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第二章 修行、そして旅に出る
31話 そして旅に出ました
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拝啓、お父様とお母様……いえ、魔神様と天神様。
私達は今、夜になったので旅に出る為に首都スメラギの門から外に出ました。
最初は北東にあるという【薬国メイディ】に行くそうです。
他の【覇国ストラフィリア】、【魔導国家メセリー】、【トレーディアス商連邦】、【蒸気機国マーシェンス】は後に回すらしくて、理由はゼンさんが言うには
「あの国の神なら、まだ戦いやすい倒しやすい部類だと思うからな……、あっちから攻略した方がいいだろ」
という理由らしい。
でも、私からしたら誰が一番倒しやすくて、誰が一番強いのか分からないから、彼の言う通りにした方がいいと思います。
けどカー君は……
「確かあそこには、ケイスニル・レイフが率いる【マンティコア部族】がいたよね……、俺は彼とは相性が悪いから行きたく無いなぁ」
と文句を言っていたけど、相性が悪いからって後回しにしても何れは行く事になるんだから、と言う話を二人でしたら渋々といった感じで同意してくれました。
そして……今はと言うと
「ほらぁ!出てきたろ密偵が!」
「出て来た!出て来たけどぉ!」
ゼンさんが釣ろうとしていた密偵さん達が、自身の身を守る為に武器を構えている。
そして大蛇の姿になったカー君が、彼等の逃げ場を無くすように囲い、密偵さん達が戦わざるおえない状況を作り出す。
「……くっ!どうしてこんな事に!」
「俺達は国にあんたらの情報を持ち帰らねぇといけねぇんだ!お願いだから逃がしてくれ!」
「俺達の家族の命が掛かってんだ!」
「逃がせだ?バァカ!おめぇらの家族の命が掛かってるからって見逃したら、俺達の命があぶねぇだろ!ほらシャルネも言ってやれ!」
「えっと……、家族の命が危ないなら逃がしてあげても?」
だって、ここで死んでもこの人たちの大事な家族は死んじゃうわけだし。
それなら逃がしてあげた方がいいんじゃないかなって……
「……はぁ、おまえなぁ敵に情けを掛けてたら敵を倒せなくなるぞ?」
「でもかわいそうだし……、カー君もそう思うよね?」
『俺は、ゼンの考えに同意かな……、ここで彼等を逃がした時のリスクを考えたらね……、ほら神々が召喚した勇者や聖女とかに居場所がバレるのはめんどくさいし』
「……別に倒せなくはないだろうけど、一々面倒事には巻き込まれたくねぇし」
二人が楽しそうに話してる間に、覚悟を決めた密偵の人が武器を持ってゼンさんに向かって行く。
けど……数歩歩いた瞬間に、首から上が無くなったかと思うと、勢いよく血しぶきを上げながら倒れて地面を赤く染め上げる。
『とか言いながらも、君の事だから出て来たら喜んで戦うんじゃないかい?』
「はっは、カーティス……おまえ分かってんじゃねぇか!」
犠牲になった密偵さんの姿を見て腰が抜けてしまったのか、他の人達が武器をその場に落として、へたり込むように座り込んでしまう。
「……ほら、一方的な虐殺になってるからかわいそうだよ」
「かわいそうって、こいつらが中途半端な実力で密偵何てしてんのが悪いだろ、優秀な密偵なら俺達が首都を出た瞬間にそれぞれの国に戻って、情報を持ち帰ればいいのに欲をかいて首都を出た後も追って来たんだから」
確かにそうかもだけど、抵抗すら出来ない相手を一方的に殺すのはなんだか罪悪感がある。
ほら……ゲームで例えるなら、始まって直ぐ街を出た後に合う敵って初心者でも倒せるくらいに弱いよね?彼らがその初心者だったりしたら、始めて直ぐに冒険の旅に出たら、野生のラスボスとエンカウントしちゃったみたいだよね。
何か凄いかわいそうじゃない?、むしろ開幕ラスボスが勇者を殺しに来るなって言う感じで突っ込みどころ満載じゃないかな。
そう思うと、少しだけ優しくしてあげてもいんじゃないかなって……
「た、確かあなたはシャルネ殿と言ったな、どうか……その優しさで我らを助けてくださいませんか?私の弟が人質にされていまして……、私が戻らなければマリーヴェイパー様の実験動物にされてしまう!」
「お、おねがいします!国に不治の病を患った娘がいるんだっ!情報を持ち帰ってメランティーナ様から薬を貰わないと治らないんだ!」
「う、うちにも身体が弱い妻がっ!俺が無事に帰って、密偵としての価値をディザスティア様に見せないと、全てが奪われちまう!」
「俺もだ!俺の母さんが、優秀な魔法使いで……俺がしっかりとしないと触媒にされちゃうんだ!」
「……え!?あ、ちょっと近づかないで!」
密偵さん達が両腕を使って、まるでハイハイをするような仕草で近づいて来る。
その顔は皆必死で、私にすがる事で助かろうという意思を感じるけど……何て言うか気持ち悪い。
だって、顔を涙と鼻水で濡らしながら、何度もバランスを崩して顔から地面に倒れて再び起き上がっては顔面を土で汚して……
「どうか、どう……」
「へ?なん……で」
「あ……やっちゃった」
不快感と、ハイハイで近づかれた事に対する驚きのせいで、いつの間にか背中から悪魔と天使の翼が生えていた。
それだけならまだしも……、無意識に悪魔の翼が生えている方の腕を振って、彼らを振り払うようにしてしまったせいで、【暴食と施し】の効果が出てしまい。
密偵さん達の生命力が一瞬で奪われ、身体が灰のようになるとその場に人の形を失って崩れてしまう。
「……かわいそうって言ってたお前が一番えぐい殺し方してんじゃねぇか」
「えっと、何て言うか……ごめんなさい?」
「まぁ、シャルネらしくていいんじゃないかな……」
「逃がしてあげようって言ってた奴がまぁ、でも……これで馬鹿な密偵は倒せたし、後は遠回りしながらメイディに行かねぇとな」
「遠回りってなんで?」
……どうして遠回りをする理由があるんだろう。
そう思って聞いてみたら『……言ったろ?優秀な密偵なら俺達が首都を出た瞬間にそれぞれの国に戻って情報を持ち帰るって、つまり俺達が準備をせずに国に入ったら待ち伏せされて不利って訳だ、だから遠回りをして相手の警戒が緩んだタイミングで入国すんだよ』と笑いながら言葉にする。
そんな感じで私達の神々を討伐する為の旅が始まるのだった。
私達は今、夜になったので旅に出る為に首都スメラギの門から外に出ました。
最初は北東にあるという【薬国メイディ】に行くそうです。
他の【覇国ストラフィリア】、【魔導国家メセリー】、【トレーディアス商連邦】、【蒸気機国マーシェンス】は後に回すらしくて、理由はゼンさんが言うには
「あの国の神なら、まだ戦いやすい倒しやすい部類だと思うからな……、あっちから攻略した方がいいだろ」
という理由らしい。
でも、私からしたら誰が一番倒しやすくて、誰が一番強いのか分からないから、彼の言う通りにした方がいいと思います。
けどカー君は……
「確かあそこには、ケイスニル・レイフが率いる【マンティコア部族】がいたよね……、俺は彼とは相性が悪いから行きたく無いなぁ」
と文句を言っていたけど、相性が悪いからって後回しにしても何れは行く事になるんだから、と言う話を二人でしたら渋々といった感じで同意してくれました。
そして……今はと言うと
「ほらぁ!出てきたろ密偵が!」
「出て来た!出て来たけどぉ!」
ゼンさんが釣ろうとしていた密偵さん達が、自身の身を守る為に武器を構えている。
そして大蛇の姿になったカー君が、彼等の逃げ場を無くすように囲い、密偵さん達が戦わざるおえない状況を作り出す。
「……くっ!どうしてこんな事に!」
「俺達は国にあんたらの情報を持ち帰らねぇといけねぇんだ!お願いだから逃がしてくれ!」
「俺達の家族の命が掛かってんだ!」
「逃がせだ?バァカ!おめぇらの家族の命が掛かってるからって見逃したら、俺達の命があぶねぇだろ!ほらシャルネも言ってやれ!」
「えっと……、家族の命が危ないなら逃がしてあげても?」
だって、ここで死んでもこの人たちの大事な家族は死んじゃうわけだし。
それなら逃がしてあげた方がいいんじゃないかなって……
「……はぁ、おまえなぁ敵に情けを掛けてたら敵を倒せなくなるぞ?」
「でもかわいそうだし……、カー君もそう思うよね?」
