箱庭幻想譚―異世界に転生した私の幸せになりたいと願った物語―

物部妖狐

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第二章 修行、そして旅に出る

26話 二人の約束

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 私の能力を使えば心器を使ってくる人に対して有利に戦えるかもしれない。

「ねぇセイラさん、私の能力でも心器に対して同じ事が出来るかな」
「【暴食と施し】の事?……確かシャルネはプリムラスグロリア様から聞いたけど、魔神と天神の間に産まれた合いの子だよね?、それってつまり神様って事になると思うから出来るんじゃない?」
「やっぱり?それなら試してみても良い?」
「いやよ、そんな事をしたら私が死ぬじゃない……あなた、友達を殺す気?」

 ん?今友達って聞こえた気がするけど気のせいだよね?、だって私なんかがセイラさんと友達だ何て恐れ多い。
だってだって、目の前にいる綺麗なスケベなお姉さんがお友達になってくれるなんて嬉しいけど、現実的じゃないって言うか、でも一応……私の聞き間違いかもしれないから、一度確認しておこうかな。

「と、友達!?私とセイラさんが?」
「……?ここまで打ち解けて話せるようになったなら、もう友達でしょ?それともあなたは私と友達になるの嫌?」
「い、嫌じゃないけど……」

 聞き間違いじゃなかった、本当に聞き間違いじゃなかった。
前世を含めた記憶の中で、今まで友人何て出来た事無かったから、友達と言っても何をすればいいのか分からない。
青春物のマンガやアニメだと、学校帰りにアイスやクレープを買ってベンチに座りながらお話したり、仲の良いグループ同士でカラオケに行って歌うとかあるけど、まさか私に友達が出来る何て思わなかったから、心の準備が出来て無くて戸惑う。
でも……

「ふひ、友達と一緒にクレープ食べたり……カラオケで一緒に一人じゃ歌えない歌を歌ったり……夜遅くまでお喋りして、青春が!私が出来なかった青春が今!ここにっ!」
「ちょっ!ちょっといきなりどうしたの!?」
「え、あっご、ごめんね……ちょっと興奮しちゃって」

 だって初めての友達となったら興奮するのはしょうがないと思う。
驚かせちゃったのは悪いと思うけど……でも、これはしょうがないんじゃないかな。

「興奮ねぇ……、まぁそういう変なところも含めてあなただと思うけど、何だかあなたと旅に出たら色々と面白そうね」
「……え?」
「だってシャルネと一緒にいると、色々と飽きなさそうだし……ほんっと羨ましいなぁ、私も旅に出れたら良かったのに」
「じゃ、じゃあ……もし旅の途中で栄花に帰って来ることがあったら、お土産に色んなお話する?」

 その時はお土産に何か、その国の特産品か何かを買って帰った方がいいかな。
置物系だとかさばって邪魔になると思うから、話しながら何か食べたり出来るものを持っていくのもいいかも?
ゼンさんと私、セイラさんの三人で旅の道中でこんなことがあったとか話したりとか……考えたらちょっと楽しみ。
カー君もそこにいたらなぁとは思うけど、彼の事だから帰ったら直ぐ奥さん達やお子さん達に会いに言っちゃうだろうから無理だろうけど、こればっかりは家庭がある人だからしょうがないと割り切った方がいいかなって。

「それは良いわね、じゃあ、色んな話が聞けるのをここで楽しみに待ってるかな……だから約束してちょうだい、無事に帰って来るって」
「……絶対とは言えないけど、出来る限り頑張る」
「馬鹿ね、そこは嘘でも約束するって言ってくれた方が安心出来るから、相手の事を考えたら言った方がいいの」
「え?じゃ、じゃあ、約束するね?」

 本当は口だけじゃなくて、しっかりと自信をもって約束をしたいけど、セイラさんが安心してくれるなら、今はその通りにした方がいいのかな。
でも……それで帰って来れなかったら、何時までも待たせる事になるわけで、そうなると凄い申し訳ない気がする。
……うん、ちゃんと約束を守れるように頑張ろう、だって友達が悲しむ姿何て見たくないもの。

「うん、約束したから絶対に生きて帰って来なさい、嘘をついたら冥府の底まで追いかけて無理矢理生き返らせてあげるから覚悟する事ね」
「え?なにそれ怖い」
「怖いって酷いわね、シャルネが約束するって言ったじゃない?」
「セイラさんが、嘘でも約束するって言ってくれた方が安心するって言うから言ったのに……」
「ふふ、私はこう見えて我が儘なのよ?相手に一番言って欲しい言葉を言わせるように誘導するくらいするわ」

 セイラさんはそう言うと、いたずらっ子がするような仕草で舌を出して笑う。
そして私の手を取って強引に握手をすると、小指同士を繋げて……何だか転生前の世界で見た事あるけど、やった事が無い……嘘をついたら針を飲ます儀式をする。

「ゼンさんからは、セイラさんが言って欲しい言葉を貰えないのに?」
「……あれは例外よ、それに今はシャルネから聞きたい言葉を聞けたからいいわ、だってあなたがゼンと上手く行ったら私達は親戚になるじゃない」
「親戚?二人ってそういう関係なの?」
「バカね、違うわよ……プリムラスグロリア様からゼンの生命力を貰って、私と彼の子を作って産むの」
「あぁ……前にプリムラスグロリアさんとそういう話してたね」

 つまり……セイラさんが言いたいのは、私とゼンさんが結婚して子供が出来たら親戚になるって事?、アッ!それってなんか凄いいいかも。
だって、私前世では一人っ子だったから、お姉ちゃんや妹とかに憧れたりしたことあるし、そう思うと何て言うか嬉しい。

「うん、だからもしシャルネとゼンが夫婦になって子供が産まれたら、私達は親戚よ?だからそうね、あなたは私より年下でしょう?だから私はあなたのお姉ちゃんよ?」
「ふふ、その時はお姉様って呼んだ方がいい?」
「いやよ、そんな呼び方されたら、あなたの見た目と服装が相まって何か変な勘違いされそうじゃない」
「……ダメ?」

 セイラさんが急に赤面して、私から顔を背けるけど……いったいどうしたのかな。
もしかして変な事をしちゃった?それなら謝らないとって思うけど、眼を合わせようとすると、何でか逃げちゃうしどうすればいいのかな。

「あなた……上目遣いでそういう言い方するの止めなさい、ときめくから」
「え?」
「えっ?じゃなくて、私だから流せるけど旅の道中で異性にやらないようにしなさい、面倒な事になるわよ」
「え?あ、うん気を付ける……ね?」

……旅の道中で異性にやらないようにって言われても、やるような相手がいないと思うから問題無い気がする。
けど、セイラさんが心配してくれてるならその通りにした方がいいだろう。
そんな事を考えながら話を続けていると、外の方から『おっ!おまえ等、随分仲良くなったみてぇだな!』とゼンさんの声が聞こえるのだった。
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