45 / 77
第二章 修行、そして旅に出る
3話 武器について
しおりを挟む
あの後、迎えに来たゼンさんと一緒に家に帰る事になったけど……正直あの見た目で煙管というのは反則だと思った。
だってさ、美人な花魁風のお姉さんが煙管を取り出して喫煙だよ?普通にかっこいいし、こういう魅力的な大人の女性になってみたいって思うけど……私の見た目的に難しい気がする。
「ったくめんどくせぇ事になったな……」
「プリムラスグロリア様ってそんなに強いの?」
「本気を出せば俺一人だけなら、動きを止める事は出来るかもしれねぇが……マチザワとセイラがいるなら無理だな」
「でも、カー君がいるなら大丈夫じゃない?」
「あいつが強いのは知ってんだけどさ、実際に戦ってるところを見た事ねぇんだよな」
それでも強いって事を知ってるなら大丈夫だと思うけどなぁ。
私なんてキューちゃんとの戦闘訓練の時なんて、能力の基本的な使い方を教えて貰ったりはしたけど、実際に使うとなると焦ったりして制御出来なかったし……むしろ、この栄花の首都スメラギに来て、プリムラスグロリア様のおかげで使えるようになった感じ。
だから実際の所戦えるのかと言われたら、武器を持った事無いし実際に戦いをした訳でも無いから、難しい気がする。
「どうした?」
「私、戦えるのかなって……、ほら武器とか持った事無いし」
「それなら俺が鍛えてやるよ」
「え?」
「訓練相手なら、俺に挑んでくる奴等を使えばいいしさ、武器の使い方なら俺が教えればいいだけだしな」
訓練相手が沢山いるのは嬉しいけど、ちょっとそれっていいのかな……この身体ってスペックは凄い高いから、もしかしたら武器を振っただけで相手がそのまま死んじゃうかもしれない。
そうしたらどうすればいいのかな、ほら……殺しちゃったら罪に問われて再び牢屋に入ってしまうだろうし、そして罰せられた後に死刑とかになっちゃったらどうするの?、そう考えると凄い怖くない?怖いよね。
だって相手が弱かったばかりに、私が死刑だよ?そんなのやだよ。
「でも、その訓練で相手が死んじゃったらどうするの?」
「あ?……あぁ、そんなの武器を持っているんだから、それ位覚悟の上だろ?」
「え?で、でも……それで死んじゃったら、私が罪に問われて捕まっちゃうんじゃ」
「んなわけねぇだろ、道行く奴らを無差別に殺したってんなら捕まってもおかしくねぇけど、お互いに同意の上で果し合いをして死んだってんなら、罪になんて捕らわれなんてしねぇよ」
それならいいのかな、うんいいのかも。
なら安心して訓練の相手になって貰って、運悪く死んじゃったらしょうがないって事にしちゃえばいいかな……ってそんなの言い訳ないじゃない。
だって私が前までいた世界では、人を故意に傷つけたりしただけでも警察に捕まって罪に問われてしまったり、相手によっては訴えられて司法の元裁かれてしまうんだよ?なのにいきなり、それ位覚悟の上だろって言われても、はいそうですかって納得するのは無理って話。
けど……この世界がそうだって言うのなら慣れなきゃいけない訳で、それにこれから先五大国に旅立って、他の神様と戦うという事は何れ相手を殺す事になる。
つまり……遅かれ早かれ相手を殺害する事になるのだから、それがたまたま早くなっただけだと言えば納得が出来……無いなぁやっぱり、慣れる日が来るのかなぁ。
「……まぁ、難しい事考えねぇでも大丈夫だろ、俺に任せろってシャルネを一人前の戦士に育ててやるからな!」
「う、うん……ありがと」
そう話している内に、ゼンさんの家が見えて来る。
ただ……そこにはいつもの光景というか、怪我だらけで地面に転がっている武器を持った人達が地面に転がっていて、苦しそうに呻いているし、時折近くを通る人はまるで何時もの光景だと言わんばかりに、ちらっと視線を向けてはゆっくりと歩き去っていく。
「……今回は凄い沢山倒したんだね」
「おぅ、おかげで結構良い収入になったぜ?あ……そういやぁ珍しい武器があったから巻き上げたんだけどよ……、おまえ使ってみるか?」
「珍しい武器?」
「家に入れば分かるって」
珍しい武器って何だろうって思いながら家に入ると、そこには頭を着けた幽霊さんが不機嫌そうな顔をして、床や壁に着いた挑戦者達の血を拭いている姿が見える。
