ともだちさがして

たかまつ よう

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アナグマのホルルさん

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「着いたよ、池のほとりだ。」
「あー、着いちゃった。崖はなかったね。」
「でもさ、なんだか楽しかったね。」
 一行は、ハンノキの根元に集まりました。

「よし、じゃ、ワタシがクサノさんを呼んでみまス。聞こえるといいのですが。」
 ガビーラはハンノキのいちばん下の枝に止まりました。
「クサノさああああああん!クサガメの、クサノさああああああん!おともだちの、ジョセフィーヌさんが、あなたに会いに来ましたよおおおお!」
 おおおおぅ…と、こだまが返るなか、みんな、池の方に耳を澄ましました。
 ガサガサ、ガサガサ、藪をかき分ける音がします。
 「あれ、誰か来るよ」
 「クサノさんかな」
 みんなが藪に注目していると、ガサ。にゅうっと、鼻の上が白っぽくて目のまわりが黒っぽい動物が顔を出しました。

「あ、アナグマさんですか。珍しいですね、この時間に。」
 ムササビがあいさつしました。
「おや、ムササビくんじゃないか。君だってこの時間に動いているなんて珍しいや。君もあの声で起きたのかい?いやー、あれだけ大声がひびけば何事かと思って起きるよねえ。…あれえ、よく見たらどしたの、みんなで集まってさ。」
 アナグマはゆっくりとみんなを見渡しました。
 「ふーん?一大事ではなさそうだな?だって、みんな、なんか楽しそうだもんね。」
 ムササビの肩に乗ったソーシェは、恥ずかしそうにアナグマを見ました。
「おやあ。なんて美しい鳥さんがムササビ君の肩に止まっているんだ。これは私もぜひ、仲間に入れてもらわなくちゃあね。」
 アナグマはジョセフィーヌたちに向かってあいさつしました。
 「やあ、みなさんこんにちは。僕は池のほとりに住むアナグマのホルルです。どうです?みなさんにお茶を一杯、差し上げたいのですが。」

「…あの方は、トビーさんのお友達なんですか?」
 ソーシェはムササビの肩で、できるだけ目立たないように首をすくめながらそっと聞きました。
 「ああ、アナグマさんはとても気さくでいい方だよ。心配しないでいいよ。」
 ムササビがそう言うと、ソーシェはやっと肩の力を抜きました。
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