ともだちさがして

たかまつ よう

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車椅子できた

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「ああ、ジョセフィーヌさん!」
 大きな瞳に涙をいっぱい貯めて、ソウシチョウのソーシェが走ってきました。
 「よかった、心配しましたヨ。」
 ジョセフィーヌは、改めてソーシェを見て、ああ、美しい小鳥だな、としみじみ思いました。ぱっちりとした目、赤いくちばしに黄色いのど。
「心配かけてごめんね。ぐっすり寝てただけなのよ。」
 ジョセフィーヌは、いとおしそうにソーシェのオリーブ色のあたまを撫でました。

「オヤカタさんが、それはすてきな車椅子を作ってくれましたヨ。はやく見に行こうヨ。」
 いままでは少し遠慮がちだったソーシェは、とても心配し、そしてとても安心したせいか、ジョセフィーヌに甘えるように寄り添って、本当の自分のおばあちゃんに接するようになっていました。
 のたり、どたり。ゆっくりとジョセフィーヌが歩くと、ソーシェもそれに合わせてゆっくり付き添います。もし、ジョセフィーヌがふらついたら、わきのしたにはいって支えよう、そんなことを考えながら、ソーシェはジョセフィーヌの足元を見て歩きました。

「あー!ジョセフィーヌさん!よかった、動いてるネ!!」
  ガビーラの声が響きます。そこにはカヤネズミの親方と、小鳥たち、ほかにもリスの姉妹やクマネズミの若い衆、イタチのおばちゃんたちがガビーラと一緒にいました。
 ジョセフィーヌが起きないので、この陽気な若者はそこらじゅうの里山村の住人達にどうしたいいのか聞いてまわりました。
 にぎやかだけど気のいい、素直なトリさんなんだ、と、小鳥たちが言って回っていたので、ガビーラはこの3日間で知り合いがたくさんできました。
 年取ったヒキガエルは何日も寝ていることがよくあるんだ、と、ガビーラは年寄りイタチに教わったので、ソーシェほど心配はしてませんでした。(…ソーシェはその派手な姿からは想像つかない、恥ずかしがりやさんでしたので、ひとりで心配していました。)

「ああ、無理して歩きなさんな。ほれ、こんなもの作りましたよ。役に立つといいんですが。具合が悪い所があったら、すぐに改良しますからね。」
 カヤネズミの親方が、不思議なかたちの車椅子を押して、走ってきました。それは平べったい空き缶を利用した、台車のようなもので、前に手をかけて寄りかかると、居眠りだってできそうでした。
 「うしろからひとりで押すこともできるし、両側からふたりで押すこともできる。たくさんでひっぱることもできるようにしたよ。この村のものたちが、総出で『でんせつのヒキガエル』を助けられるようにね。」
 ジョセフィーヌの前に横付けされた車椅子は、とても立派なものでした。

「まあ、なんてすばらしいのかしら!本当にものづくりが上手ですねえ!やっぱりハカセさんだわ!」
 ジョセフィーヌとソーシェはため息をつきながらほめました。

「いやいや、そんなのはいいから早く乗ってみて。 」
 カヤネズミはほめられて照れながら、キュッキュと笑いました。
 ジョセフィーヌは、おそるおそる乗り込みました。ソーシェは手早く持ってきたひざ掛けを中に敷いて、ジョセフィーヌの体が痛くならないように、当たりそうな場所を覆ったりしました。
 「あー、なるほど、その場所に柔らかいものがあるといいんだね。」
 カヤネズミはすぐに気づいてメモを取りました。

「乗りましたカ?それではワタシが押しますね!」
 ガビーラははりきって、後ろのハンドルを握り、大きな声でさけびました。

 「しゅっぱーつ!」

 いやいや、その声の大きさに耳をふさがなかったのはジョセフィーヌだけでした。ジョセフィーヌは、目の前についている手すりをぎゅっとつかんでいたのと、かなり耳がとおかったので、その必要がなかったのです。
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