり魔力だとダメだったかぁ…」
幻力が何を根源としているのか、一度確認しないと何もできないな。
そう思っていたら、天井から「ぴこーん」と音がした。
「…『幻獣レベル』が上がったよ。『幻獣レベル』は26になったよ。『幻獣スキル』を2つ覚えたよ」
「ん?何?」
「ヴィータのレベルが上がったよ。ヴィータのレベルは8になったよ。レベルが10になったら『スキル』を1つ覚えるよ。がんばってね」
「ん?魔力貯めただけでレベル上がった?」
「『拠点の累積幻力』は、28500だよ。『貯蔵幻力』は、14250だよ。『貯蔵幻力』は使うと減るから気を付けてね」
「んー…累積幻力と貯蔵幻力の違いは?」
「『累積幻力』は、今までに『拠点』に貯められた幻力の総数だよ。『累積幻力』は、幻獣の成長に使われた幻力もふくまれるよ。拠点に貯められた幻力は、拠点の成長と幻獣の成長に使われるんだ。自動的に等分されるから、召喚術師が割り振る必要はないよ」
「へぇ…」
少し前までたどたどしさもあった案内人の喋り方は、はきはきとした発音に変わっている。
声も何となく、少し大人びた…気がした。幼児が年齢若めの少年になった、くらいだけど。
「『貯蔵幻力』は、拠点の成長や施設の利用のために使われるよ。『拠点レベル』は『幻獣レベル』の半分までしか上げる事ができないけど、召喚術師の『世界ランク』と同じレベルまでは何もしなくても自動的に上がるよ」
「とりあえず、私以外にあと3人が寝れる大きさの家が必要かな」
「家はどのくらいの大きさにする?」
「家の間取りとか…よくわからないんだよね。4人が生活できるくらいの広さの家で」
「消費する幻力は100だよ。拠点を変更していい?」
「よろしく」
私が頷くと、一瞬の後に全方向の壁が遠ざかった。
4人入ると窮屈そうな小さな部屋が、20人くらい寝転がれそうな広さになる。
だが、ただ広がっただけだ。
部屋の中心に机と椅子、棚と収納箱が3箱あるのは変わらず、丸太で組まれた壁と屋根、木張りの床が拡張された。
「寝台くらいはあったほうがいいかな…。岩の上で寝るよりはマシだろうけど」
「『拠点』の施設や家具を購入する?ヴィータの資産は、『宝石硬貨』が0パル。『星内貨幣』が0シェル。『寄付ポイント』が0ポイント。『ログインポイント』が1ポイント。『通常ポイント』が0ポイント。『貯蔵幻力』が14150だよ」
「ん?貯蔵幻力で何か買えるの?」
「『貯蔵幻力』は神に奉納することが出来るよ。『課金召喚【祈】』をするための『寄付ポイント』をもらうことが出来るから、『寄付ポイント』を使って買い物もできるよ。『寄付ポイント』を使った買い物は、神殿で出来るよ。幻獣と神殿はいつでも場所を共有できるんだ。だから、ボクを通して神殿から物を運ぶことができるよ」
「へぇ…便利だね」
でも、神殿で何を買うんだろ。
神殿って、何か物を売ってる場所だっけ?