そして……彼女がゼンさんの姿を見ると焦ったような顔をして自分の頭を身体から外すと何処かへと勢いよく投げ捨てて……
「えぇ……?」
「ん?どうした?」
「い、今幽霊さんの頭が?」
「あ?何言ってんだよ、あいつに元から頭何てねぇだろ……それよりもこれを見てくれよ、面白いだろ?この武器!」
ゼンさんが壁に立てかけられている武器を手に取って見せくれるけど、これって武器なの?って不思議な形をしていた。
長い棒の先端に鎌のような刃が付いていて、まるで……ゲームやアニメに出て来るデスサイズとかって名称で呼ばれたりするそれは、何だか不思議な感じで……
「こいつは本来、農具として使わるもんなんだけどさ、そいつを態々ここまででかくして武器にしてんだぜ?一応武器として使う為に生まれた鎌術や、二刀鎌術……後は鎖鎌術というのはあるけどよ、大鎌を実際に武器にする奴はあんまり見た事ねぇな」
「あんまり見た事が無いって、……その言い方だと見た事あるって事だよね?」
「まぁやり合った事はあるな……、けどよぉ相手の防御をかいくぐっての攻撃や、足払い、そしてただ斬るよりも、刃を引いて切ったり鋭い先端で突き刺す、刃の無い方を使った棒術と出来る事は多いけど、内側に入られた時の弱さはどうしようもねぇ」
「じゃあ……どうしてそんな使いづらい武器を私に?」
……普通なら武器を今まで持った事が無い人に勧めるような物ではないと思う。
そんな私の疑問に答えるように『だってシャルネは武器を使った事ねぇんだろ?それならスタンダードな武器を持たせて、何処にでもいる戦士にするよりも最初から使いづらいもん持たせて、セイラやマチザワを驚かせた方が面白いだろ?』と笑うのだった。
だってさ、美人な花魁風のお姉さんが煙管を取り出して喫煙だよ?普通にかっこいいし、こういう魅力的な大人の女性になってみたいって思うけど……私の見た目的に難しい気がする。
「ったくめんどくせぇ事になったな……」
「プリムラスグロリア様ってそんなに強いの?」
「本気を出せば俺一人だけなら、動きを止める事は出来るかもしれねぇが……マチザワとセイラがいるなら無理だな」
「でも、カー君がいるなら大丈夫じゃない?」
「あいつが強いのは知ってんだけどさ、実際に戦ってるところを見た事ねぇんだよな」
それでも強いって事を知ってるなら大丈夫だと思うけどなぁ。
私なんてキューちゃんとの戦闘訓練の時なんて、能力の基本的な使い方を教えて貰ったりはしたけど、実際に使うとなると焦ったりして制御出来なかったし……むしろ、この栄花の首都スメラギに来て、プリムラスグロリア様のおかげで使えるようになった感じ。
だから実際の所戦えるのかと言われたら、武器を持った事無いし実際に戦いをした訳でも無いから、難しい気がする。
「どうした?」
「私、戦えるのかなって……、ほら武器とか持った事無いし」
「それなら俺が鍛えてやるよ」
「え?」
「訓練相手なら、俺に挑んでくる奴等を使えばいいしさ、武器の使い方なら俺が教えればいいだけだしな」
訓練相手が沢山いるのは嬉しいけど、ちょっとそれっていいのかな……この身体ってスペックは凄い高いから、もしかしたら武器を振っただけで相手がそのまま死んじゃうかもしれない。
そうしたらどうすればいいのかな、ほら……殺しちゃったら罪に問われて再び牢屋に入ってしまうだろうし、そして罰せられた後に死刑とかになっちゃったらどうするの?、そう考えると凄い怖くない?怖いよね。
だって相手が弱かったばかりに、私が死刑だよ?そんなのやだよ。
「でも、その訓練で相手が死んじゃったらどうするの?」
「あ?……あぁ、そんなの武器を持っているんだから、それ位覚悟の上だろ?」
「え?で、でも……それで死んじゃったら、私が罪に問われて捕まっちゃうんじゃ」
「んなわけねぇだろ、道行く奴らを無差別に殺したってんなら捕まってもおかしくねぇけど、お互いに同意の上で果し合いをして死んだってんなら、罪になんて捕らわれなんてしねぇよ」
それならいいのかな、うんいいのかも。
なら安心して訓練の相手になって貰って、運悪く死んじゃったらしょうがないって事にしちゃえばいいかな……ってそんなの言い訳ないじゃない。
