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第五章 囚われの姫と紅の槍
間章 守るべき者を守り救うべきを救うために ミコト視点
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久しぶりの外だから歩いてトレーディアスを出るつもりだったけど、途中で歩き疲れてしまったから背中に羽を出して暫く飛ぶ事にした。
そして国を出た所で何だか懐かしい気配を感じて、名前を覚える気すらしない小さな国の村に降り立つ事にしたけど、まさかこんな所でこの人に会うなんて思わなかった。
「あら、こんな所で会うなんて思わなかったかも……、こんな所で何してるの?」
黄金色の髪を腰まで伸ばした儚げな姿の少女が、露店を開きながら村人達に様々な物を売っている姿がそこにあった。
様々な食料と調味料の類や様々な雑貨に子供用の知育玩具、そして何処から手に入れたのか魔術の入門書や治癒術の専門書が所狭しと置いてある。
パッと見売れてるっぽいのは食料と調味料だけなのを見る辺り、この国では食料自給率が少ないのかもしれない、私は人の傷を癒す事は出来るけど空腹や心の傷を癒す事は出来ないからこういう時どうしてあげればいいのか分からない。
もし私に掌から無限に食料を生み出す事が出来たなら、彼等の悩みを解消する事が出来るのかな……
「あれ?ミコトさんじゃないですか、見て分かると思いますけど……、あなたこそこんな所でどうしたんですか?」
「私は散歩よ散歩っ!それよりもシャルネ様が行商をしてるのは知ってるけど、何でトレーディアスの近くの国にいるのって言ってるのっ!」
「あぁそれですか、んー、説明するのが難しいのですがそうですねぇー、私が可哀そうだなーって感じて情報を渡した人がいるんですけど、その人が裏切りそうな気がして早めに始末しに行こうと思って行商がてら遊びに行ってるんですよー」
「始末ってシャルネ様、あなたもしかしてその人を殺す気ですか?」
「……そうですよ?このように私の左手で触れてドーンって!」
金髪の少女……、シャルネ様は背中から天使の羽と悪魔の羽を出すと左手で買い物をしようとして近づいて来たけど、始まった不穏な会話を聞いて困惑している村人達に触れて行く。
すると壊れた人形のように次々と人が倒れて行き、触れられた場所から灰になって消えてしまう。
「それにこうやって秘密を聞いてしまった人達の事も消してしまえば問題ありません、例えばその情報を渡した人がトレーディアスにいるジラルドや、ミントさんっていう方と関わりがあるらしいので、もし私の事を聞いていたらその人達も消さなければいけませんね」
「ジラルドって人なら昨日まで私のいた教会で保護してたけど……、私の助けた人に手を掛ける意味が分かってない訳ないよね?……それに、私の前で良くも人の命を奪ったな?」
「そうなんですね、でも私は私の目的を果たしたいのですよ……、やりたい事があるんですから」
「その為ならシャルネ様は何人でも殺すというの?」
「必要ならやりますねー」
シャルネ様のやりたい事が何か私は分からないけど、その為に犠牲者を出すというのなら見過ごす訳には行かない。
しかもそれがトレーディアスも被害に合うというのなら尚の事ここで止めないとっ、その為なら彼女の命すら奪おう。
この人はそれ位しないと止まらないし止められない人だ、ただその為にこの村で戦うという事は出したくは無いけど犠牲者が出てしまう事を意味する。
「私が実力を行使してでも止めると言ったらシャルネ様はどうしますか?」
「……その場合はここでやり合う事になると思いますけど、意味が分かって言ってるんですよね?」
「本当は誰も犠牲にしたくはないけど……、ここでやらなければもっと被害が大きくなってしまうから必要な犠牲だと割り切る事にします」
「へぇ……、面白いですね、まるで大昔にテレビで見た強敵に立ち向かうヒーロー物のアニメみたいです、さながら私は悪の親玉?ですかね」
「……テレビ?アニメって何の事を言ってるのか分かりませんけど、覚悟してください」
手元に魔力を集めて心器の杖を顕現させる。
この杖の主な能力は【再生、吸生】でこれがある限り私は幾ら傷を負っても魔力が続く限りは癒えるから死ぬ事はないし、吸生のおかげで相手から魔力を吸い上げる事が出来るから魔力が尽きる事もない。
「どうやら本気のようで……、残念ですね」
「シャルネ様が私の前で余計な事を言うからこうなるんですよ」
杖の先に魔力を集めて重力の球を作り上げるといつでもシャルネ様へと投げれるようにする。
彼女もまた左腕をこちらに向けて構えると翼を広げて余裕の笑みを作った。
「……久しぶりのまともな戦いですね、ミコトさん私を飽きさせないないでくださいね?」
「飽きる何て事すら感じる前に終わらせてあげますね?シャルネ様」
「ふふ……、いいですねでは行きましょうか、名乗りはどうしますか?」
「今日がシャルネ様の命日になるんですからしっかりと名乗らせて貰います」
「では、お互いに名乗ってから戦いましょうか」
戦いの前の名乗りはお互いに正々堂々と戦おうという意思表示と共に誇りを掛けるという意味でもある。
「……【私は教皇のミコト、全ての命を守り救うために力を求め奇跡を起こせし者っ!あなたの狂った行いを止める為に力を行使するっ!】」
「ふふ、可愛らしい名乗りと宣言ですね……、【私は天魔シャルネ・ヘイルーン、悠久の時を生き、望郷への思いを募らせし者、我が願いの成就の為に迫る脅威を取り除きますっ!】」