『俺は、ゼンの考えに同意かな……、ここで彼等を逃がした時のリスクを考えたらね……、ほら神々が召喚した勇者や聖女とかに居場所がバレるのはめんどくさいし』
「……別に倒せなくはないだろうけど、一々面倒事には巻き込まれたくねぇし」
二人が楽しそうに話してる間に、覚悟を決めた密偵の人が武器を持ってゼンさんに向かって行く。
けど……数歩歩いた瞬間に、首から上が無くなったかと思うと、勢いよく血しぶきを上げながら倒れて地面を赤く染め上げる。
『とか言いながらも、君の事だから出て来たら喜んで戦うんじゃないかい?』
「はっは、カーティス……おまえ分かってんじゃねぇか!」
犠牲になった密偵さんの姿を見て腰が抜けてしまったのか、他の人達が武器をその場に落として、へたり込むように座り込んでしまう。
「……ほら、一方的な虐殺になってるからかわいそうだよ」
「かわいそうって、こいつらが中途半端な実力で密偵何てしてんのが悪いだろ、優秀な密偵なら俺達が首都を出た瞬間にそれぞれの国に戻って、情報を持ち帰ればいいのに欲をかいて首都を出た後も追って来たんだから」
確かにそうかもだけど、抵抗すら出来ない相手を一方的に殺すのはなんだか罪悪感がある。
ほら……ゲームで例えるなら、始まって直ぐ街を出た後に合う敵って初心者でも倒せるくらいに弱いよね?彼らがその初心者だったりしたら、始めて直ぐに冒険の旅に出たら、野生のラスボスとエンカウントしちゃったみたいだよね。
何か凄いかわいそうじゃない?、むしろ開幕ラスボスが勇者を殺しに来るなって言う感じで突っ込みどころ満載じゃないかな。
そう思うと、少しだけ優しくしてあげてもいんじゃないかなって……
「た、確かあなたはシャルネ殿と言ったな、どうか……その優しさで我らを助けてくださいませんか?私の弟が人質にされていまして……、私が戻らなければマリーヴェイパー様の実験動物にされてしまう!」
「お、おねがいします!国に不治の病を患った娘がいるんだっ!情報を持ち帰ってメランティーナ様から薬を貰わないと治らないんだ!」
「う、うちにも身体が弱い妻がっ!俺が無事に帰って、密偵としての価値をディザスティア様に見せないと、全てが奪われちまう!」
「俺もだ!俺の母さんが、優秀な魔法使いで……俺がしっかりとしないと触媒にされちゃうんだ!」
「……え!?あ、ちょっと近づかないで!」
密偵さん達が両腕を使って、まるでハイハイをするような仕草で近づいて来る。
その顔は皆必死で、私にすがる事で助かろうという意思を感じるけど……何て言うか気持ち悪い。
だって、顔を涙と鼻水で濡らしながら、何度もバランスを崩して顔から地面に倒れて再び起き上がっては顔面を土で汚して……
「どうか、どう……」
「へ?なん……で」
「あ……やっちゃった」
不快感と、ハイハイで近づかれた事に対する驚きのせいで、いつの間にか背中から悪魔と天使の翼が生えていた。
それだけならまだしも……、無意識に悪魔の翼が生えている方の腕を振って、彼らを振り払うようにしてしまったせいで、【暴食と施し】の効果が出てしまい。
密偵さん達の生命力が一瞬で奪われ、身体が灰のようになるとその場に人の形を失って崩れてしまう。
「……かわいそうって言ってたお前が一番えぐい殺し方してんじゃねぇか」
「えっと、何て言うか……ごめんなさい?」
「まぁ、シャルネらしくていいんじゃないかな……」
「逃がしてあげようって言ってた奴がまぁ、でも……これで馬鹿な密偵は倒せたし、後は遠回りしながらメイディに行かねぇとな」
「遠回りってなんで?」
……どうして遠回りをする理由があるんだろう。
そう思って聞いてみたら『……言ったろ?優秀な密偵なら俺達が首都を出た瞬間にそれぞれの国に戻って情報を持ち帰るって、つまり俺達が準備をせずに国に入ったら待ち伏せされて不利って訳だ、だから遠回りをして相手の警戒が緩んだタイミングで入国すんだよ』と笑いながら言葉にする。
そんな感じで私達の神々を討伐する為の旅が始まるのだった。
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