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第一章 目覚めたらそこは……

8話 初依頼

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 あの後レイフに礼を言うと、Eランク冒険者用の常駐依頼を受けて街の外へ出たが……、内容的にゴブリンは討伐後必ず右の耳を剥ぎ取らなけらば行けないらしい。
他にも薬草類に関しては指定された採取方法で無いと冒険者ギルドが受け取ってくれないとの事でめんどくさい。
ただ討伐した後に部位を切り取って持ってくる事で倒したと認められるらしいが、やり方次第では幾らでも悪用出来そうだな。
そうこのように……

「一体でもゴブリンを捕まえれば……、後は作ればいいだけか」
「倫理的には問題あると思うけど、手っ取り早くランクを上げるならその方がいいでしょ?」
「……そうだな」

 ゴブリンの身体に触れて体の構造を解析したセツナが自身の能力を使い、無から大まかにゴブリンの耳を作り、セスカが同じ形にならないように微調整を加えて形を整える。
そして捕らえられた個体はと言うと、レイスの能力で意識を消し苦しまないようにすると、体の一部を切り取り青褪めた顔をしたミコトに渡す。
そして彼女の能力で身体の一部からゴブリンの身体を再生すると、耳を切り取って行く作業を不機嫌な顔をしたシュラが効率良く行う。
ただ……

「兄貴……、これ人としてやっちゃいけない事をしてる気がする」
「だが最低ランクにいるよりも、直ぐにランクを上げて少なくともDランクに上がった方が良いのも事実だ」
「でもさ、これやだよ」
「……私も正直どうかと思うが、割り切る事も時には必要だ」
「兄貴が言うなら我慢するけど……」

 話してる間にシュラとセツナがゴブリンの耳が入ったカゴを私に渡しに来たから、それを受け取り瞬時に凍結させ鮮度が落ちないようにする。
今回冒険者ギルドに届ける物以外はこうして保存する事で、毎日一定数を私とミコト、セツナの三人で届けに行く。
ギルドには6人で組みパーティになる事を申請し受理されているから、これを繰り返す事で私達の評価が上がりDランクへと上がれるという流れだ。
ただ本来ならば全員で行った方が良いのだろうが、シュラを連れて行くといつ取り返しのつかない問題を起こすか分からない。
レイスを連れて行った場合、まともな会話が難しくなる可能性があるから止めた方がいいとなり、それならセスカを入れた四人でと最初はなったが……シュラが問題を起こさないように監視するとの事で……

「とりあえずゴブリンの耳はこれ位あれば足りるのではないか?」
(……うん、私もそう思う)
「セツナ、ミコトあなた達顔色が悪いからそろそろ休んだ方がいいんじゃない?、この後ゴブリンの耳を届けに行くんだから倒れられたら困るわよ?」
「ありがとうセス姉、なら少しだけ休むね?」
(……ん、そうするねセスちゃん)

 能力を使う度に魔力を消費するのだが使い過ぎると体内の魔力が枯渇してしまい、暫く能力が使えなくなってしまうのだが……、その状態になると体が鉛のように重くなり、体調面においても吐き気を催したり、酷くなると耐えがたい頭痛に襲われる。
とは言え初期症状で良ければ暫く身体を休め魔力の回復を待てばいい、重症だったとしても精々数日間休んで体調が戻るまで寝ていればいいだけだが、セスカの言うように冒険者ギルドにゴブリンの耳持って行く私達が動けなくなるのは良くないだろう。

「……なら休憩しながら街に戻るのはどうだ?、道中で常駐依頼の薬草を採取するのもいいだろう」
「えぇ、兄貴私疲れたから動きたくないんだけど」
(私はそれでいいよ、ミコトちゃんも手を繋いであげるから頑張ろ?)
「セツ姉……、うん頑張る」
「と言う事だ、依頼書には街の外に自生しているらしいからな……セスカ、悪いが二人の事を頼んだぞ」

 セスカはゆっくりと頷くと、不機嫌な顔をして何かを言おうとしているシュラへと近づいて口を塞ぐ。
レイスがそれを興味が無さげに見るとゴブリンの死骸に意志を与えて動かしては、奪い元の死体に戻したりを繰り返して遊び始める。

「……あれが一番倫理観が欠如しているのではないか?」
「そうね、色々と言いたい事や思う事があるけど……ここは私が面倒見てるから行くなら早く行ってちょうだい」
「悪いな……、出来る限り早く戻って来るようにする」
「出来ない約束はしないでいいから、そんな事を言う前にまず太陽の位置を見て見なさい、あなた達が街に着いたら既に日が沈んで暗くなっていると思うから、依頼で手に入れた報酬を使って宿でも取ればいいわ、その間に私達はあの洞窟を住みやすいようにしといてあげるから」
「貴様、この俺に肉体労働をさせるつもり……ふ、ふがっ!」

……手を振り解いて何かを言おうとしたが再びセスカに口を塞がれてしまう。
個人的にはシュラの言いたい事が分からない訳ではないが……居残り組である以上は頑張って貰わないと困る。
とは言え私達が街に行ってる間に住みやすいようにしてくれるらしいがどのようになるのだろうか……、何となくだが嫌な予感がしつつも街へと向かって歩き出すのだった。
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