「神殿では何が買えるの?」
「神殿で余っているものや要らないものを買うことが出来るよ。召喚術師の『世界ランク』が高いと、価値が高い物を売ってくれるらしいよ」
「私の世界ランクは1かな?」
「ヴィータの『世界ランク』は1だよ。『レベル』は8だよ。『幻獣レベル』は26だよ。『拠点レベル』は1だよ。『累積幻力』は28500だよ。『術力』は1050000だよ。『攻撃力』は測定無しだよ。『防御力』は10000だよ。『回復力』は10000だよ。『生命力』は21――」
「ちょっと待って。『術力』って何だっけ?」
いきなり桁が違う数字が出てきた上に、今まで説明されていない名称が出てきた気がする。
「『術力』は『術』を使うための能力だよ。いろんな『術』があって、使う人の『属性』が合っていれば使えるんだ。『属性値』の説明もする?」
「あぁ~…属性が10種類と、上位2種類だっけ。12種類の属性力だよね。そっちは予想できるから今はいいかな」
ざっくりとした説明だったけど、『術力』は魔力ということなんだろう。
私の場合は、生まれつき魔力を持っているから、その量が数値として出ているということだと思う。
この星だと『幻力』と『術力』が分けられているけど、源は一緒じゃないかな。
それか、この星の中では別の力扱いだけど、外から来た私は『魔力』しか持ってないから、出力元が同じ扱いなのかも。
累積幻力も術力も高いのは、そういうことなんだろう。多分。
実は術力だけ他と比べて数字の桁がおかしくて、100万あるのは一般的。なのかもしれないけど。
「とりあえず、3人を呼んでくるよ」
この星で何が必要なのかは、現地民である彼らのほうがよくわかっているだろう。
一回りくらい大きくなった出入り口の扉から外を見ると、3人はこちらを遠巻きに見ていた。
「全員中に入れそうだよ」
扉の外に3段ほどの木製の階段が出来ていて、そこを降りると地面になっている。小屋が移動するための輪状の金属は床下には無く、代わりに小屋を支えるための短い支柱が6本ほどついていた。
「いきなり小屋がでかくなったんだが」
「こ、この力が貴方の力と聞きました!」
すぐに近付いて来たのはドーマンとラーデルだ。しばらく小屋を眺めていたティセルは、10秒ほど後に視線を下ろして私を見る。
「…2階もありますね。少し常識外というか…」
「これが拠点なのか?」
確かに、拠点というには小さい。中には物資も設備もないんだから、空っぽの物置というほうが近い。
「私もよくわからないんだけど、案内人が拠点だって言うんだから、拠点だと思うよ」
「いや、俺も分からねぇんだがな。よく聞く召喚術師の拠点ってのは、土台があってその上に建てるものらしい。召喚術師の家は召喚術師の力で建てるらしいから…まぁ、コレがそうだ、ってのは…分かる、んだが」
「僕も召喚術師の拠点を見たことはありますが、確かに土台があるんですよ。ちょっとした村のような造りなんです。…家が…1棟だけで自走したりも、しませんし…」
土台の上に建物が建っている拠点は、私も見たことがある。
ルーリアの拠点だ。
「ん~…土台が無いのは、私の世界ランクが低いからじゃない?それより、もう夜だし中に入りなよ」
促すと、3人は慎重に玄関の扉をくぐって中に入った。
そして、全員が微妙そうな表情になる。
「ご主人様。この家はテーブルセットだけ?」
「名乗ってなかったっけ。ヴィータだよ、ラーデル」
「文句言うな。外よりマシだろ。寒くもないしな」
ドーマンに言われて、ラーデルは頷いた。
あぁ、やっぱり寒かったんだ。
平気そうな顔をしていたから、夏服が適温なのかと思ってた。
「私は商売用の背嚢を持ってますから、常備している旅食はあるのですが、ヴィータ様は何かお持ちですか?」
背負っていた大きめのリュックを床に降ろし、ティセルは紐を解いて中を確認している。
「そういや…俺も商売道具は持ってるな。最低限だが」
ドーマンのベルトに付いているポケットから、いくつか柄が見えていた。大工用の道具なんだろう。
「俺も…俺の商売道具って何だろ?…あ、槍!槍は背負ってます!」
背負う必要のないくらい短めの槍を留めていたベルトを外し、ラーデルはその柄を握った。
「食料は持ってねぇ。多分…村に居たからだな」
「俺も無いです…あ!アメはありました!マリネおばさんがいつもくれるんです」
「そっか。食料問題はあるよね」
食料なら、神殿で売っているかもしれない。
この星の神殿が農作物を栽培してるなら、だけど。
「とりあえず、みんなに相談なんだけど」
自分の持ちものチェックをしている3人に、私は声をかける。
「今、必要なものって。何だと思う?」
吹く風も徐々に涼しくなっているが、私の目の前で膝を折って挨拶をしている男の恰好も涼しげで、私とは対称的だ。
正直、この暑苦しい衣装を何とかしたい。
召喚体としてルーリアに召喚された時と比べて、私の格好が何か変わったかと言えば…。
白い上着の丈が足首辺りまで長くなって、白い靴は白くて丈が短めのブーツになったので、さらに動きにくくなった。
暑がりな私にとっては、この先結構な地獄になることが予想できる。
「…寒くない?上着貸そうか?」
「…は?」
確か、ルーリアの仲間だったときのドーマンは、革のベストの下に厚手の長袖シャツを着ていた。腰回りにも防具を履いていたから、涼しげな印象はなかったけど。
今は、半袖のシャツと膝丈の短いパンツとサンダルを履いている。
「ここ寒いでしょ?正直この服暑くてさ」
「…召喚術師殿の服を俺が着れるとは思わないんだが…」
「それもそうだね」
衣装を脱ぐ機会を逸したので、仕方なく着直す。
「じゃあ、ごめん。ちょっと待ってて。他の人も召喚するから」
ドーマンは頷き、立ち上がって少し下がった。
正直、私もあれくらいラクな恰好がしたい。衣装交換してくれないかな。
「召喚!」
残り2人は私のほうでも初対面だったので、さっさと召喚した。
「ラ…ラーデルです!ラーデルと言います!トルマン・グリス連盟で、おおお主にまままち…町の、ぼ、ぼぼうえ…」
「落ち着け」
「すすすすみません!あの、俺、ぼく、わっ、わたしがっ!よ、よばれるっこ、ことななな…」
「連盟に所属していれば、その可能性はあっただろ。すまない、召喚術師殿。この男はおそらくトルマン・グリス連盟に参加する町のどこかで防衛に携わっていた兵士だ」
「そうだね。そう書いてある」
「恐縮です!」
ラーデルは25歳らしいが、身振り手振りが大きく年齢より若く見える気がする。
革鎧を全身着込んでいるから、仕事中だったのかな?
カードになった時点の記憶なのか、有効化した時点での記憶なのか分からないけど、勤務中に召喚されたのだとしたら、どういう扱いになるんだろう。
退職するのかな?
「私はティセルです。ロンバー・ダルキア王国で旅商人をしています。その…私も戸惑っています。召喚されるのは戦士だと聞いていたので…」
「ロンバー・ダルキアでは、どういう扱いなんだ?商人に召喚登録する資格があるのか?」
「戦う能力があれば資格はありますが、私は自分の身を護るくらいが精一杯です。兄や弟は兵士として徴集されたこともあるのですが、私は筋肉が付かず、すぐに追い出されまして…」
「召喚術師殿。他に仲間はいないのか?」
ドーマンが渋い顔をしているが、数値上は3人とも大差ない。
ドーマンは大工。ラーデルは裁縫。ティセルは商売。戦闘とは直接関係のないスキルも持っている。
けど別に、いいんじゃないかな。
私はランクもレベルも最低値なわけだし。
「今のところは、あなた達だけだね。他にもう1人いるけど、今は呼べないんだ。あなた達が、召喚術師としての私の最初の仲間になる」
「こ、光栄です!!」
「俺も退役してるし、俺達3人だけで仕事ができるかどうか…」
「ん?私も仕事するよ」
「召喚術師殿は安全な所にいてもらわないと困る」
「戦わなくていい仕事もあるんじゃないかな。…案内人」
呼ぶと、召喚箱のまま待機していた案内人は、白い獣に変わった。
「ボクの名前はシロだよ。なにか聞きたいことある?」
「わああああ!まままままものおっ!?」
「おい!へっぽこ兵!逃げるな!」
「…もしかして…噂に聞く幻獣ですか…?素晴らしい毛並みですね…汚れも無く綺麗に梳いてある…紅色の模様も素晴らしい。刈って布地にすれば、どれほどの価値が…」
「お前も皮算用とはたくましいな。幻獣の怒りを買ったらどうする!?」
「シロの毛ってハサミで刈れるの?」
「なんで召喚術師殿もノッてんだよ!幻獣本人に聞くな!」
「高く売れるなら、この先ラクじゃない?」
「ボクは幻獣だから、アイテムのドロップはしないよ」
「しゃしゃしゃしゃべっ」
「残念」
色んな形状に変化するから、毛刈りできる期待はしていなかったけれど。
「…召喚術師殿も呑気だな…。こんな高山地帯から始まる旅もそう無いと思うが、アテはあるのか?」
「拠点があるんじゃなかったかな。シロ。拠点はここで出せる?」
日は既に山に隠され、夕暮れの空が広がっている。
彼らのためにも、草も生えない岩肌広がる地面の上でで夜を明かすことは避けたほうがいいだろう。
「出せるよ。じゃあ『拠点』になるね」
予想はしていたけれど、案内人は拠点にもなるらしい。
拠点にもなれるなら、もう何でもなれるんじゃない?巨大兵器でも宇宙船でも。
「きょ…拠点?!そんなバカでかいもん、こんな所に建てる気か!?」
「拠点は一度造ったら建て直すのは大変だと思いますよ。少し考え直したほうが良いのでは…」
「ままままもののきょて」
「いい加減うるせぇよ!静かにしろ!」
ドーマンがラーデルを怒鳴っている間に、獣の姿は周囲に溶けた。
消えると同時に、空中に小屋が現れる。丸太で組まれた簡単な造りの小屋だ。そのまま岩の上に落ちて、底が斜めに大きく傾いた。
「…拠点?」
「…こんな、一瞬で…」
「嘘だろ…拠点も召喚できるのか…?」
「す…すごいですね…」
ルーリアの拠点は動ける集落という感じだったから、そういうのを想像していたんだけど、小さな小屋ひとつだとは思っていなかった。
けど、3人は驚いたらしい。
「シロ。角度が斜めすぎて、家具が使えないよ」
私が近付くと扉は開いたが、室内にある机も椅子も脚が床に貼りついた状態で斜めになっている。
指摘すると、一旦扉が閉まった。
やがて、底の部分に金属を輪状にした物質が現れた。それはゆっくりとぐるぐる回り始め、先端が地面と擦れると、じゃりじゃり音を立てながら小屋は進み出す。
岩から降りて地面に対して垂直になったところで、小屋は動きを止めた。
…この装置、なんて言うんだっけ。
クローラ?
「まぁ使えそうだけど…1人用だな。4人は狭い」
小屋の中は1室しかなかった。
机と椅子。壁に棚が少しと床に箱が3箱。それ以外の家具は何もない。
「シロ。これより拠点ってでかくなる?」
「『拠点』は、召喚術師の『世界ランク』が高いと大きくなるけど、ほかにもパルやシェルやポイントを使って大きくできるよ。でも、今は、ヴィータの『幻力』をつかうしかないね。『拠点』の『累積幻力』がふえれば、『拠点』も大きくできるし、うごかしたりできるようになるよ」
室内に入ると、案内人の声が聞こえてきた。室外にいると聞こえない仕組みらしい。
「幻力…。魔力みたいなものかな?この星だとどれくらいあるだろう。…どこに向かって消費すればいい?」
「ここにためてね」
案内人がそう言うと、机の上に楕円型の銀色の物体が現れた。
アケイドトルアが持っていた物体よりだいぶ小さく、私の手の平に載る程度の大きさだ。
これの事を彼女は『案内用幻獣』と言っていたし、私の力に応じて姿を変えると言っていた気がする。その力のことを『幻力』と言っていた気もする。
幻力が何ものなのかわからないけど、魔力を貯める方法は知っていた。
銀色の球を左手で持って、右手をその表面に当てる。
ゆっくりと波紋状に熱が広がるような感覚で、その球を温めるような気持ちで、魔力を沁み込ませるのが良い。急いでいるからと言って力任せに叩きつけたり、蛇口を全開にして放出したりすれば、受け止める側には大きな衝撃となる。つまり、壊れる。
仄かに紫色の光を帯びた楕円の球は、私が右手を離すと弱い銀色の光を放った。それもすぐに落ち着きを取り戻し、表面がつるつるしているだけの球になる。
「…幻力は貯まった?」
「…」
今までは、声をかければすぐに返事をしていた案内人だったが、初めて私の問いに答えを返さなかった。
「やっぱり魔力だとダメだったかぁ…」
幻力が何を根源としているのか、一度確認しないと何もできないな。
そう思っていたら、天井から「ぴこーん」と音がした。
「…『幻獣レベル』が上がったよ。『幻獣レベル』は26になったよ。『幻獣スキル』を2つ覚えたよ」
「ん?何?」
「ヴィータのレベルが上がったよ。ヴィータのレベルは8になったよ。レベルが10になったら『スキル』を1つ覚えるよ。がんばってね」
「ん?魔力貯めただけでレベル上がった?」
「『拠点の累積幻力』は、28500だよ。『貯蔵幻力』は、14250だよ。『貯蔵幻力』は使うと減るから気を付けてね」
「んー…累積幻力と貯蔵幻力の違いは?」
「『累積幻力』は、今までに『拠点』に貯められた幻力の総数だよ。『累積幻力』は、幻獣の成長に使われた幻力もふくまれるよ。拠点に貯められた幻力は、拠点の成長と幻獣の成長に使われるんだ。自動的に等分されるから、召喚術師が割り振る必要はないよ」
「へぇ…」
少し前までたどたどしさもあった案内人の喋り方は、はきはきとした発音に変わっている。
声も何となく、少し大人びた…気がした。幼児が年齢若めの少年になった、くらいだけど。
「『貯蔵幻力』は、拠点の成長や施設の利用のために使われるよ。『拠点レベル』は『幻獣レベル』の半分までしか上げる事ができないけど、召喚術師の『世界ランク』と同じレベルまでは何もしなくても自動的に上がるよ」
「とりあえず、私以外にあと3人が寝れる大きさの家が必要かな」
「家はどのくらいの大きさにする?」
「家の間取りとか…よくわからないんだよね。4人が生活できるくらいの広さの家で」
「消費する幻力は100だよ。拠点を変更していい?」
「よろしく」
私が頷くと、一瞬の後に全方向の壁が遠ざかった。
4人入ると窮屈そうな小さな部屋が、20人くらい寝転がれそうな広さになる。
だが、ただ広がっただけだ。
部屋の中心に机と椅子、棚と収納箱が3箱あるのは変わらず、丸太で組まれた壁と屋根、木張りの床が拡張された。
「寝台くらいはあったほうがいいかな…。岩の上で寝るよりはマシだろうけど」
「『拠点』の施設や家具を購入する?ヴィータの資産は、『宝石硬貨』が0パル。『星内貨幣』が0シェル。『寄付ポイント』が0ポイント。『ログインポイント』が1ポイント。『通常ポイント』が0ポイント。『貯蔵幻力』が14150だよ」
「ん?貯蔵幻力で何か買えるの?」
「『貯蔵幻力』は神に奉納することが出来るよ。『課金召喚【祈】』をするための『寄付ポイント』をもらうことが出来るから、『寄付ポイント』を使って買い物もできるよ。『寄付ポイント』を使った買い物は、神殿で出来るよ。幻獣と神殿はいつでも場所を共有できるんだ。だから、ボクを通して神殿から物を運ぶことができるよ」
「へぇ…便利だね」
でも、神殿で何を買うんだろ。
神殿って、何か物を売ってる場所だっけ?
