85 / 86
マスオ、最後の審判を下す5 (最終回)
しおりを挟む
「どうか、マサヒトだけでも助け_____」
ぐぼっ。
眼の前で、アカネが口から血を吹き出した。
胸に、マサヒトの槍が突き刺さっていた。
「な・・・・・・マサヒト・・・・・・なんで・・・・・・」
「白河さん、そして亡くなった同級生のみんな。・・・・・・僕が敵を討ちました」
マサヒトが槍を引き抜くと、アカネの傷口から、口から血液が噴出した。
がっくりと膝をつく。
「た・・・・・・助け・・・・・・ライカン、さま・・・・・・」
アカネが隣に佇む主人を見上げた。懇願の眼差しで。
ライカンが、服の中からユニコーンの角を取り出した。
どんな傷でも瞬時に癒やす力がある、魔法の道具。瀕死のオーガすら元に戻した威力。
それを見て、アカネの顔がほっとした表情になった。
やった、これで助かる、とばかりに。
だが。
ライカンは手にした角を、ぐしゃりと握りつぶした。粉々になって散っていく。
アカネの顔が歪む。
「な、なぜ・・・・・・」
「これが俺の審判だ」
ぐっ、とアカネが体を支えきれず、床に両手をついた。
なおも弱々しく、ライカンに、マスオに手を伸ばしながら。
それが叶わぬと知ると、アカネはナオヤを、マサヒトを見上げた。
「ふ、ふたりとも・・・・・・たすけ・・・・・・たすけ、て・・・・・・」
だが、救いの手はどこからも差し伸べられなかった。
絶望したアカネは、床に散らばったユニコーンの角の粉に向かって這いつくばり、舌を伸ばした。イヌのように。
「い、嫌だ・・・・・・死にたく、ない、しに、たく・・・・・・な・・・・・・」
ばたり。
アカネは浅ましく舌を出したまま倒れ、絶命した。
その表情には、驚愕と苦悶、苦痛、恥辱、その他負の感情が恐ろしいほどに浮かんでいた。
それを無機質な目で見下ろしていたマスオだが、その遺体の中に光る宝石を拾い上げ、口に入れた。
ぱああああっ。
ライカンの姿が光り輝き、やがて収束して形となった。
人間の、16歳の少年の姿に。
その姿は、ナオヤの記憶にあったよりも凛々しく、立派な体格をしていた。
「・・・・・・やっぱり、マスオ、だったんだな」
「ああ」
ナオヤの問いに、マスオは素直に頷いた。
「どうして、アカネを」
「こいつの仇だ」
マスオの影から、何かがゆらり、と現れた。
それの正体を知って、ナオヤもマサヒトも驚愕の表情を浮かべた。
「白河!」
「白河さん!まさか、無事で_____」
だが。
ナオヤは悟った。
これは彼女であって、彼女ではない。生あるものの表情を浮かべていなかった。
「マスオ、彼女、は」
「・・・・・・魂のない、抜け殻だ」
マスオはそう言うと、マントを着せたノリコの腕を取って窓際へ立った。
窓ガラスを粉々に砕くと、彼女の腰に腕を回し、空を見上げる。
「マスオ」
ナオヤは呼びかけた。
「・・・・・・いいのか、俺たちは」
「好きにしろ」
「マスオくん」
マサヒトが笑顔で言った。
「ありがとうマスオくん、アカネを討たせてくれて。もうこれで、思い残すことはありません」
「またいつか会えるか、マスオ」
「さあな」
ばさり。
背中から羽根を生やし、マスオはノリコとヴァンパイアのサキを連れたまま、王都の空へ飛び去っていった。
モンスターの逆襲 完
ぐぼっ。
眼の前で、アカネが口から血を吹き出した。
胸に、マサヒトの槍が突き刺さっていた。
「な・・・・・・マサヒト・・・・・・なんで・・・・・・」
「白河さん、そして亡くなった同級生のみんな。・・・・・・僕が敵を討ちました」
マサヒトが槍を引き抜くと、アカネの傷口から、口から血液が噴出した。
がっくりと膝をつく。
「た・・・・・・助け・・・・・・ライカン、さま・・・・・・」
アカネが隣に佇む主人を見上げた。懇願の眼差しで。
ライカンが、服の中からユニコーンの角を取り出した。
どんな傷でも瞬時に癒やす力がある、魔法の道具。瀕死のオーガすら元に戻した威力。
それを見て、アカネの顔がほっとした表情になった。
やった、これで助かる、とばかりに。
だが。
ライカンは手にした角を、ぐしゃりと握りつぶした。粉々になって散っていく。
アカネの顔が歪む。
「な、なぜ・・・・・・」
「これが俺の審判だ」
ぐっ、とアカネが体を支えきれず、床に両手をついた。
なおも弱々しく、ライカンに、マスオに手を伸ばしながら。
それが叶わぬと知ると、アカネはナオヤを、マサヒトを見上げた。
「ふ、ふたりとも・・・・・・たすけ・・・・・・たすけ、て・・・・・・」
だが、救いの手はどこからも差し伸べられなかった。
絶望したアカネは、床に散らばったユニコーンの角の粉に向かって這いつくばり、舌を伸ばした。イヌのように。
「い、嫌だ・・・・・・死にたく、ない、しに、たく・・・・・・な・・・・・・」
ばたり。
アカネは浅ましく舌を出したまま倒れ、絶命した。
その表情には、驚愕と苦悶、苦痛、恥辱、その他負の感情が恐ろしいほどに浮かんでいた。
それを無機質な目で見下ろしていたマスオだが、その遺体の中に光る宝石を拾い上げ、口に入れた。
ぱああああっ。
ライカンの姿が光り輝き、やがて収束して形となった。
人間の、16歳の少年の姿に。
その姿は、ナオヤの記憶にあったよりも凛々しく、立派な体格をしていた。
「・・・・・・やっぱり、マスオ、だったんだな」
「ああ」
ナオヤの問いに、マスオは素直に頷いた。
「どうして、アカネを」
「こいつの仇だ」
マスオの影から、何かがゆらり、と現れた。
それの正体を知って、ナオヤもマサヒトも驚愕の表情を浮かべた。
「白河!」
「白河さん!まさか、無事で_____」
だが。
ナオヤは悟った。
これは彼女であって、彼女ではない。生あるものの表情を浮かべていなかった。
「マスオ、彼女、は」
「・・・・・・魂のない、抜け殻だ」
マスオはそう言うと、マントを着せたノリコの腕を取って窓際へ立った。
窓ガラスを粉々に砕くと、彼女の腰に腕を回し、空を見上げる。
「マスオ」
ナオヤは呼びかけた。
「・・・・・・いいのか、俺たちは」
「好きにしろ」
「マスオくん」
マサヒトが笑顔で言った。
「ありがとうマスオくん、アカネを討たせてくれて。もうこれで、思い残すことはありません」
「またいつか会えるか、マスオ」
「さあな」
ばさり。
背中から羽根を生やし、マスオはノリコとヴァンパイアのサキを連れたまま、王都の空へ飛び去っていった。
モンスターの逆襲 完
51
あなたにおすすめの小説
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!
霜月雹花
ファンタジー
神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。
神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。
書籍8巻11月24日発売します。
漫画版2巻まで発売中。
最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~
津ヶ谷
ファンタジー
綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。
ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。
目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。
その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。
その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。
そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。
これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる