箱庭幻想譚―異世界に転生した私の幸せになりたいと願った物語―

物部妖狐

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第一章 死んだらそこは異世界でした

5話 族長は綺麗な眼をしたお狐様でした

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 狐っぽい耳を持ったお兄さんが耳をぴくぴくとさせて、こっちを事を見ていたけど、私が近付くたびに開いてるのかすら分からない程の細目がゆっくりと開かれて行き切れ長の目が見開かれたと思うと、九本の尾の毛が逆立った……、九本も尾がある何て触り心地が良さそうで良いなぁ、後でモフらせて貰おうかな。
名前は確かグロウフェレスさんって言ってたっけ、名前が長いなぁ……、狐耳出し尻尾が九つもあるんだから九尾の狐略して、キューちゃんでいいんじゃないかなって思っていると、片膝をついて跪くと、何やら喋り出したけど尻尾に土が付いて汚れそうでやだなぁ、後で綺麗にしてあげないとって思ってしまって全然頭に入って来ないけど、最初に確か我らが神である魔神様と何とかの天神様のとかって聞こえてた気がするから、多分長い挨拶でも言ってたのかなぁ……、取り合えず今からでも聞いとこうかな

「――シャルネ・ヘイルーン様に至ってはこの世界に来られたばかりで大変困惑なされていると思うのですが二柱の神の娘様であるあなた様にお伝えしたい事があるのです、まずは既にお聞きになられていると思いますが私はグロウフェレスと申します、魔神様直属の部下でして、私の他にもう一人いるのですが、彼は強者と戦う事を好む男なので何れ戦場で会う事でしょう」
「と、とりあえず、キューちゃんって呼んでいいか、な?」
「キュ、キューちゃん!?、娘様がそうお呼びしたいのでしたら構いませんが……」

 キューちゃんが困惑した顔をしたと思うと、苦い顔をしてキューちゃん呼びをする事を許してくれた。
もしかして良い人なのかもしれない?、ただ……私の隣でゼンさんが口に手を添えて何やらぷるぷると震えているけど、何をそんなに無理して抑えてるんだろう。
我慢しすぎると体に悪いからそう言うの止めた方がいいよ?。

「……こほん、話の続きなのですが、娘様にはこの世界におられる五柱の神々を滅ぼして頂く事になります」
「か、神様をころ、すの?」
「えぇ、まずはこの争いを始めた神々を滅ぼす事で戦を治めて頂きます、その後の事は五つの国と中央に座する国に何とかして頂きましょう」
「……つま、りやる事やったら放置でいいの?」
「えぇ、私達魔族と天族は外の世界から来たイレギュラーのような存在ですからね、争いが終わった後にもしかしたらこの世界から切り離される可能性がある以上は、今は戦を治めた後の出来事に我々の存在を入れるべきではないでしょう?」

 キューちゃんはそういうと、切れ長の目を細めてまた細目のお兄さんになってしまう。
眼の色がブラックダイヤモンドみたいで凄い綺麗だったから、眼を開けていた方が良いと思うんだけどなぁ、残念、ほんっとに残念だよ。
もしかしたらずっと眼を開けていて欲しいってお願いしたら開けてくれるのかな。

「……あの、娘様?お話しを聞いておられますか?」
「う、うん聞いてるよっ?つまり五柱の神々をこう、て、ていっ!やぁーっ!って感じで倒しちゃって戦いの元凶を無くして喧嘩を止めさせましょうって事で、すよね?」

 私はそう言いながら、拳を握って前に出したり、脚を出して蹴る動作をしてみる。
それを見たゼンさんが口から手をどけたと思うと隣で笑い出した。
人の動きを見て笑う何て失礼な人だなって思うけど、元居た世界とは価値観や考え方が違うのかもしれないから、笑うって事はもしかしたら違う意味があるのかも?って思うと、『あなた、失礼じゃないですか?』という事も出来ない。
でも心の中の私は、眼鏡を人差し指でクイっとしながら『ゼンさん?、人の事を笑う何て失礼よ?』っと大人の色気を出しながら言っているので良しとする、心の中の私よもっと言ってやれっ!

「ていっ、やーっ?……、娘様は不思議な表現をなさるのですね」
「わ、わた、私が子供の頃そうやって戦うお話しを見たんで、す」
「お話し……ですか、魔神様が好きそうなお話しですね……、こほん、取り合えずお話しを戻しますが大まかにはそれで合ってます、戦が終わった後の事の事も説明しましたが、我々がその後どうするかは終わった後に考えましょうって事ですね」
「は、はいっ!あ、あのキューちゃん!一ついいですか?」
「おや、どうしましたか?」

 狐の耳をぴくぴくとしながら真面目な顔をして私が何かを言うのを待っている。
……これで私の前では眼を開いていてくださいっていうのは何か気が引けるな―、それに娘様娘様って、私の名前はしおりってちゃんとした名前がってって今はシャルネさんだったかー、取り合えず畏まった呼ばれ方されると気まずいから名前で呼んで貰いたいですねっ!

「む、娘様じゃなくてちゃんと名前で呼んで、欲しいです、後眼を開けていて欲しい、です」
「……これは失礼致しました、これからはシャルネ様と呼ばせて頂きます、後眼を開けていて欲しいという事なのですが何故ですか?」
「き、綺麗な眼をしているので見て居たい、です」
「……なんと、周囲から不吉を呼び寄せる色だと言われている私の眼を綺麗だと仰るばかりか見て居たいですと?」
「は、はい、あの後はずっと片膝ついてると脚が痛いと思うので、立っていいです」

 キューちゃんは、『承知致しました』というと立ち上がると、切れ長の目を開いて私の事を見つめる。
ほんとに綺麗だなって思うけど、私よりも背が高くて見上げると首が痛くなりそう。
あの、そこは目線を合わせてくれませんか?って言いたいけど私が立っていいって言った以上は我慢しよう。

「……人に眼をまじまじと見られる経験等無かったので恥ずかしいのですが、話を続けましょう」
「は、はひっ!」
「はひ?……こほん、暫くはこの集落で私と一緒に生活して頂きながら、戦闘訓練を行います」
「せ、戦闘訓練、です、か?」
「はい、魔神様と天神様のお話しによれば、今迄一度も戦闘をした事が無いとの事なので、私が指導役を任されました」

……戦闘訓練かぁ、怪我とかしたらやだなぁ。
こう敵が出てきたら不思議な力に覚醒して一瞬で相手を倒すーっとか、そんなイベントみたいなの起きないかなぁって思うけど、無いから訓練するんだろうなって思うと気持ちが沈みそう。
出来れば痛い思いをしながら強くなりたいなぁ……、何て思いながらお父さんである魔神さんから指導役を任せられたらしいキューちゃんを見ていた。
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