「神殿では何が買えるの?」
「神殿で余っているものや要らないものを買うことが出来るよ。召喚術師の『世界ランク』が高いと、価値が高い物を売ってくれるらしいよ」
「私の世界ランクは1かな?」
「ヴィータの『世界ランク』は1だよ。『レベル』は8だよ。『幻獣レベル』は26だよ。『拠点レベル』は1だよ。『累積幻力』は28500だよ。『術力』は1050000だよ。『攻撃力』は測定無しだよ。『防御力』は10000だよ。『回復力』は10000だよ。『生命力』は21――」
「ちょっと待って。『術力』って何だっけ?」
いきなり桁が違う数字が出てきた上に、今まで説明されていない名称が出てきた気がする。
「『術力』は『術』を使うための能力だよ。いろんな『術』があって、使う人の『属性』が合っていれば使えるんだ。『属性値』の説明もする?」
「あぁ~…属性が10種類と、上位2種類だっけ。12種類の属性力だよね。そっちは予想できるから今はいいかな」
ざっくりとした説明だったけど、『術力』は魔力ということなんだろう。
私の場合は、生まれつき魔力を持っているから、その量が数値として出ているということだと思う。
この星だと『幻力』と『術力』が分けられているけど、源は一緒じゃないかな。
それか、この星の中では別の力扱いだけど、外から来た私は『魔力』しか持ってないから、出力元が同じ扱いなのかも。
累積幻力も術力も高いのは、そういうことなんだろう。多分。
実は術力だけ他と比べて数字の桁がおかしくて、100万あるのは一般的。なのかもしれないけど。
「とりあえず、3人を呼んでくるよ」
この星で何が必要なのかは、現地民である彼らのほうがよくわかっているだろう。
一回りくらい大きくなった出入り口の扉から外を見ると、3人はこちらを遠巻きに見ていた。
「全員中に入れそうだよ」
扉の外に3段ほどの木製の階段が出来ていて、そこを降りると地面になっている。小屋が移動するための輪状の金属は床下には無く、代わりに小屋を支えるための短い支柱が6本ほどついていた。
「いきなり小屋がでかくなったんだが」
「こ、この力が貴方の力と聞きました!」
すぐに近付いて来たのはドーマンとラーデルだ。しばらく小屋を眺めていたティセルは、10秒ほど後に視線を下ろして私を見る。
「…2階もありますね。少し常識外というか…」
「これが拠点なのか?」
確かに、拠点というには小さい。中には物資も設備もないんだから、空っぽの物置というほうが近い。
「私もよくわからないんだけど、案内人が拠点だって言うんだから、拠点だと思うよ」
「いや、俺も分からねぇんだがな。よく聞く召喚術師の拠点ってのは、土台があってその上に建てるものらしい。召喚術師の家は召喚術師の力で建てるらしいから…まぁ、コレがそうだ、ってのは…分かる、んだが」
「僕も召喚術師の拠点を見たことはありますが、確かに土台があるんですよ。ちょっとした村のような造りなんです。…家が…1棟だけで自走したりも、しませんし…」
土台の上に建物が建っている拠点は、私も見たことがある。
ルーリアの拠点だ。
「ん~…土台が無いのは、私の世界ランクが低いからじゃない?それより、もう夜だし中に入りなよ」
促すと、3人は慎重に玄関の扉をくぐって中に入った。
そして、全員が微妙そうな表情になる。
「ご主人様。この家はテーブルセットだけ?」
「名乗ってなかったっけ。ヴィータだよ、ラーデル」
「文句言うな。外よりマシだろ。寒くもないしな」
ドーマンに言われて、ラーデルは頷いた。
あぁ、やっぱり寒かったんだ。
平気そうな顔をしていたから、夏服が適温なのかと思ってた。
「私は商売用の背嚢を持ってますから、常備している旅食はあるのですが、ヴィータ様は何かお持ちですか?」
背負っていた大きめのリュックを床に降ろし、ティセルは紐を解いて中を確認している。
「そういや…俺も商売道具は持ってるな。最低限だが」
ドーマンのベルトに付いているポケットから、いくつか柄が見えていた。大工用の道具なんだろう。
「俺も…俺の商売道具って何だろ?…あ、槍!槍は背負ってます!」
背負う必要のないくらい短めの槍を留めていたベルトを外し、ラーデルはその柄を握った。
「食料は持ってねぇ。多分…村に居たからだな」
「俺も無いです…あ!アメはありました!マリネおばさんがいつもくれるんです」
「そっか。食料問題はあるよね」
食料なら、神殿で売っているかもしれない。
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