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第二章 修行、そして旅に出る
29話 彼の優しさ
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彼を追うように二階に上がると、旅の準備に必要な物を改めて考えてみる。
食材に関しては、キューちゃんが作ってくれたバッグのおかげで日持ちするものを入れれば問題無いと思う。
「ゼンさん、カー君はいつ帰って来ると思う?」
「ん?あぁ……、ここに来る途中であったけど、俺達の変わりに食材の調達をしに行ってくれてるぞ?」
「……そういうの帰って来た時に言って欲しかったかな」
「あの状況で言えるわけないだろ?」
確かにセイラさんがいたあの状況で、言いづらかったのは分かるけど、それでも早めに教えて欲しかったなぁって気持ちはあって、自分勝手な我が儘だっていうのは勿論分かってるけど、それはそれ、これはこれと言う感じ。
「だぁもう、そんな顔すんなって、分かった次からは何かあったら直ぐに伝えるようにするから落ち着けって」
「ほんと?」
「あぁ、約束する」
「うん、約束ね?」
そのやり取りの後、特にやることが無くて二人で旅に出る前の掃除を始めたりする。
けど……、幽霊さんがいつも綺麗にしてくれているおかげでそれすらも直ぐに終わってしまって、何とも手持ち無沙汰。
得意の妄想をしようにも、するような題材も無いし、なら昼寝をしようって思っても昨日ぐっすり寝過ぎて眠くない。
「暇だなぁ」
「だねぇ」
「……とりあえず何か飯でも食いに行くか?」
「んー、お腹空いてないかも」
「分かる、俺も帰る前に飯食ってから戻って来たから腹空いてない」
そんな他愛のない会話をしながら、ゆっくりとした時間が過ぎて行く。
あぁ、何かこういうのって老後の熟年夫婦みたいでいいなぁって少しばかり考えてしまうけど……、そこでふと思った。
私とゼンさんって、種族的な意味で違うから……一緒に老いて死ぬことが出来るのだろうか。
そんな事を考えたら何だか少しだけ、不安になってしまう……そのせいか無意識に彼の腕に抱き着いてしまったようで……
「ん?どうした?」
「……何でもない」
「何でもないって、いきなり人の腕に抱き着いて来てそりゃないだろ……、話して見ろって」
「私って、魔神と天神の間に生まれた子でしょ?だから旅が終わってここに帰って来たら、ゼンさんの方が先に死んじゃうんじゃないかなって」
「あぁ……」
ゼンさんが何か考えるような仕草をすると、暫くして頭を掻きながら私の方を見る。
そして目線を合わせながら真剣な表情をすると
「確かに俺の方が先に死んじまう可能性はあるけど、生きている間に楽しい事沢山やって思い出を作ればいいんじゃねぇかな……」
「え?」
「俺が死んだ後も楽しかった思い出が沢山あれば寂しくないかもしれないだろ?……まぁ、俺は残される側の気持ちって言うのが分からないから、そういう考えしか出来ないけど、その分出来る事はなんでもやってやるよ」
「……なら、旅が終わってここに戻って来たら、お願いしたい事があるんだけどその時は聞いてくれる?」
「ん?いいぜ?俺が出来る事なら幾らでも聞いてやるよ」
旅が終わってこの家に帰って来たら、夫婦になって欲しいと言おうと思ったけど……、そういうのって旅に出る前に言ってしまうと死亡フラグになるから言わない。
けど、思うだけなら自由だと思うから、旅が終わってからの楽しみに取っておこうと思う。
ほら、家族が増えたら子供、孫、ひ孫が沢山出来て寂しくないだろうし、そのためにはまずは生きて帰って来ないと……
「……で?とりあえず不安はこれで少しは和らいだか?」
「え、あ……うん」
「だよな、ちょっとだけ何時もの締まりのない、残念な顔してたぞ?」
「何それ、ゼンさん酷くない?」
「酷いも何も、俺はそのいつも通りのおまえの方がいいと思うから、安心したぞ?」
ここでそんな事を言うのは正直卑怯だと思う。
余りの不意打ちに、次に言おうとした事を忘れてしまった。
「……えっと、二人してお楽しみ中に悪いんだけど、帰って来たんだから出迎えに来てくれてもいいんじゃないかな」
「え?カ、カー君!?」
声がした方を見ると、下から階段を上がってくればいいのに、何故か窓から入って来るカー君の姿があった。
「カー君……、どうして窓から?」
「何回玄関から声を掛けても反応が無いから、やむを得ず窓から入る事にした感じかな」
話すのに集中してて、全然聞こえて無かった。
そう思うと少しだけ申し訳ないというか、ごめんなさいっていうか。
でも二人の世界に入らせてくれてありがとうございますって言う感じで、ちょっとだけ複雑で言葉にするのが難しい。
「おぅ、帰って来たか……食材の買い溜めの方は終わったのか」
「勿論、色んな所を回って来て日持ちするのを集めて来たよ、例えば魔法を使って乾燥させた野菜なんだけど、沸かした湯に浸ける事で食べれる状態に戻せる保存食とかかな」
……転生前の世界にあった、ドライ何とかって言う野菜を乾燥させたものと同じような気がするけど、魔法で乾燥させたって事だから違うのかも?
けど、何て言うか凄い気になる、味はどんな感じなのか……煮込み料理に合うのかとか、旅に出てから料理をするのが楽しみになってきた。
ゼンさんやカー君が美味しいと言ってくれると思うと、今のうちに色んなレシピを考えてみようかなと考えを巡らせるのだった。
食材に関しては、キューちゃんが作ってくれたバッグのおかげで日持ちするものを入れれば問題無いと思う。
「ゼンさん、カー君はいつ帰って来ると思う?」
「ん?あぁ……、ここに来る途中であったけど、俺達の変わりに食材の調達をしに行ってくれてるぞ?」
「……そういうの帰って来た時に言って欲しかったかな」
「あの状況で言えるわけないだろ?」
確かにセイラさんがいたあの状況で、言いづらかったのは分かるけど、それでも早めに教えて欲しかったなぁって気持ちはあって、自分勝手な我が儘だっていうのは勿論分かってるけど、それはそれ、これはこれと言う感じ。
「だぁもう、そんな顔すんなって、分かった次からは何かあったら直ぐに伝えるようにするから落ち着けって」
「ほんと?」
「あぁ、約束する」
「うん、約束ね?」
そのやり取りの後、特にやることが無くて二人で旅に出る前の掃除を始めたりする。
けど……、幽霊さんがいつも綺麗にしてくれているおかげでそれすらも直ぐに終わってしまって、何とも手持ち無沙汰。
得意の妄想をしようにも、するような題材も無いし、なら昼寝をしようって思っても昨日ぐっすり寝過ぎて眠くない。
「暇だなぁ」
「だねぇ」
「……とりあえず何か飯でも食いに行くか?」
「んー、お腹空いてないかも」
「分かる、俺も帰る前に飯食ってから戻って来たから腹空いてない」
そんな他愛のない会話をしながら、ゆっくりとした時間が過ぎて行く。
あぁ、何かこういうのって老後の熟年夫婦みたいでいいなぁって少しばかり考えてしまうけど……、そこでふと思った。
私とゼンさんって、種族的な意味で違うから……一緒に老いて死ぬことが出来るのだろうか。
そんな事を考えたら何だか少しだけ、不安になってしまう……そのせいか無意識に彼の腕に抱き着いてしまったようで……
「ん?どうした?」
「……何でもない」
「何でもないって、いきなり人の腕に抱き着いて来てそりゃないだろ……、話して見ろって」
「私って、魔神と天神の間に生まれた子でしょ?だから旅が終わってここに帰って来たら、ゼンさんの方が先に死んじゃうんじゃないかなって」
「あぁ……」
ゼンさんが何か考えるような仕草をすると、暫くして頭を掻きながら私の方を見る。
そして目線を合わせながら真剣な表情をすると
「確かに俺の方が先に死んじまう可能性はあるけど、生きている間に楽しい事沢山やって思い出を作ればいいんじゃねぇかな……」
「え?」
「俺が死んだ後も楽しかった思い出が沢山あれば寂しくないかもしれないだろ?……まぁ、俺は残される側の気持ちって言うのが分からないから、そういう考えしか出来ないけど、その分出来る事はなんでもやってやるよ」
「……なら、旅が終わってここに戻って来たら、お願いしたい事があるんだけどその時は聞いてくれる?」
「ん?いいぜ?俺が出来る事なら幾らでも聞いてやるよ」
旅が終わってこの家に帰って来たら、夫婦になって欲しいと言おうと思ったけど……、そういうのって旅に出る前に言ってしまうと死亡フラグになるから言わない。
けど、思うだけなら自由だと思うから、旅が終わってからの楽しみに取っておこうと思う。
ほら、家族が増えたら子供、孫、ひ孫が沢山出来て寂しくないだろうし、そのためにはまずは生きて帰って来ないと……
「……で?とりあえず不安はこれで少しは和らいだか?」
「え、あ……うん」
「だよな、ちょっとだけ何時もの締まりのない、残念な顔してたぞ?」
「何それ、ゼンさん酷くない?」
「酷いも何も、俺はそのいつも通りのおまえの方がいいと思うから、安心したぞ?」
ここでそんな事を言うのは正直卑怯だと思う。
余りの不意打ちに、次に言おうとした事を忘れてしまった。
「……えっと、二人してお楽しみ中に悪いんだけど、帰って来たんだから出迎えに来てくれてもいいんじゃないかな」
「え?カ、カー君!?」
声がした方を見ると、下から階段を上がってくればいいのに、何故か窓から入って来るカー君の姿があった。
「カー君……、どうして窓から?」
「何回玄関から声を掛けても反応が無いから、やむを得ず窓から入る事にした感じかな」
話すのに集中してて、全然聞こえて無かった。
そう思うと少しだけ申し訳ないというか、ごめんなさいっていうか。
でも二人の世界に入らせてくれてありがとうございますって言う感じで、ちょっとだけ複雑で言葉にするのが難しい。
「おぅ、帰って来たか……食材の買い溜めの方は終わったのか」
「勿論、色んな所を回って来て日持ちするのを集めて来たよ、例えば魔法を使って乾燥させた野菜なんだけど、沸かした湯に浸ける事で食べれる状態に戻せる保存食とかかな」
……転生前の世界にあった、ドライ何とかって言う野菜を乾燥させたものと同じような気がするけど、魔法で乾燥させたって事だから違うのかも?
けど、何て言うか凄い気になる、味はどんな感じなのか……煮込み料理に合うのかとか、旅に出てから料理をするのが楽しみになってきた。
ゼンさんやカー君が美味しいと言ってくれると思うと、今のうちに色んなレシピを考えてみようかなと考えを巡らせるのだった。
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