……その日二人のSランク冒険者が衝突し一つの小さな国が壊滅的な被害を受け幾つかの村や町が世界の地図から消えた。
後に栄花に全身を大きく損傷した【教皇 ミコト】が騎士団本部に現れ保護されるが『守るべきものは守ったよ……、お兄ちゃん』と言い長い眠りへと着いたのだった
そして国を出た所で何だか懐かしい気配を感じて、名前を覚える気すらしない小さな国の村に降り立つ事にしたけど、まさかこんな所でこの人に会うなんて思わなかった。
「あら、こんな所で会うなんて思わなかったかも……、こんな所で何してるの?」
黄金色の髪を腰まで伸ばした儚げな姿の少女が、露店を開きながら村人達に様々な物を売っている姿がそこにあった。
様々な食料と調味料の類や様々な雑貨に子供用の知育玩具、そして何処から手に入れたのか魔術の入門書や治癒術の専門書が所狭しと置いてある。
パッと見売れてるっぽいのは食料と調味料だけなのを見る辺り、この国では食料自給率が少ないのかもしれない、私は人の傷を癒す事は出来るけど空腹や心の傷を癒す事は出来ないからこういう時どうしてあげればいいのか分からない。
もし私に掌から無限に食料を生み出す事が出来たなら、彼等の悩みを解消する事が出来るのかな……
「あれ?ミコトさんじゃないですか、見て分かると思いますけど……、あなたこそこんな所でどうしたんですか?」
「私は散歩よ散歩っ!それよりもシャルネ様が行商をしてるのは知ってるけど、何でトレーディアスの近くの国にいるのって言ってるのっ!」
「あぁそれですか、んー、説明するのが難しいのですがそうですねぇー、私が可哀そうだなーって感じて情報を渡した人がいるんですけど、その人が裏切りそうな気がして早めに始末しに行こうと思って行商がてら遊びに行ってるんですよー」
「始末ってシャルネ様、あなたもしかしてその人を殺す気ですか?」
「……そうですよ?このように私の左手で触れてドーンって!」
金髪の少女……、シャルネ様は背中から天使の羽と悪魔の羽を出すと左手で買い物をしようとして近づいて来たけど、始まった不穏な会話を聞いて困惑している村人達に触れて行く。
すると壊れた人形のように次々と人が倒れて行き、触れられた場所から灰になって消えてしまう。
「それにこうやって秘密を聞いてしまった人達の事も消してしまえば問題ありません、例えばその情報を渡した人がトレーディアスにいるジラルドや、ミントさんっていう方と関わりがあるらしいので、もし私の事を聞いていたらその人達も消さなければいけませんね」
「ジラルドって人なら昨日まで私のいた教会で保護してたけど……、私の助けた人に手を掛ける意味が分かってない訳ないよね?……それに、私の前で良くも人の命を奪ったな?」
「そうなんですね、でも私は私の目的を果たしたいのですよ……、やりたい事があるんですから」
「その為ならシャルネ様は何人でも殺すというの?」
「必要ならやりますねー」
シャルネ様のやりたい事が何か私は分からないけど、その為に犠牲者を出すというのなら見過ごす訳には行かない。
しかもそれがトレーディアスも被害に合うというのなら尚の事ここで止めないとっ、その為なら彼女の命すら奪おう。
この人はそれ位しないと止まらないし止められない人だ、ただその為にこの村で戦うという事は出したくは無いけど犠牲者が出てしまう事を意味する。
「私が実力を行使してでも止めると言ったらシャルネ様はどうしますか?」
「……その場合はここでやり合う事になると思いますけど、意味が分かって言ってるんですよね?」
「本当は誰も犠牲にしたくはないけど……、ここでやらなければもっと被害が大きくなってしまうから必要な犠牲だと割り切る事にします」
「へぇ……、面白いですね、まるで大昔にテレビで見た強敵に立ち向かうヒーロー物のアニメみたいです、さながら私は悪の親玉?ですかね」
「……テレビ?アニメって何の事を言ってるのか分かりませんけど、覚悟してください」
手元に魔力を集めて心器の杖を顕現させる。
この杖の主な能力は【再生、吸生】でこれがある限り私は幾ら傷を負っても魔力が続く限りは癒えるから死ぬ事はないし、吸生のおかげで相手から魔力を吸い上げる事が出来るから魔力が尽きる事もない。
「どうやら本気のようで……、残念ですね」
「シャルネ様が私の前で余計な事を言うからこうなるんですよ」
杖の先に魔力を集めて重力の球を作り上げるといつでもシャルネ様へと投げれるようにする。
彼女もまた左腕をこちらに向けて構えると翼を広げて余裕の笑みを作った。
「……久しぶりのまともな戦いですね、ミコトさん私を飽きさせないないでくださいね?」
「飽きる何て事すら感じる前に終わらせてあげますね?シャルネ様」
「ふふ……、いいですねでは行きましょうか、名乗りはどうしますか?」
「今日がシャルネ様の命日になるんですからしっかりと名乗らせて貰います」
「では、お互いに名乗ってから戦いましょうか」
戦いの前の名乗りはお互いに正々堂々と戦おうという意思表示と共に誇りを掛けるという意味でもある。
「……【私は教皇のミコト、全ての命を守り救うために力を求め奇跡を起こせし者っ!あなたの狂った行いを止める為に力を行使するっ!】」
「ふふ、可愛らしい名乗りと宣言ですね……、【私は天魔シャルネ・ヘイルーン、悠久の時を生き、望郷への思いを募らせし者、我が願いの成就の為に迫る脅威を取り除きますっ!】」
……その日二人のSランク冒険者が衝突し一つの小さな国が壊滅的な被害を受け幾つかの村や町が世界の地図から消えた。
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