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乗り換え列車 (お題:列車・逸脱・お盆)
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「ホームに列車が参ります。黄色い線の内側まで…」
その日も、私はいつも通り、ホームで電車を待っていた。
いつも通り起きて、いつも通り電車に乗って、いつも通り会社に行く。
そして、いつも通り残業して、いつも通り疲れて帰ってきて、いつも通り、何もせずに寝る。
いつも通り、いつも通りだった。
今日は何回目のいつも通りだろう。
そんなことを考えている内に、会社がお盆の休暇に入った。
久々のまとまった休暇だった。
同僚は実家に帰ると言っていた。
それを聞いたとき、私も実家に帰ろうかなぁ…と、考えたりもした。
…したのだが、私の実家は田舎でせいぜい海ぐらいしかない。
それに遠いし、帰って何をしようと言うのか。
私は結局の所、いつも通り、何もやる気にならず、家でごろごろ。
何をするわけでもなく、どこに行くわけでもなく。
気づけばお盆休みも終わり、また出社の日々だった。
淡々とこなす業務。淡々と進む日々、いつも通り、いつも通り。
「ホームに列車が参ります。黄色い線の内側まで…」
…気まぐれだった。
別に、何か特別なことがあったわけでもない。
無理やり理由をつけるなら、飽きたとか、疲れたとか、そういう言葉を添えることはできたのだろう。
しかし、そんなことを考えていたわけではないのだ。
ただ、ふと、我に返り、いつも通りから逸脱をしたらどうなるかと考えてしまった。
ただそれだけ、たったそれだけなのだ。
…あの時の軽率な行動を後悔しているか。ですって?
ん~…。どうでしょう。…でも、これだけは言えるわ。
今の方が生きてる!
同僚だった彼女は私にそう言い残して、電車に攫われて行った。
「はぁ…」
彼女の生き生きとした表情を思い出し、私は天を仰ぐ。
結局、私もお盆休みは面倒になって、実家に帰らなかったのだ。
ただただ繰り返す日々。何も疑問に思わなくなり、何も感じなくなり…。
しかし、ふと我に帰った瞬間。地獄を見るのだ。自身で作り出した地獄絵図を。
「そろそろ潮時かぁ~…」
彼女は本当に意地悪だ。私を現実に引き戻すなんて。
考えないで生きる方がよほど楽なのに。
…そう思いながらも、私の頬は緩んでしまう。
「ホームに列車が参ります。黄色い線の内側まで…」
…おおっと、次の電車が来たようだ。
私は「よしっ!」と、小さく掛け声をかけ、一歩を踏み出す。
その日、私はいつも通りの日々を逸脱した。
==========
※おっさん。の小話
どうも、お疲れ様です。おっさん。です。
今回は過去の作品【廃墟】を読み返しながら執筆しました。
だからと言って、どうだという訳ではないのですがね。
電車って良いですよね。それほど気力がなくても、一歩踏み出すだけで、自身の知らない世界に簡単に連れて行ってくれます。
後は、好きに降りるだけ。
…まぁ、使い方によっては人生という長い旅路からも降りる事ができる訳ですが…。
っと、そんな事より、報告です。
次週からは現在投稿している長編や、その他の作品に力を入れたいと思います。
その為、今作品の投稿頻度は月一程度に戻ると思います。(というか、いつも通りマイペース更新)
勿論、お題を頂ければ書きます!
正直、リア友からのお題と感想ばかりでマンネリ化している感もありますしね…。
さて、まぁ、そんなところでしょうかね。
暑い日々が続いておりますが、皆さま、熱中症、脱水症状には気を付けて、良い脳死ライフを送りましょう!
それでは、お元気で!
その日も、私はいつも通り、ホームで電車を待っていた。
いつも通り起きて、いつも通り電車に乗って、いつも通り会社に行く。
そして、いつも通り残業して、いつも通り疲れて帰ってきて、いつも通り、何もせずに寝る。
いつも通り、いつも通りだった。
今日は何回目のいつも通りだろう。
そんなことを考えている内に、会社がお盆の休暇に入った。
久々のまとまった休暇だった。
同僚は実家に帰ると言っていた。
それを聞いたとき、私も実家に帰ろうかなぁ…と、考えたりもした。
…したのだが、私の実家は田舎でせいぜい海ぐらいしかない。
それに遠いし、帰って何をしようと言うのか。
私は結局の所、いつも通り、何もやる気にならず、家でごろごろ。
何をするわけでもなく、どこに行くわけでもなく。
気づけばお盆休みも終わり、また出社の日々だった。
淡々とこなす業務。淡々と進む日々、いつも通り、いつも通り。
「ホームに列車が参ります。黄色い線の内側まで…」
…気まぐれだった。
別に、何か特別なことがあったわけでもない。
無理やり理由をつけるなら、飽きたとか、疲れたとか、そういう言葉を添えることはできたのだろう。
しかし、そんなことを考えていたわけではないのだ。
ただ、ふと、我に返り、いつも通りから逸脱をしたらどうなるかと考えてしまった。
ただそれだけ、たったそれだけなのだ。
…あの時の軽率な行動を後悔しているか。ですって?
ん~…。どうでしょう。…でも、これだけは言えるわ。
今の方が生きてる!
同僚だった彼女は私にそう言い残して、電車に攫われて行った。
「はぁ…」
彼女の生き生きとした表情を思い出し、私は天を仰ぐ。
結局、私もお盆休みは面倒になって、実家に帰らなかったのだ。
ただただ繰り返す日々。何も疑問に思わなくなり、何も感じなくなり…。
しかし、ふと我に帰った瞬間。地獄を見るのだ。自身で作り出した地獄絵図を。
「そろそろ潮時かぁ~…」
彼女は本当に意地悪だ。私を現実に引き戻すなんて。
考えないで生きる方がよほど楽なのに。
…そう思いながらも、私の頬は緩んでしまう。
「ホームに列車が参ります。黄色い線の内側まで…」
…おおっと、次の電車が来たようだ。
私は「よしっ!」と、小さく掛け声をかけ、一歩を踏み出す。
その日、私はいつも通りの日々を逸脱した。
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※おっさん。の小話
どうも、お疲れ様です。おっさん。です。
今回は過去の作品【廃墟】を読み返しながら執筆しました。
だからと言って、どうだという訳ではないのですがね。
電車って良いですよね。それほど気力がなくても、一歩踏み出すだけで、自身の知らない世界に簡単に連れて行ってくれます。
後は、好きに降りるだけ。
…まぁ、使い方によっては人生という長い旅路からも降りる事ができる訳ですが…。
っと、そんな事より、報告です。
次週からは現在投稿している長編や、その他の作品に力を入れたいと思います。
その為、今作品の投稿頻度は月一程度に戻ると思います。(というか、いつも通りマイペース更新)
勿論、お題を頂ければ書きます!
正直、リア友からのお題と感想ばかりでマンネリ化している感もありますしね…。
さて、まぁ、そんなところでしょうかね。
暑い日々が続いておりますが、皆さま、熱中症、脱水症状には気を付けて、良い脳死ライフを送りましょう!
それでは、お元気で!
応援ありがとうございます!
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