だって私が前までいた世界では、人を故意に傷つけたりしただけでも警察に捕まって罪に問われてしまったり、相手によっては訴えられて司法の元裁かれてしまうんだよ?なのにいきなり、それ位覚悟の上だろって言われても、はいそうですかって納得するのは無理って話。
けど……この世界がそうだって言うのなら慣れなきゃいけない訳で、それにこれから先五大国に旅立って、他の神様と戦うという事は何れ相手を殺す事になる。
つまり……遅かれ早かれ相手を殺害する事になるのだから、それがたまたま早くなっただけだと言えば納得が出来……無いなぁやっぱり、慣れる日が来るのかなぁ。
「……まぁ、難しい事考えねぇでも大丈夫だろ、俺に任せろってシャルネを一人前の戦士に育ててやるからな!」
「う、うん……ありがと」
そう話している内に、ゼンさんの家が見えて来る。
ただ……そこにはいつもの光景というか、怪我だらけで地面に転がっている武器を持った人達が地面に転がっていて、苦しそうに呻いているし、時折近くを通る人はまるで何時もの光景だと言わんばかりに、ちらっと視線を向けてはゆっくりと歩き去っていく。
「……今回は凄い沢山倒したんだね」
「おぅ、おかげで結構良い収入になったぜ?あ……そういやぁ珍しい武器があったから巻き上げたんだけどよ……、おまえ使ってみるか?」
「珍しい武器?」
「家に入れば分かるって」
珍しい武器って何だろうって思いながら家に入ると、そこには頭を着けた幽霊さんが不機嫌そうな顔をして、床や壁に着いた挑戦者達の血を拭いている姿が見える。
そして……彼女がゼンさんの姿を見ると焦ったような顔をして自分の頭を身体から外すと何処かへと勢いよく投げ捨てて……
「えぇ……?」
「ん?どうした?」
「い、今幽霊さんの頭が?」
「あ?何言ってんだよ、あいつに元から頭何てねぇだろ……それよりもこれを見てくれよ、面白いだろ?この武器!」
ゼンさんが壁に立てかけられている武器を手に取って見せくれるけど、これって武器なの?って不思議な形をしていた。
長い棒の先端に鎌のような刃が付いていて、まるで……ゲームやアニメに出て来るデスサイズとかって名称で呼ばれたりするそれは、何だか不思議な感じで……
「こいつは本来、農具として使わるもんなんだけどさ、そいつを態々ここまででかくして武器にしてんだぜ?一応武器として使う為に生まれた鎌術や、二刀鎌術……後は鎖鎌術というのはあるけどよ、大鎌を実際に武器にする奴はあんまり見た事ねぇな」
「あんまり見た事が無いって、……その言い方だと見た事あるって事だよね?」
「まぁやり合った事はあるな……、けどよぉ相手の防御をかいくぐっての攻撃や、足払い、そしてただ斬るよりも、刃を引いて切ったり鋭い先端で突き刺す、刃の無い方を使った棒術と出来る事は多いけど、内側に入られた時の弱さはどうしようもねぇ」
「じゃあ……どうしてそんな使いづらい武器を私に?」
……普通なら武器を今まで持った事が無い人に勧めるような物ではないと思う。
そんな私の疑問に答えるように『だってシャルネは武器を使った事ねぇんだろ?それならスタンダードな武器を持たせて、何処にでもいる戦士にするよりも最初から使いづらいもん持たせて、セイラやマチザワを驚かせた方が面白いだろ?』と笑うのだった。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
サハギンに転生した俺、最弱から進化して海の覇王になりました
☆ほしい
ファンタジー
目を覚ますと、俺は異世界の海底でサハギンに転生していた。しかも、生まれたての最弱個体。弱すぎて、敵どころか仲間にも狩られるレベルの雑魚だった。
だがこの世界には、「進化」システムと「スキル取得」の概念がある。戦い、喰らい、生き延びれば、どんな存在にでもなれる。
一匹で深海を生き抜き、強敵との死闘を重ね、仲間を得て、次第に領海を広げていく俺。やがて襲い来る海賊、魔族、そして異世界の神々さえも──
進化の果てに手にした力は、神話の海獣すら屈服させる“覇王の威光”。
これは、最弱種族に転生した俺が、知恵と本能を武器に進化を重ね、深海・外洋・空すら制し、異世界の“海王”として君臨するまでの成り上がり戦記!
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる